生きた化石というと、まず名前があがる代表格の一つ、カブトガニ(英語ではJapanese horseshoe crab)です 。でもよく考えたらこれって何?天然記念物なのに飼育できるのか?意外と知らない驚きの生態や10の真実とは何か?などを調べていきます。
生態と11の真実
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これからカブトガニの11の特徴を説明していきます。
1、カニじゃなかった!大きさや餌は?
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名前に「カニ」がついているにもかかわらずこいつ、カニの仲間じゃないのだ。この祖先を辿ると、クモやサソリの祖先と考えられている「アグラスピス」に辿り着く。どちらかというとクモやサソリに近い節足動物なのである。形状は、前体部、後体部、尾剣部の三部に分かれ、背中一面が甲羅で覆われている。雄が全長50m、雌が60cmで雌の方が大きい。成体は干潟の海底でアサリやゴカイを餌として食べ、幼生は汽水、川に近い干潟に生息する。
2、約5億年前にはいた!生きた化石
約5億年前にはすでに地球上に出現していて、ちょっとずつ進化しながら2億年前には今とほぼ同じ形になっていた。そのため生きた化石と呼ばれます。なんと、1〜2年なら何も食べずに生きられるんですって。「アメージング」
3、背泳ぎする
泥の上を進む時は甲羅が上だが、泳ぐ時は仰向けになり、尾剣で舵取りをする。成体はあまり泳がない。
4、夫婦はよくくっついてる
カブトガニのつがいは雄が雌の背中に掴まる習性があるが、飼育下で3年ほど繋がったままだった、という記録もある。「旦那、離してあげて!」
5、目が5つあるのに目が悪い
背中側に2つの正中眼と2つの複眼。腹側にもひとつ眼がある。そのうち正中眼と腹側の眼は、明るさを感知する。そんなに眼があるのに視力は弱いらしく、食べ物を探す時は海底を動き回って引っ掛かったものを食べるらしい。
6、裏側はちょっと微妙
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カブトガニの腹側には足とか口とか色々ついてて結構複雑。個人的には無理だった。「兜かぶっててくれてありがとう。」裏返す時は気をつけよう。
7、生息地は?実は4種類いる
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北アメリカ東岸一帯とアジア東南海域に生息し、4種類に分かれる。カブトガニ、マルオカブトガニ、ミナミカブトガニ、アメリカカブトガニ。日本では広島県など瀬戸内海や、福岡県など九州北部の海岸に生息するが、干潟の開発などで生息地が減り、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧I類に指定されている。
8、子ども時代が長い
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上の画像は、孵化しているところです。7〜8月に産卵し、数週間で孵化する。孵化までの間に数回の脱皮をし、卵ごと成長する。たくさん産むが、孵化するのはほんの僅か。幼生は三葉虫に似ているため、三葉虫型幼生と呼ばれることもある。孵化してから次の脱皮までの間は、何も食べない!そして口もない!!!その後およそ1年に1回くらい十数回脱皮をくりかえし、その度に1.3倍くらい成長して13〜14年目でようやく成体となる。カブトガニの小さいときは、甲殻類のカブトエビにも似ています。それでは、どのくらい長生きするのでしょうか?!
9、寿命
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寿命は推定で25年くらいといわれている。雌が雄よりも一回り大きいのは、脱皮の回数が一回多いからである。体の構造が複雑な為、脱皮が難しい。赤ちゃんは小さくてかわいいのだ。
10、実は怠け者?かも
食べ物を探している以外の時は殆ど休んでいて、1日の9割は休息しているという噂が。また、活動期間は海水の温度が18度以上になる6月〜9月の間の3ヶ月間くらいでそれ以外の間は海底の砂に潜って冬眠している。つまり、殆ど休んでばっか。これが5億年絶滅しない秘訣なのかもしれない。
11、血が青い
タコやイカなど血が青く見える生き物は他にもいる。普通は鉄分が酸化して赤く見えるが、カブトガニは銅を含む色素を持っていて、それが酸化して青い色になる。
1968年(昭和43年)に、アメリカのジョンスホプキンス大学の医学者だったバング博士とレビン博士の2人は、アメリカカブトガニの血液からとりだした血球の成分によって、大腸菌などのばい菌があるとそれを短時間に、ゼラチン状に固めてしまうという大変な発見をしました。その後、いろいろと研究が続けられ、カブトガニの血液の中の血球の成分から作られた薬によって、病気の人を苦しめているばい菌を、いち早く発見して処置することができるようになりました。カブトガニの血球成分からつくられた薬は、わたしたちの体内の血液中に、ごくわずか、百億分の1g以下の内毒素(ばい菌が作る)が入ったとしても、それと反応して、そのばい菌を、ゼラチン状に固めるというするどいはたらきをします。このように、すばらしいカブトガニの薬を使うことにより、悪い内毒素があるかないかを、短時間にキャッチすることができるようになりました。今では、内毒素が原因でおきていたショック、ひきつけ、高い熱、吐き気などを防ぐことができ、大変助かっています。その他、この薬によって、がんこなカビによる病気や、食べ物、水質、器具などの汚せんが、短かい時間に調べられるので大変助けられています。最近では、カブトガニの血球成分からつくられた薬によって、エイズウイルスのはんしょくがおさえられ、その活動が弱まるというすばらしい研究も進んでいます。
引用:笠岡市立カブトガニ博物館
研究にも役立っており、人類の救世主です。
水族館で見れる?
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岡山県笠岡市には、カブトガニ博物館があります。そこでは飼育展示もしており、幼生のカブトガニを見ることもできます。他にも、なぎさ水族館や、九十九島水族館「海きらら」、すさみ町立エビとカニの水族館、新潟市水族館 マリンピア日本海で見ることができます。
ペットにできる?
繁殖したカブトガニであれば熱帯魚専門店で入手し、ペットとすることができます。値段は一匹2500円前後です。汽水の水槽でアクアリウムを作り、餌は赤虫やゴカイ、あさり貝などを与えます。単独飼育が無難です。
まとめ
カブトガニの生態や生息域について調べてきた。夏休みの自由研究や宿題、作文の題材としても、人気です。強靭な生命力で2億年もの間変わらずにいた生きた化石は、結構のんびり屋さんだった。人類も、あくせくし過ぎずにのんびりカブトガニを少し見習ってはどうだろうか。そう思ってしまう今日この頃であった。