ゴールデンハムスターは、初めて飼う初心者におすすめな癖のないペットです。茶色と白のまだら模様が特徴的で、動物病院に「ハムスター可」と書かれてあれば、それは大抵ゴールデンハムスターの事を指すほど典型的です。また数ある種類の中でも、性格はおとなしくおっとりとしており、滅多なことでは人を噛みません。しっかりとした飼育をすれば、憧れの「手乗り」も夢じゃない事から、飼育のしやすさもナンバーワン!表情も豊かで、ころんとしてモホモフしたところが堪らなくかわいい!今回は、その飼育方法となつかせ方を紹介していきますので、これから飼いたいなと思っている方は是非最後まで読んでみてください。
生態
ゴールデンハムスターは齧歯類のキヌゲネズミ科です。基本的に単独行動で夜行性です。長毛種と短毛種がおり、カラーバリエーションは、なんと12種類もあります。
生息地。
野生での生息地は、シリアやトルコ周辺の乾燥地帯です。そのため、英語ではSyrian-hamsterとも呼ばれます。
キンクマとの違い。
時々、ゴールデンハムスター=キンクマと勘違いされている方もいますが、キンクマ改良種であり、長毛種かつクリーム(アプリコット)色のことを『キンクマ』と呼びます(※クリーム色は人工交配させ生み出されたカラーなので、野生には存在しません)。キンクマの方が、やや大きめと言われていますが、あくまで個体差であり、そこまで大きな違いはありませんので好きなカラーの子を選びましょう。
大きさ
ゴールデンハムスターはハムスターの中では体は大きく、体重150g、体長は15~17cmほどにもなります。150gというと、バナナ一本分の重さと同じくらいです。
鳴き声
ハムスターは犬や猫と違って幾度も鳴き声をあげません。もちろんまだ家にお迎えして飼い主に慣れていない時、遊んでいる時、発情期などに短く鳴き声をあげる事はあります。稀にですが、人慣れしているハムスターだけに見られる「キュッキュ」「チュッチュ」と飼い主に向けた甘えたような要求吠えをする場合があります。ただし「基本は鳴かない動物」なので、鳴くということは何かしらストレスが溜まっていたり、体調不良などで危険な状態にあるのだということをしっかりと覚えておきましょう。初めは何で鳴いているのか判断がつかない場合があると思いますので、困ったらすぐに相談できる動物病院を見つけておくと良いかもしれません。
寿命
ゴールデンハムスターは寿命が2~3年と短命です。ハムスターの4時間が人間の1日に相当すると言われているため、たったの1年半で老化の症状がみられます。大事に飼った可愛いペットなので、折角なら長く生きて貰いたいものです。
絶滅危惧種。
シリアやトルコでの農地開発や道路建設などによる、生息地の減少のため、野生では絶滅危惧種となっています。
次の記事で『ハムスターの寿命を延ばす飼育方法』を紹介するので、是非読んでみて下さい。
なつく?
日本ではジャンガリアンハムスターやロボロフスキーハムスターが人気ですが、体が小さい分神経質で人慣れしない傾向にあるため、とにかくなついてほしい!という初心者飼い主にはゴールデンハムスターがぴったり!性格はおっとりとした子が多いです。ゴールデンハムスターに、なついて貰うために、飼い主に必要な心構えは「焦らない」こと。お迎えして早々に触ろうと頑張っても、ハムスター側からしたら知らない人間の手に追い回されて怖いことこの上ありませんので、絶対に我慢しましょう。ハムスターは夜行性のため、初めは日中寝ているだけで全然動かないかもしれませんが、堪えて毎日話しかけましょう。そうすることで「あれ、この人の顔毎日みるな」とハムスター側が認識してくれ、だいたい1週間もすれば顔を覚えてくれます(逆を言えば、1週間は触らず、必要なお世話のみをしてそっとしておきましょう)次は臭いを覚えて貰うために、手でエサをあげるようにしましょう。そうすることで飼い主の臭いをしっかり覚え、またその手や人間への警戒心が薄れてきます。ここまでくれば、最終段階!最後に、ハムスターのお散歩タイミングで撫でたり、手のひらに乗せてみましょう。その際嫌がっていたらすぐに降りようとしますが、慣れているならば、そこでちょこんと滞在してくれるはずです。またそのタイミングで大好物の野菜やフルーツをあげることで、「手のひらに乗ると美味しいものが貰える!」と覚え、自分から手のひらに乗ってくるようになります。また、餌につられて膝の上に乗ってきてくれたりもします。憧れの、手乗りハムスターです。これが、なつくための飼育方法です。うれしそうにしているハムスターを見ると癒されます。
多頭飼いは出来る?
