潮干狩りや海などに行くと、ヤドカリが砂浜を歩いている姿を見かけることもありますよね!「小さいお子さんは、自宅に連れて帰って飼育してみたい!」と思うかもしれません。ヤドカリの飼育は簡単に行うことが出来るのでしょうか。「家で飼うことって出来るの? 」そこで今回は、ヤドカリを家で飼育する時のポイントや準備しておきたいグッズなどについてお伝えします。
生態
ヤドカリは、巻貝を背中に背負って生活している甲殻類の中の十脚目(エビ目)ヤドカリ下目に属する生き物です。わかりやすく言うと、貝殻を背負って生活をしている海老やカニの仲間ということになりますね!宿を借りながら生活しているので「ヤドカリ」とう名前が付けられました。英語ではhermit crabです。
皆さんご存知の高級なカニである「タラバガニ」も、ヤドカリ下目に分類されており、実はカニではなくヤドカリの仲間になります。
でも、ヤドカリみんなが背中に貝殻を背負っているのかといえばそうではなく、中には貝殻を背負っていないヤドカリもいるのです。例えば、ヤシの木に登ることで知られている「ヤシガニ」も実はオカヤドカリの仲間なのです。
生息地
ヤドカリは砂浜にいると思っている人も多いでしょうが、磯場だけではなく、深海や陸地で生活している種類もいます。種類によって生息している場所が違うので、とても広範囲で生活している生き物なのですよ!育てる時はその生態に合った育て方をすることが大切です。
種類について
数ある種類の中でも、オカヤドカリとホンヤドカリ、ソメンヤドカリについて説明します。
オカヤドカリ
熱帯や亜熱帯の海岸付近の陸地に生息しています。足が長いという特徴があり、貝殻の中に水をためることが出来ます。陸上で生活していますが、エラ呼吸をしているために水場から近い場所で生活しています。飼育する場合は水分や餌の配分を考えて飼育するようにしましょう。
性格
海辺にいるイメージが強いと思いますが、「オカヤドカリ」は陸の上で生活して、産卵をする時だけ海に戻ります。オカヤドカリは日本の国の天然記念物に指定されていますが、国から許可を得た指定業者やペットショップで購入できます。ポイントを抑えることで飼育することも可能です。オカヤドカリの性格はとてもおとなしいです。人が触っても、特に危害を加えてくることはありません。同じ種類の間でも、過密状態で飼育したり、貝殻がないという状況にしない限りは争いを起こすこともありません。また、騒音を出すこともないため、飼育していても音が出て騒音問題になるということもありません。性格はおとなしいですが、人に懐くことはあまりありませんので、触れ合うことは出来ないということを覚えておきましょう。
ホンヤドカリ
日本各地の磯場に沢山生息しています。海の中で生活していて、大きさが10㎜ほどと、ほかのヤドカリよりも小さいです。岩礁でよく見かけ、砂浜ではあまり見かけることはありません。
家庭で飼育するなら「ホンヤドカリ」をおすすめします。これは日本の海に生息しており、1センチくらいの大きさで飼育していて巨大化しすぎて困るなどの心配がありません。
ソメンヤドカリ
イソギンチャクを装着して生活しています。海の中で生活していて、体が大きいです。天敵が多いためイソギンチャクと共生していて、タコや魚たちから身を守る為にイソギンチャクを使い、イソギンチャクもヤドカリにくっついていることでより多くの餌を食べることが出来ます。
大きさ
小さなヤドカリをよく観察してみるとはさみは右の方が大きいことが分かります。また、大きさを比較するとメスはオスよりも小さいです。
オカヤドカリは成長すると3cm~6cmになります。ホンヤドカリは小さくて1cmほどになります。ソメンヤドカリは4.5cmほどです。
寿命
オカヤドカリの寿命は長く、10年~30年です。小型のホンヤドカリの寿命は短くて、3~4年です。
飼育
