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皆さんは、「牡蠣」という食べ物がどれほど昔から食べられているか知っていますか?

 

牡蠣の歴史はかなり古く、日本において、縄文時代ではすでに牡蠣は食されていました。ということは、私たちの主食である「米」よりもはるか以前から食べられているのです。

 

そして、1860年代にフランスのブルターニュ地方で始まったと言われる牡蠣の養殖産業は、徐々にフランス各地に広まり技術も進歩していきました。

 

日本では明治時代になってフランスから牡蠣の海面養殖技術が伝わり、牡蠣の養殖が始まると、その生産量はグングン伸びていきました。ちなみに、今僕が住んでいる台湾でも、牡蠣の養殖は行われています。

 

現在では、牡蠣は濃厚で独特な美味しさと豊富な栄養分を持つことから「海のミルク」と呼ばれるまでになりました。

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そして、私たち日本人にとってはとても重要な食材である「牡蠣」の養殖現場では、さまざまな工夫と努力によって支えられています。

 

さらに、日本のハイレベルな養殖技術は海外でも広まり、今や世界中で牡蠣は養殖されています。僕も、大学生の時に水産系の学部に所属し、卒業研究では牡蠣について研究したので、牡蠣の養殖場には何度も見学に行きました。

 

今回は、世界でもトップクラスの水準を誇る日本の牡蠣養殖について、真牡蠣(マガキ)を例に紹介していこうと思います。

牡蠣の養殖方法を大公開!

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牡蠣の養殖方法はいくつか種類があり、また時代によって主流となってきた方法も変わってきたようです。そんな中で、今最も多くの養殖業者が取り入れている「垂下式」の養殖方法を紹介します。

 

マガキは初夏に産卵期を迎えます。夏の暖かい海で生まれた牡蠣の幼生は、2週間ほど海中を漂いながら広い海を旅するのです。そして、浮遊生活の後、海中の岩や岸壁の固い所などに付着します。

 

牡蠣養殖ではこの性質を利用し、この夏の時期にホタテ貝や牡蠣の殻などで作った牡蠣の苗床(採苗連)を海中に入れ、牡蠣の幼生を付着させます。この工程を「採苗」といい、毎年7~9月頃に各地の海岸で行われています。

 

採苗された牡蠣の幼生は、採苗連のまま干潟の棚に移されます。棚に移すことで牡蠣の苗床が潮の満ち引きによって海から出たり、海面に沈んだりを繰り返します。そうすることによって、牡蠣の大きさをコントロールしながら、環境の変化に対して抵抗力を付けさせて丈夫な牡蠣を育てます。

成長スピード

棚でのコントロール期間が終わると、苗床の採苗連から牡蠣の付着している貝殻を外します。その後、一枚ずつ新しいものに移され、垂下連(すいかれん)を作ります。一本の垂下連に40枚ほどの貝殻を吊るします。垂下連は沖合いの海面に設置されている養殖筏に吊るされます。ここから大きく育てて収獲するのですが、通常収獲までに一年前後かかります

 

翌年の10月頃になると、一年間海中で育ち大きくなった牡蠣を、船のクレーンを使って垂下連ごと引っ張り上げて巻き取っていき、収獲します。

 

収獲されたばかりの牡蠣の外側はかなり汚れているので、殻のまま洗浄機で洗い、泥や付着した生物を取り除きます。

 

洗浄された牡蠣はきれいな海水プールに一日ほど置きます。こうすることで牡蠣の体の中に取り込まれている汚れた海水を吐き出させて、身の中を浄化します。

ついに殻を剥く

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海水プールで浄化したら、そのまま殻付きのマガキとして箱詰めされて出荷されるか、人の手で1個ずつ殻を開けて中身を取り出し、むき身の状態にされます。

 

むき身にされた牡蠣は紫外線灯などで殺菌された滅菌海水や清浄海水を使ってよく洗われます。

その後、

冷蔵庫で低温保存

→包装

→梱包されたむき身のマガキが店頭に運ばれ、私たちの食卓に並びます。

 

このような流れで養殖される牡蠣ですが、その年の水温や天候、台風や時化の影響によって上手くいかないこともあります。

 

また、牡蠣は海中の汚れを濾過する機能を持つため、しばしば漁場の環境改善のためにも養殖されますが、下手をすると牡蠣自身の排泄物によって海を汚してしまう危険もあるため、養殖業者さんはとても神経を使っています。

 

さらに、最近では「マイクロバブル」という技術を利用して、養殖場の水質改善や牡蠣の成長を促進させる業者さんも多くなってきました。

 

今後も、より効率的で、環境にも優しい養殖技術がどんどん発達していくでしょう。

 

ちなみに、仙台うみの杜水族館、宮島水族館では牡蠣養殖についての展示コーナーがあるそうなので、興味のある方は是非行ってみましょう!