元々群れずに単独で生活している生き物のため、多頭飼いには、とんでもなく向いていません。特にゴールデンハムスターの場合は、縄張り意識が非常に強く、親兄弟であっても気に入らない事がおきると激しい喧嘩をするレベル。(たかだかハムスターの喧嘩…と思われるかもしれませんが、運が悪いとどちらかが死んでしまうことも)。なので、初心者がむやみに一緒に飼うのは絶対にやめましょう。どうしても複数飼いたいという場合は、いっそケージを2つ用意し別々の環境で飼うのを強くおすすめします。
飼育方法
ここからは、必要なペット用品や飼い方について説明していきます。
・必要なペット用品。
まずは、ペット用品を揃えていきましょう。
ケージ。
まずは基本となる、ハムスターのお家選び。ケージは透明な水槽タイプと、金網タイプの2種類が一般的です。どちらがおすすめかと言ってもそれはハムスターの個体によるため、まずそれぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。
【水槽タイプ】
メリット
- 外から可愛らしい姿が観察できる
- 毎日の掃除が簡単
デメリット
- ケージ内が蒸れやすいので温度管理を徹底する必要あり
- 噛む場所がないので、金網と比べて耐久度は〇
【金網タイプ】
メリット
- 通気性が良いので、夏でも安心
- 価格がリーズナブルで、種類も豊富
デメリット
- 金網を齧る噛み癖があるハムスターには不向き
- 床を掘って、ケージの周囲が汚れる可能性がある
- 大きな音がダイレクトにハムスターに伝わってしまう
最近はベースは水槽タイプで、サイドだけ金網タイプになっているものを売られているので、ご自身のハムスターに合うケージを用意してあげましょう。ちなみに金網を噛んでしまう子には、なおゴールデンハムスターはサイズが大きめなので、最低でも幅40cm×奥行35cm以上のものを選ぶようにしましょうね。
回し車。
これもケージと同じくらい必要なもので、回し車なしで飼育をすることは出来ません。ハムスターは1日に2~3時間回し車で運動することで運動不足を解消しているため、これをさせないと運動不足から筋力が衰え長生きが出来なくなってしまいます。回し車には色々タイプがありますが、基本夜行性!深夜にベットの横でカラカラ音を聞くのが嫌であれば、今流行りの「サイレントホイール」というタイプの回し車を選びましょう。また回し車も種類は豊富ですが、サイズが合わないと回し車から落下したりと危険が多いので、絶対に「ゴールデンハムスター用」の回し車を選んで下さいね。
エサ入れ。
エサを床に直置きするのは、床材の誤飲に繋がりかねないため、エサを入れる容器も当然必要です。特に何でも構いませんが、ハムスターがひっくり返さないようサイドに固定できるものや、陶器のしっかりしたものが良いでしょう。
給水ボトル。
水入れをエサ入れのような器にしてしまうと誤ってハムスターが濡れてしまう可能性があるため、給水ボトルを使いましょう。水は1日に1度は取り換えて、常に清潔な状態を保ってあげましょうね。
トイレ。
繰り返しとなりますがゴールデンハムスターは体が大きいので、あまり小さいものを選ぶとトイレだと認識してくれず、逆に大きすぎると今度は寝床だと勘違いしてしまいます。基本は、体長よりひとまわり大きなもの、また入口が広くて入りやすいものを選んであげるとベストです。また水で丸洗い可能な陶器やプラスチックなどお手入れが簡単なものを選ぶと後々楽ですよ。
巣箱(寝床)。
ハムスターは基本臆病な生き物です。そのため全身がすっぽり入る、大きさで言えば、3匹入る大きさが適正サイズだと言われています。巣箱選びもトイレと同様大きさを間違えると寝床と思って貰えなかったり、逆にそこでトイレだと認識し、掃除が大変になるケースがあります。木製やプラスチック製、陶器製など種類が豊富ですが、個人的には掃除が便利な床板のないもの(床には柔らかい床材を敷いておきます)がおすすめです!
