カブトニオイガメはちょっと大きめのサイズです。のんびり、ゆったりしており、存在だけで癒してくれます。家でも飼いやすい動物です。カメと一口に言っても水棲種や陸棲種、大型種や小型種と、様々な種類のカメがおり、その数は300品種にもおよぶと言われています。特性や飼育方法も色々です。ペットとしても人気で、「カブト」に「ニオイ」と名前が特徴的ですが、どんなカメなのでしょうか?寿命をはじめとして調査してみました。
生態
分類はというと・・・カブトニオイガはは「カメ目ドロガメ科ニオイガメ属」です。英語ではRazorback-musk-turtleと呼ばれ、漢字では兜匂亀と書きます。甲羅が兜のように見えることから名付けられました。甲羅の中央にあるキールという隆起がとがっています。この兜のような甲羅と黒い斑点がついているのが特徴的です。やはり頭部が比較的大きく、黒色の斑点が入っているのが特徴的です。同じドロガメ科の仲間にミシシッピニオイガメもいます。
元々の生息地。
野生のカブトニオイガメはアメリカに住んでいます。分布はアメリカ合衆国の南部。ミシシッピ川に住んでいます。模式産地はルイジアナ州ニューオーリンズ周辺ですが、その他、アーカンソー州の南部やオクラホマ州南東部、テキサス州東部、ミシシッピ州にも生息します。どちらかというとアメリカの下の地域で、ニューオリンズあたりに多く生息しています。流れが穏やかな川に生息しており、陸に上がることも多いということです。半水棲種に分類され陸地でも動くことができますが、水棲の傾向が強く普段は水中で過ごします。水草が生えるような流れが緩やかな河川や池、沼に住み、泥や落ち葉の下で過ごします。泳ぎが得意であるため、水深が深い場所でも生息することが可能です。野生下では水深1mほどの深い場所を好みます。
平均寿命
カブトニオイガメの寿命は約25年です。個体差はあるものの、平均して25年ほどは生きます。20歳〜30歳がカブトニオイガメの寿命として妥当なラインです。うまく育てることができれば30年以上生きることもあります!
大きさ
ニオイガメの仲間は比較的小さめです。カブトニオイガメに関してはその中でも大きめに成長し、大きいもので甲長16cmほどになります。
また、オスとメスではオスの方が大きい傾向にあります。
ペットとしての飼育方法、餌は何?
ニオイガメの種の中では、カブトニオイガメはペットとしてよく売られています。アクアリウム(アクアテラリウム)にいます。他にはミシシッピニオイガメという、おチビなカメもいて同じニオイガメとしてライバル関係だとか!?もちろん、どちらも人気ですよ。環境に適応する能力も高く、飼育は比較的容易ではありますが、ある程度のグッズをそろえた方がお世話がしやすいです。ここでは、お迎え前に準備しておいた方がいいペット用品をご紹介します。
・水槽
ニオイガメ属最大種といえど、甲長は最大で16cm程度と、カメの中では小さいほうですのでそこまで大きな水槽でなくとも飼うことができます。水槽の大きさは60cm以上の大きさがあればいい、という話をよく聞きますが、45cm程度でも十分だという人もいます。ただ、水槽の中に陸地を設けたり、水草や流木を入れてレイアウトを楽しむのであれば60cm以上の広さがあった方がいいです。
また、カブトニオイガメは活発であり水槽から脱走することもあります。水槽には蓋をして脱走を防止しましょう。
・陸地・浮島
半水棲種です。日光浴が好きな種類なので陸地や浮島を用意し、甲羅干しができるようにしてあげるのもいいです。石やレンガ、シェルターなど、登ることができるものは何でも陸地になりますが、カメ用の浮島も売っているのでそちらをあたってもいいです。ただし、自ら甲羅干しをするかどうかには個体差もあるようです。筆者が飼っているカブトニオイガメは陸地を作ってもそこに登ることはなく、ずっと水中で過ごしていたので今は撤去しています。生体の様子を見て適切にレイアウトしてあげるのがいいです。
・フィルター
水槽の水はすぐに汚れます。汚れたまま放置していると皮膚病になってしまう恐れがあります。水をろ過するためのフィルターは水質管理に役立ちます。ただし、水が汚れる早さが早いため、その分フィルターのつまりが早いです。メダカや金魚などの魚よりはるかにつまりやすいです。フィルターをまめに掃除しないとすぐにつまってしまい使い物にならなくなります。水替えさえしていればフィルターがなくても飼育可能なので、フィルターを使うかどうかは状況によって判断しましょう。
・底砂
水槽の底に敷く砂や砂利です。床にしく砂や砂利はなくてもいい、と話すブリーダーの方もいらっしゃいましたが、カブトニオイガメは底を歩いたりしますので用意してあげることで快適に過ごせます。
ただ、底砂は多めにいれすぎると水替えの作業が大変になってしまいます。使うにしても、浅めにしくのがいいです。この他、水替えの時に使うポンプや水道水のカルキをぬく薬、水中の食べ残しやフンをすくう網などがあってもいいかと思います。
・餌
肉食性が強い雑食であり、野生では小魚、貝類、水草を食べます。小さい時は2、3回に分けて与えます。成体になったら1日1回または、2日に1回程度でもOKです。
人工飼料
基本的に市販されているペット用品である、栄養バランスが取れたカメ用のエサで問題ありません。
生餌
カブトニオイガメは貝が大好物なようです。適度にシジミなどを与えましょう。(貝がら付き!)その他、小魚等でも可。