水生生物のペットを探していた時に、ヤドカリを飼うことができる事を知りました。 体が成長するとより大きい貝へ引っ越しをするヤドカリのその様子は、観察していて飽きないですしよく見るとすごく可愛いんです。私は今すごくヤドカリに興味があって飼育について調べています。ヤドカリには海水が必要なホンヤドカリ、水を必要としないオカヤドカリがいます。飼育初心者ではホンヤドカリの方が海水を維持する事が必要なため、難しいかもしれませんね。
必要な物
ヤドカリを家で飼うことは出来ますし、飼育方法もそれほど難しい物ではありません。家で飼いたいというお子さんもいますよね!しかし、ヤドカリが生息していた場所のことを考えると、飼育ケースに水だけを入れて飼育するというような状況は最適な環境とは言えません。育てるのであれば、適切な飼育環境をきちんと用意してあげることが大切です。そのためにはいろいろなものを用意しなくてはなりません。
「ヤドカリを見てると癒される。」そんな理由でヤドカリを飼育し始める人も多いと言います。また、海水浴で拾ってくる人もいるのではないでしょうか? しかし、水槽の中の水は絶対に海水じゃなくてはいけないのでしょうか?人口的に作ることもできるのでしょうか? ヤドカリ飼育に大切な「水」や人工海水の作り方についても詳しく説明します。
ケース
飼育ケースとして使うものは、水槽でもプラスチック製のケースでも問題ありません。1匹だけ飼育する場合ですと、30㎝以下の飼育ケースで大丈夫です。数匹を一緒に飼うのであれば30㎝以上の大きさの飼育ケースを用意しましょう。大型のヤドカリを飼う場合は60㎝以上の飼育ケースにすると良いです!
底砂
水槽には底砂や石、貝殻を入れる必要もあります。
しっかりと底砂を敷くことが大切なポイントです。
ヤドカリは暑さや寒さから身を守る為に、砂の中に潜って生活することがあります。
60㎝サイズの水槽を使う場合は、最低でも20kgの砂が必要になります。
サンゴ砂が最もよく、砂がないとヤドカリが移動できませんので必ず敷くようにしましょう。
石
どの種類のヤドカリも、脱皮をする時や貝殻の引っ越しをするときは隠れて行うことが多いです。ヤドカリが身を隠すことが出来る場所を作ってあげましょう。石を積んで作るなどすると良いですが、あまり高く積み上げると登って脱走してしまうこともあります。
水槽の中にはシェルターを用意し、ヤドカリが隠れることが出来る場所も用意してあげてくださいね!
ヒーター
ヤドカリは寒さに弱いです。そのため、冬の間は底砂だけでなくヒーターを使って水槽の温度が下がってしまわないように調整してあげることも大切です。
水槽の内部の温度は20度~25度くらいに保つようにしてください。15度以下になると動きが鈍くなってしまいます。
水槽の蓋の裏につけることが出来るシートヒーターを利用すると便利です。
湿度は60~80%に保つようにし、湿度計もしっかりと準備しましょう。
ヤドカリを家で飼育したいなら、オートヒーターを準備しましょう。ヒーターは水温を高くするためではなく、水温を25度前後に一定に保つために必要になります。
ホンヤドカリは海では、水温があまり変化しない潮だまりで生活しているため、水温を一定に保つ環境の方が健康的で過ごしやすいと考えられます。
朝晩の気温の変化が激しくなる秋から春ごろまでの期間は使うのが好ましいです。
室内の温度を20度くらいに保つと水温も変化しにくいでしょう。逆にヒーターを使わなくて良い夏は、日当たりの良い場所に置いてしまうと水温が高くなりすぎてしまうので注意が必要です。
地域にもよりますが、蒸し暑い地域で日当たりの良い場所の場合、水槽の水が蒸発し塩分濃度が高くなったりお湯のようになってしまう可能性があります。
ヒーターを使っていなくても水槽の照明が暑い場合もありますので、夏場は少し水面から離しておくのが良いでしょう。
引っ越し用の貝殻
ヤドカリは殻が小さくなると新しい殻に引っ越しをします。そのため、サザエやヤコウガイといった種類の貝殻を用意してあげましょう。ペットショップや通販で購入することが出来ますよ!ヤドカリは気に入った貝殻でなければ何度も引っ越しをします。ですから、いくつかの種類の貝殻を用意してあげるようにしましょう。
人工海水
