海の中にはたくさんの生物がいます。私たちが大好きな美味しいお魚だったり、とても変わった生態の持ち主だったり、深海に住む不思議生物だったり。そんな中から私が一押しするのがカエルアンコウです。みなさんはご存知ですか?見た目から海の中の癒し系なのですが、その生態を知ると癒し系とは少し言い難いところもちらほら。そのギャップがまた面白いのです。今日はカエルアコウについてご紹介していきましょう。
どんな生物?生態

またカエルアンコウの見た目は『ずんぐりむっくりに手がちょこん』でしょうか。また同じ種でも様々な色のものがいます。カラフルでとても可愛いです。仲間として、クマドリカエルアンコウ、ベニカエルアンコウ、オオモンカエルアンコウ、イロカエルアンコウなどがいます。
アリゾナ州立大学が選んだ?

この新種のカエルアンコウを、2009年、アリゾナ州立大学などが、新たに発見された生物種のトップ10の一つに選びました。
生息地

日本では本州以南の海に生息しています。ダイバーの間では人気のある生物のうちの一つです。人気の最大の理由はその「可愛さ」ではないでしょうか。
大きさ

日本で見られるカエルアンコウ種類は身体の大きさがさほど大きくはなく、だいだい、5cmから15cm程度です。
餌は?

カエルアンコウは小魚を餌として食べます。
胸ヒレと腹ヒレは歩くためのもの!?

カエルアンコウは泳ぐのがあまり得意ではありません。そのため、長く発達した胸ヒレと腹ヒレを交互に前へ出し、海の底を歩くように進んでいきます。これもまたカエルアンコウの特徴と、人気の理由の一つですね。ちょこちょこ歩く感じがなんとも可愛いのです。魚でも泳ぎが苦手な種もいるんですね。でも泳ぎが得意だったら釣り師にはきっとなってないでしょう。
稚魚は?

カエルアンコウの子供はかなりかわいいですね。カエルアンコウの稚魚は、なんとなく、ダンゴウオの仲間に似ています。頭に小さい提灯がついているところなどが違いますが。こんな可愛いカエルアンコウですから、見たい!もしくは育てたい!という人も多いのでは?そんなわけで調べて見ました。
真似が得意?

アンコウといえば、みなさんまず鮟鱇の仲間の特徴であるちょうちんを連想すると思います。頭についているあれですね。チョウチンアンコウの仲間の場合、ちょうちんの部分が発光することで小魚をおびき寄せたりしますが、カエルアンコウにも獲物をおびき寄せる器官があります。頭から釣り竿のような細い棒が生え、その先にはエスカと呼ばれる疑似餌が付いています。これは色々な魚の好物であるゴカイやイソメなどに形がよく似ています。実は背びれが変化してできたものなんだそうです。感心!私はてっきりこれ専用の器官だと思っていましたが、元からあった体の一部を変化させたのですね。
エスカはゴカイにそっくり。

また、カエルアンコウはこのエスカをクネクネと自在に動かすことが出来ます。その様はゴカイの仲間にそっくりです。見た目を似せるのもすごいですが、動きまでとは。きっと、じーっと観察して研究したんだろうな。勉強家でないと似せることなんて出来ないですよね。可愛いなりして、意外と賢いかも。
食事の時だけ、とてつもなく速く動く?驚異の捕食。
エスカを使い、小魚をまるで釣るように捕獲します。そして、カエルアンコウが獲物に食らいつく時の速さは魚の世界で最も早いと言われています。口を開けてから魚が中に入るまでのスピードは研究者が計測した記録ではなんと0.007秒!もう速すぎて秒数を言われてもピンときませんね。そしてぬぼーっとした見た目とのギャップ半端ない!きっと小魚も自分が食べられたって気づかない間に口の中に入っていることでしょう。でも食べられる身からしたらそのくらい速いほうがいいかも。
藻類に擬態。

海底の岩にひそんで、カエルアンコウはあたかも海藻のように隠蔽型の擬態をしています。このようにして、気付かれないようにして、小魚が近づいてくるのを待ちます。やはりかなりの頭脳派ですね。
水族館で見られる?

沼津港深海水族館や横浜の八景島シーパラダイス、すみだ水族館などで展示されています。

水族館だとゆっくり観察出来ていいですよね。頭のヒラヒラ見れるかなー?それよりも捕食の瞬間を見ることが出来そうですよね。見てみたい!
ペットに出来るの?

カエルアンコウを観賞魚として飼育することは出来ます。注意事項は以下の通り、
- 水槽は60cmから90cm。あまり動く魚ではないのでこれで充分だとか。
- 水流ポンプの設置。これ、結構重要!
- 水温は23℃から25℃がベスト。水温は高温には弱いため注意が必要ですので夏場は水槽用のクーラーが必須です。
- エサは生きた小魚かエビ。
カエルアンコウはあまり動かないため餌は3日に1回程度か、1週間に1回程度でも問題ありません。育てるからにはきちんと学習をして、しっかり飼育したいですね。
まとめ

私はダイビングをするのですが、海の中でカエルアンコウを見たことがあります。あまり動かない魚は観察しやすいですし、なんだか可愛く見えます。人間が近寄っていっても、じーっとしていて、特に印象的だったのが手に見えるヒレです。大きな手で一生懸命海底に踏ん張っているように見えるのです。この可愛い見た目からは考えられないような捕食方法のカエルアンコウ。私は魚というものを少し誤解していました。カエルアンコウは擬態しながら、釣りをして獲物を捕らえます。魚にそんな工夫が出来るとは思ってなかったのです。ただ頭に小魚が好きなゴカイに似ているものが付いているだけならまだしも、動きまで似せるなんて、頭脳派ですよね。是非いつか捕食の瞬間を海の中か、水族館で見てみたいものです。