お風呂。
「砂浴び」=お風呂(バスサンド)ということです。ペットショップでハムスターの砂浴びセットというものが購入できるので、それを選べば問題ないでしょう。
・餌の回数。
エサですが、あげるのは1日1回で大丈夫です。ただし、不衛生なので前のご飯を食べ残していたとしても毎日エサ入れは交換してあげましょう。エサの適量は体重の10%、と覚えておいてください。100gであれば、エサは10g程度、150gならば15gと比較的シンプルです。ゴールデンハムスターは体も大きくよく食べる子ですが、あげすぎは肥満の元ですので、不在がちだからといって多めにエサを入れるのはやめましょう。
また1日1日、しっかりエサが減っているかをチェックすることも忘れないように!
あげて良いエサ、悪いエサ。
エサは、基本はペットショップで購入できるペレット状のエサをメインで、時々ハムスター用のドライフルーツや野菜を与えるのが一般的と言えます。逆に食べさせてはいけないのが、刺激物と加工品!唐辛子やワサビといった人間にとっても刺激が強いものやチョコレートやスナック菓子といった加工食品を与えては絶対にいけません。生野菜や生のフルーツは大好きなので、たまに交流目的で与えることはありますが、キュウリやレタスといった水分の多い野菜はあげる量に注意しましょう(与えすぎると下痢になってしまいます)またハムスターと言えば「ひまわりの種」ですが、ひまわりの種は脂質が多く、あげすぎると肥満体系になってしまいますので、こちらもあげる量と頻度に注意してください。
・お散歩(部屋んぽ)は必要?
お散歩は必須です。ちなみに、ゴールデンハムスターはケージ含め半径15mは自分の縄張りだと判断するので、毎日20分~30分のお散歩が必要になります。手間に感じてしまうかもしれませんが、部屋を散歩させること(部屋んぽ)はストレスや運動不足解消に繋がります。またそこで飼い主とコミュニケーションを図ることにより、なつきやすく、人慣れしやすい子に育つと言われています。お散歩はテーブルやケージの上ではなく、基本部屋の床で!縄張りに外敵がいないかを確認するパトロールの意味が強いため、柵で囲むのではなく、行きたい場所に自由に行かせてあげましょう。どうしても行動を制限しなければならない場合は、見えないようにダンボールなどで囲むようにしましょう。
・臭い対策。
また、ハムスター自身に、ほとんど臭いはありません。しかしそれなのにハムスターを置いている部屋が臭い!となった方!ケージの掃除、さぼっていませんか?その臭いに関しては、ほとんどの原因は『おしっこ』だと言われています。つまりトイレやおしっこ対策さえしっかりしておけば、臭いはそこまで気にならないと考えて良いでしょう。幸いなことにゴールデンハムスターは賢いので、お迎えしたその日のうちにおしっこの場所を1か所に決めてくれます。そのためその場所のトイレを毎日掃除してあげるだけで、臭いはほとんど気にならなくなります。また夏場に関しては食べ残した生野菜が腐って臭いを発している場合もあるため、餌の回収も忘れないようにしましょう。それでも気になる!という方には、ハムスター用のお風呂(バスサンド)というものがあります。それでも汚れが気になる方は、濡れタオルで拭いてあげる程度に留め、実際のお風呂に入れるのは厳禁ですので、絶対にしないようにしましょう。
何故、お風呂にいれちゃだめなの?これはハムスター全般に言える話ですが、乾燥地帯の生き物です。そのため体温調節がとても苦手です。万が一水に晒してしまうとストレスを与えるのみならず、水により体温を急激に下げてしまい最悪死に至る恐れもあります。「じゃあお湯ならいいの?」と思われるかもしれませんが、お湯も時間が経てば冷たくなり、結果的に体温を奪ってしまう行為に繋がってしまうのです。綺麗にする際は基本は「砂浴び」、それでも取れない場合のみ「固く絞った濡れタオルでさっと拭く」のみ、絶対に水を使う事は辞めましょう。
まとめ
ゴールデンハムスターはとても賢い子です。よほどストレスや恐怖を与えない限りは、飼い主の手のひらでくつろぐ家族の一員になってくれるはずですよ。手のひらより少し大きい位の小さなゴールデンハムスターの寿命は決して長くありませんが、一度お迎えしたなら最後まで愛情深く大事に育ててあげましょう。