同じエサばかりだと飽きてしまうことがあります。特に、冬場で水温が低く、食欲が低下している時はカメ用のフードをあまり食べない場合もあります。そうした場合は生餌を与えるようにしましょう。カブトニオイガメは肉食性が強い雑食ですので生き餌を好んで食べます。生き餌にはメダカ、金魚、エビ、タニシなどが適しています。ミルワームやコオロギなどの昆虫も食べます。これらのエサは熱帯魚専門店や爬虫類専門店、ネット通販で購入することができます。生き餌以外でもカメ用に販売されている乾燥エビも好きです。エビを使用した人工のおやつも多数ありますので買っておくといいでしょう。
・水温
25度〜30度が適温です。多くの方々がどのくらいの水温で管理しているか調べたところ25度〜30度という結論になりましたが、水温はそこまで神経質にならず、とりあえず30度を越えないようにしておけばOK!野生では冬眠をすることがありますが、飼育する場合は冬眠しないようにヒーターで温めておくほうがいいです。
比較的、甲長もあるほうの亀なので、紫外線も照射するライトを使用し、長めに日光浴をさせてあげましょう。
・ヒーター
夏場は特に何もしなくても問題ありませんが、冬場はヒーターを入れて水温を高めてあげる必要があります。水温が低いと動きが鈍くなり、エサも食べなくなり、場合によっては冬眠してしまいます。飼育下での冬眠は難易度が高いと言われており、冬眠しないようにヒーターで温めた方が無難です。ヒーターはやけど防止のカバーがついているものを選び、必ず水から出ないように設置しましょう。
・ライト
体温を高めるためのバスキングライトとカルシウムの摂取に必要な紫外線ライトも飼育に役立ちます。
暖房で室温を高め、ヒーターをつけている場合はバスキングライトは必要ありませんが、特に成体に成長するまでは紫外線ライトはあった方がいいです。成長期の段階で紫外線が不足すると、カルシウムが不足しくる病になってしまう危険があるからです。成体になった後は週に1、2回日光浴させれば紫外線ライトがなくてもよいです。
・水替え
水質を綺麗に保つために必要なのが水槽の水替えの作業です。カブトニオイガメはフンの量が多いのでまめな掃除が必要になります。沼地の中でも生息できるので、多少濁った水の中でも平気に過ごせるという説もありますが、やはり不衛生ですし、水質の悪化が原因で病気になることもあります。生体が平気に過ごしているように見えても掃除はしてあげるべきでしょう。先述のように、ろ過フィルターだけで汚れを吸収することは難しいので定期的に水替えをするといいです。頻度は週に1~2回水替えで大丈夫です。水替えの頻度が多すぎても水道水の中のカルキがカブトニオイガメに負担をかけ、皮膚病になってかえって健康を損ねる場合もあるので注意が必要です。ただ、カメ用に販売されているカルキ抜きの薬を水に添加したり、水替えをする前の古い水や、汲み置きしカルキを抜いておいた水を新しい水に混ぜるなどの工夫をすることで負担やストレスをなくすこともできます。水槽は重たく持ち運びがしづらいのですが、ポンプとバケツがあると作業が楽です。水替えの時、同時に甲羅も綺麗にしてあげましょう。甲羅は磨かないとコケが生えてしまい、健康に悪影響を及ぼします。甲羅の掃除は水で流しながら、やわらかいスポンジで磨くといいです。甲羅を洗った後に日光浴をさせ、甲羅を乾燥させるのもいいです。
匂い
ニオイガメ、という名前を聞くと多くの人が「においが強いからニオイガメというのではないか」という印象を抱くかと思います。しかし、日常的ににおいが強いというわけではありません。ニオイガメの名前は、身の危険を感じた時に臭いの強い分泌液を放ち防御することに由来します。野生下では分泌液を出すことがあるようなのですが、飼育下においてはそのようなことはほとんどありません。ちなみに筆者はカブトニオイガメとミシシッピニオイガメの2匹を5年近く飼育しておりますが、分泌液を出したところは見たことがないです。よっぽどのことがない限りは大丈夫なのでしょう。室内に水槽をおいても特に問題はありません。ただし、カブトニオイガメはフンが多く、水を汚しやすい動物です。汚れた水を放置していると水槽全体がくさくなってきます。飼育時の臭いをおさえるには水質の管理が重要になってくるわけです。エサの食べ残しやフンは網を使ってこまめに取り除き、その上で週に1回程度は水槽の水を入れ替えることで、水槽を清潔に保つことができます。また、水槽の水を多めに入れることでも、水が濁る早さがおさえられ、臭い軽減につなげることができます。水は心持多めに入れましょう。水質以外の原因では、エサも臭いの原因になります。与えるエサによってフンのにおいが強くなる場合があるからです。フンをくさくする栄養素は動物性たんぱく質。鶏肉などの生エサはカメの好物ではありますが、こうしたエサを与えることでフンがくさくなってしまいます。
臭いを気にされる場合はカメ用の人工フードを食べさせましょう。フードの中には水が汚れにくいように作られたものも多数あるので、そうしたものを選ぶのもいいかと思います。腸内の善玉菌を増やしフンのにおいを軽減させるエサや、水の中でもバラバラにならず食べこぼしが出にくいエサが水を汚しにくいフードの例です。カメの好みもあるので、その子にあったフードを与えましょう。
水槽で混泳はできる?