普段、海で生活している生き物を家で飼育する時は人工海水が必要になります。
海に生息する生き物たちは、海水に含まれる塩分の中から栄養を吸収しているので、塩分がない環境では生きていく事が出来ないのです。
水道水にはヤドカリにとって有害な成分が含まれていますので、そのまま使用することは絶対にやめましょう。
ヤドカリを飼育する時は海水も必要になります。海水が手に入る場合は、それを利用すると良いですが、手に入らない場合は人工海水を作って用意しましょう。
人工海水は家の水道水で作ります。人工海水の素をお店で買ってきたらバケツや比重計、水温系や水中ポンプとカルキ抜きを用意しましょう。
まずは、バケツに水道水を必要な量入れてカルキ抜きを行います。水温は25度が適切なので水が冷たい時はオートヒーターで温めましょう。
水温が安定したら人工海水の素を投入していきます。この時に入れる量はメーカーによって違うのでパッケージをみて使用量を確認するようにして下さい。
人工海水を作るときは、塩分比重が1.023程度になるように調整してください。
比重計で調節ができたら水中ポンプをセットしてなじませて完成です。
海水は毎日少しずつ蒸発していきます。そうすると塩分濃度が濃くなってしまうので、カルキを抜いた水を足して塩分濃度の調整を行うようにしましょう。
ポンプ、フィルター
水質の悪化を防ぎ、ヤドカリを長生きさせてあげるためには、水を循環させたり生物ろ過装置を使うこともポイントです。海水用のポンプがあればベストですね!
海水を使って飼育するようになりますので、ポンプを使う時は海水に対応しているものを使用しましょう。
ポンプやフィルターを使って水を循環させないと、夏場はすぐに海水が濁ってしまいますので、必ずポンプを使用しましょう。
餌
雑食です。ヤドカリ用の餌か、またはザリガニ用の餌を与えることでも問題はありません。他にも、シラスのような小魚を与えます。
値段
ヤドカリは天然記念物に指定されているものもありますが、国から許可を得た指定業者やペットショップで、比較的お手頃な値段で購入することが出来ます。ペットショップなどでは、3~5匹がセットになって売られていることが多く、お願いをすれば1匹から購入することもできます。Mサイズのヤドカリですと、3匹で1,000円程度で購入することが出来ます。サイズが上がるごとに値段が高くなり、個体の状態でも値段が変わってきます。購入して飼育することは簡単に出来ますが、天然記念物ということを忘れずに飼育してください。ヤドカリ専門のペットショップもありますので、そちらを利用するのも良いですね!
アクアリウムで混泳もできる
家で海の生き物を飼育していると水槽の汚れが気になってくると思います。この汚れはコケが生えていたり、餌のたべ残しなどが原因のため、放置して手入れをしないとアンモニアが増えて、臭いもきつくなり、水槽内の生物にも悪影響を与え弱ってしまう原因となります。コケやアンモニアの分解にはバクテリアが良い働きをしてくれます。また、通常食べ残しを処理してくれるのはシュリンプなのですが、混泳できる種類が限られているのが難点です。同じく食べ残しを上手に処理してくれるのが実はヤドカリなんです。ヤドカリは、他の海の生物とも比較的仲良く暮らしていける種類なので混泳にも向いています。水槽の底でヤドカリが生活していると、綺麗に食べ残しを食べてくれるので、水質を保ってくれる役割があります。また、貝を背負って歩く姿はとても可愛らしいです。
水族館で見れる?
名古屋港水族館では深海にすんでいるカルイシヤドカリを見ることができます。新潟市水族館マリンピア日本海ではホンヤドカリを育てています。すさみ町立エビとカニの水族館ではガラスでできた透明の殻を背負ったヤドカリを育てています。
まとめ
自宅のアクアリムの中をヤドカリが歩いている姿を見ると、可愛くて癒されます。イソギンチャクと共生しているヤドカリもいました。熱帯や亜熱帯など、比較的温暖な海域に生息しているため、そだてるためにはヒーターが必要でした。また、海水が必要です。海岸の磯部に見に行くのもいいですね。