牡蠣の生産量が多い都道府県とは?

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今や世界的に注目されている食材である牡蠣、この牡蠣の養殖に力を注ぐ業者さんは全国各地にあり、海の無い県以外ではほとんどの都道府県で養殖が行われています。

牡蠣ランキング

今回はその中でも、水産庁が発表した日本でのマガキ生産量トップ10を紹介したいと思います。(データは平成22年)

第10位:長崎県、1,290トン
第9位:福岡県、1,800トン
第8位:石川県、1,970トン
第7位:北海道、4,300トン
第6位:三重県、4,700トン
第5位:兵庫県、5,070トン
第4位:岩手県、9,580トン
第3位:岡山県、19,020トン
第2位:宮城県、41,650トン
第1位:広島県、107,320トン

広島県の圧倒的で桁違いの生産量(シェア率50%以上)には驚かされますが、僕たちもそれだけ食べている、ということですよね。

 

スーパーなどの食料品店に並ぶマガキの産地は、おそらく住んでいる地域によって違うと思いますが、関西のスーパーでは広島県や岡山県、兵庫県などの瀬戸内海産の牡蠣が多いですね。

 

ちなみに、日本以外でも牡蠣養殖は活発に行われていて、フランスをはじめ、オーストラリア、アメリカ、カナダ、中国、台湾、マレーシア、ベトナム、アイルランド、タスマニア、チュニジアなど、世界中で牡蠣は養殖されています。

養殖牡蠣と天然牡蠣の違いとは?

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ここまでは、マガキを例に牡蠣養殖について紹介してきましたが、それでは、養殖された牡蠣は天然の牡蠣とどんなところが違うのか?

 

まずは、牡蠣の成長速度です。天然の牡蠣は、岸壁のアスファルトや磯場の岩などに付着して成長しますが、牡蠣を成長させるプランクトンや栄養分は非常に少ないので、とてもゆっくり大きくなります

 

しかし、養殖の牡蠣は、海流が交じり合って栄養豊富な沖合や、山から常に栄養分が運ばれる河口付近で成長します。そのため、天然の牡蠣よりも養殖された牡蠣の方が早く大きくなるのです。

味の違い

次に味ですが、栄養分の多い所で育った養殖の牡蠣は、体の中にグリコーゲンというエネルギーの素を溜め込むため、とてもクリーミーな味と表現されることが多いです。

 

それに比べ天然の牡蠣は身が小さく、グリコーゲンの量も少ないため、クリーミーとは言えませんが、その分ミネラル類の味が強く出るので、磯の風味や濃厚な海の味が感じられます。

 

さらに、マガキを食べる際に、生食したい!という方も多いと思いますが、天然のマガキは生では食べられません。それは、食中毒の危険性があるからです。

 

マガキを食べることが原因となる主な食中毒は、腸炎ビブリオ細菌によるものと、ノロウイルスによるものがありますが、両方とも自然の海水に生息している微生物が原因で、天然の牡蠣はその微生物を体内に取り込んでしまっているので、どれほど新鮮で、いくら衛生的に調理しても、十分に加熱して微生物を殺菌しなければ食べられません。

では、養殖の牡蠣はどうなのか?

養殖の牡蠣も基本的に天然の牡蠣と同様に、体内に食中毒の原因となりうる微生物を取り込んでいます。なので、加熱しなければ食べられません。

 

しかし、一部指定された海域で養殖され、指定された時期に収獲されたマガキのみ、生で食べることができます。その海域は水質の管理が厳重に行われ、細菌検査によって生食しても大丈夫と判断されているのです。

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まとめ

それでは最後に、マガキの養殖について大事なことをまとめてみましょう。

  • 日本におけるマガキの養殖は「垂下式」の方法が最も一般的
  • 夏の採苗から牡蠣養殖が始まり、約一年間かけて牡蠣を成長させて出荷される
  • 日本でマガキが最も多く生産されているのは広島県で、そのシェア率は50%以上
  • 天然の牡蠣と養殖の牡蠣では、成長の速さ、味が異なる
  • 生食できるマガキは、一部の指定された海域で養殖され、指定された時期に収獲したもののみ

 

今回はマガキの養殖を例にしましたが、日本を含め、世界中で他の種類の牡蠣もいろいろ養殖されています。なので、牡蠣を養殖している国に行ったら、是非その国で養殖された牡蠣を、その国の食べ方で楽しみたいものです。

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