結論・・・大きさによっては小魚などは食べられます。カブトニオイガメは食肉性が強く、同じ淡水の小さなメダカや熱帯魚は食べてしまいます。最初は小さかったカメ君も大きくなっていくので、ある日アクアリウムの水槽を見ると、「あれ?、メダカやグッピーが減ってないか?」ということにもなりかねません。ですから、同じ水槽で熱帯魚と混泳させる時は大きめの熱帯魚と一緒に飼う。または網目の細かい仕切板などで、カメ君が食べないようにする工夫をしましょう。水槽に水をたくさん入れ水深を深くし、その上で流木やシェルターなどでカメが入り込めないような魚の安全地帯を作ると多少安心です。また、体が大きく、泳ぎが早い魚だとカブトニオイガメに食べられにくいとも言います。基本的に、アクアリウムで、ほかの小魚や熱帯魚などとは混泳は困難と思ったほうがいいでしょう。
性格。
体も丈夫でカメの中でも飼育がしやすい種類ではありますが、なかなか気性が荒いオレオレタイプです。協調性があまりないみたいです。他のカメや魚と混泳させる時は少しづつ慣れさせましょう。やはり、単独で飼育するのが無難でしょう。
販売店や値段は?
一般的なペットショップで売られています。値段は大体5000円ちょいと思っておけば大丈夫!
魅力
続いては魅力をご紹介します。ペットとして育てることを悩まれている方はご参考になさってください。
①兜のように美しい甲羅と斑点模様
特徴と言えば、なんといっても兜に似た甲羅。カメと言えば、丸い形状の甲羅の種が多いですが、カブトニオイガメの甲羅は先端がとがっており、シャープでかっこいい印象があります。表面もつるつるしており綺麗。甲羅を洗い、日光浴させている時の輝きがなんとも美しいのです。まさしく兜のような芸術品です。斑点模様もまたトレードマークですが、この模様が甲羅と対になってコントラストを生み出しており、いい味を出しています。生体によって模様も少しずつちがっているのも面白い点です。
②活発で可愛らしい
カブトニオイガメはカメの中では元気で活発です。のんびり、おっとりした仕草も見せながら、時には水槽の中を元気に泳ぎ回ります。水が多く、泳げる場所が広いとさらに元気に泳ぎ回ります。スイスイと泳ぐ様子は実に楽し気で、とても可愛らしいものです。また、泳ぐときだけでなく、エサを食べる時も活発です。エサ食いがよく、元気よく美味しそうにエサを食べてくれます。お世話を続けると飼い主のことを認識し、こちらに向かってエサがほしいアピールをしてくることがあるのですが、ジタバタと足を動かして一生懸命エサをねだる仕草もまた可愛らしい。ついエサを多めにあげたくなってしまいます。
③穏やかそうな顔立ち
気性が荒いカメではあるのですが、顔は性格とは対照的に穏やかそうな印象です。口元は口角が上がっているようにも見え、どことなくユーモラス。眺めているとつい笑顔になってしまいます。
丸くぱっちりした目、大きめの鼻の穴もなんだか可愛らしく見えます。
動物園や水族館で見れる?
カブトニオイガメを飼育しているところは少なく、江戸川区自然動物園や世界淡水魚園水族館アクア・トト ぎふ、かすみがうら市水族館などで見ることができます。
まとめ
今まで、大きさや寿命などについて説明してきました。カブトニオイガメは飼育しやすい亀ですので、慎重になりすぎなくても大丈夫です。そこがまた人気の秘密ですね。可愛いカメですから大切に育ててやりましょう!