みなさん、ハナヒゲウツボと聞くとどういうのを想像しますか?私は昔、伊豆の海へ家族旅行に行った際、シュノーケリングをしました。ウツボが大きく口を開けてこちらを見ていて、慌てて逃げたのをとてもよく覚えています。その印象からかすごく怖い生き物だと認識していて、現在の趣味であるスキューバダイビングの際、隣をゆらゆら泳いでいるのを見て、軽くパニックになりました。ですが、ウツボの中にも怖くないウツボもいるのです。今日はとても綺麗なウツボ「ハナヒゲウツボ」をご紹介します。
どんな生き物?生態や特徴
インド洋から西大西洋の熱帯海域にハナヒゲウツボは広く生息し、日本では高知県以南、特に沖縄で見られることが多いです。和歌山県でも幼魚が登場したりすることがあるそうです。鼻先から伸びる管が花びらのように開いていることから「ハナヒゲウツボ」という和名がつけられました。この管、実は鼻孔、つまり鼻の穴なんですねー。とても変わっていますね。鼻の穴が花びらのように開いているって人間に置き換えると、とても想像が難しい・・・。一つ分かることは、人間の場合、こんなに可愛くは仕上がらないっていうことですね。
大きさ
ハナヒゲウツボは最大で全長130cm程に成長します。小学校2、3年生の身長と同じくらい!結構長いですね。そして、他のウツボに比べて非常に細長いです。
そしてもう一つ、他のウツボと違うところが、その鮮やかな体色。この鮮やかな体色には面白い秘密が隠されています。
性別と色
ハナヒゲウツボはオスからメスに転換する魚としても知られています。そして、変わるのは性別だけではないのです。成長の過程で色がどんどん変わっていくのです。まず、生まれてから幼魚の間は真っ黒!で、オスとして生まれます。そこから少しずつ青くなり、徐々に黄色くなり始め、最終的にはまっ黄色でメスに変わります。変わっていく途中の色もとても美しいです。
そして黄色まで成長したものは日本ではなかなか見ることが出来ないそうです。そんな貴重な黄色いウツボちゃん。見つけたら何か良いことがあるかも!?
生息地
海面から水深50mほどまでの浅海のサンゴ礁や岩礁にハナヒゲウツボは生息しています。砂底に掘った穴か、岩の隙間を巣にして穴から上半身を出し、チンアナゴのようにふらふらしています。全身を穴から出すことはあまりありません。なかなか巣穴から出てこないハナヒゲウツボですが、熟練ダイバーは巣穴から出て、他の巣穴に移動するときの全身の姿を時々観察しているそうです。なかなか見ることが出来ないと聞くと見てみたくなりますねー。黄色いハナヒゲウツボの全身を!彼らはウツボの中でも比較的おとなしい方です。人間に危害を加えることはありません。またエサは小型の魚や甲殻類を食べています。通常は単独で生活していますが、同じ巣穴から2、3匹が同居することもあります。同じ穴からこの綺麗なハナヒゲウツボが何匹も顔を出している姿、是非見てみたいですね。こんな綺麗なハナヒゲウツボですが、育てることはできるのでしょうか?
家でペットにできるの?アクアリウムでの飼育法
この綺麗な体色から、アクアリウムでハナヒゲウツボをペットとして飼う人も少なくないとか。飼う時のポイントは以下の通り。
- 水温は24度前後
- エサは活または冷凍エビ、小魚
- 単独飼育
他のウツボに比べて餌付きにくいので、生きたハゼやエビ、スズメダイなど様々な種類の餌を与えてみる必要があります。ストレスを感じるとちょっとした隙間から飛び出すため、水槽のフタやオーバーフローの出口に加工をするなどの対策が必要です。また高水温に弱く、28度を超えると危険なため夏場はクーラーの設置が必須となります。暖かい地方の海に生息しているので、高水温はダメなんですねー。私たちが思っているより、海の中は冷たいのかな。観賞魚として飼うからにはきちんと知識をつけて、大切に育てたいですね。出来れば黄色まで!
水族館では見られる?
色んな水族館で見られるようです。新江の島水族館や横浜八景島シーパラダイスのイッテQ!水族館プロジェクトにも仲間入りしています。他にも沼津港深海水族館・下関市立しものせき水族館「海響館」などなど。水族館では安全な環境からか、度々穴から出てくるそうで、全身が観察出来ます。全身を見たお客さんからは、ヘビみたい!きもっ!とか言われちゃうこともあるとか。自然界でこの姿を見ることはとても珍しいと教えてあげたいですね。そしたらもう少し見方も変わるかも?
まとめ
私は以前、海で出会ったウツボに2度もパニックになってしまいました。しかしそれはおそらく彼らのことをよく知らず見た目で判断していたから。私が見たウツボもこちらから刺激しない限り、基本的には襲ってこないそうです。だからあの時のスキューバダイビングのインストラクターさんは悠々と隣を泳いでいたのか。。。ハナヒゲウツボは小さい生物しか食べないし、おとなしいと知ったので、是非落ち着いて観察したいなと思いました。どんな人でも、生物でも、知るということはとても大切だと思いました。