爬虫類は犬や猫とちがい、人にはなつきにくいと言われますが、ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)はそんな爬虫類の中でも比較的人になれやすい動物です。そんなレオパですが、飼い始めてすぐに人に寄ってくるわけではありません。適切に関わり、環境を整え、飼い主と仲良くなる手立てをとることが大切です。この記事ではレオパを人に慣れさせるための接し方についてまとめました。もっと仲良くなりたい人は必見です!
なれるための接し方
そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。先ほど述べたように、爬虫類は人になつかないと言われています。レオパも例外ではなく、残念ながら人になつきづらい動物です。しかし、「なつかせる」のではなく「なれさせる」のであれば簡単です。警戒心があるため、最初から寄ってくるわけではありません。ですが、環境や飼い主になれれば、寄ってくるようになるというわけです。レオパは嗅覚や視覚で周囲の環境や人の顔を判別しますが、「ここは安全な場所だ」「この人は危害を加えてこない人だ」「この人はエサをくれる人だ」と判断することでリラックスして過ごすようになります。その結果として飼い主に寄ってくるようになるというわけです。これがレオパに「なれさせる」ということなのです。それでは、どのように関わればレオパがなれてくれるようになるのでしょうか。
①シェルターや布など、人目から隠せるアイテムを。
レオパが安心して過ごすため、お迎え前の準備はきちんと行いましょう。飼育ケージや床材などを事前に購入しますが、「なれさせる」上で重要なのがシェルターや布などといったレオパを人目から隠すアイテムです。レオパはまわりから隠れている状態になると安心できるので、こうしたものが必要になってくるわけです。
シェルターは体を丸めたレオパがすっぽり入るサイズのものを用意し、成長に応じて大きなものに買い替えましょう。布は必須ではありませんが、もし使うのならケージの背面や側面を覆ってあげるといいでしょう。
②保温器具もしっかり準備。
人目から隠せるアイテムと同様に重要なものが保温器具です。爬虫類は変温動物であるため、体をあたためることが必須。特に冬は体が冷えてしまうので、保温器具の電源をつけっぱなしにし、ケージの中に暖かい場所を作ってあげましょう。体を温めることはレオパの健康維持だけでなく、リラックスさせることにもつながります。環境になれてくれれば、レオパがホットスポットに出てきてぐっすり眠る様子も見ることができます。これはリラックスしている証拠と考えていいでしょう。爬虫類用の保温器具としてよく使われるのが「パネルヒーター」。ケージの下にしいて底面を温める保温器具です。パネルヒーター1枚あれば問題ないですが、「暖突」という、天井に設置するタイプの保温器具も人気です。どのアイテムを使う際も、ケージの中に温かい場所と温かくない場所の両方を作り、レオパが行き来できるようにしてあげること、そして温かい場所はシェルターの位置とずらすことに注意し、低温やけどを防止するようにしてください。
③お迎え前にレイアウトを整え、お迎え後の無暗なレイアウト変更は避ける。
飼育環境はお迎え前に整え、お迎え後にケージ内のレイアウトを無暗に変更することは避けましょう。お迎え後、特に飼い始めの時期にケージの中を触りすぎてはレオパがなかなか安心できず、環境になれないからです。これだ、というレイアウトをお迎え前に決めておき、お迎え後しばらくはノータッチでいることがベストです。
④性格を考慮する。
レオパにも性格があります。個体差があり、なつきやすい性格とそうではない性格があります。お迎えするレオパを選ぶ際にお店で触らせてもらい、なつきやすい性格の個体を選ぶというのも一つの方法です。
なつくのに時間がかかるのは、触った時に威嚇してくるような攻撃的な性格のレオパです。早くなれてほしいのであれば、威嚇せずおとなしく触らせてくれる個体を選ぶといいでしょう。ただし、大人しいレオパの中には、不健康で元気がないため大人しくなっているだけ、というケースもあるため、そこの見極めは大事です。エサ食いや普段の様子などをお店の人に聞いた上で判断しましょう。また、レオパのモルフ(品種)によっても性格の傾向が異なります。「アルビノ」などの視力が弱いモルフは人に触られることになれづらいので気を付けましょう。
⑤飼い始めはそっとしておく。
レオパがリラックスできるようになるために、始めの頃はそっとしておいてあげましょう。始めは新しい環境や見知らぬ人間にレオパが緊張してしまう時期です。この時に必要以上に関わると飼い主のことを危険視してしまい、なれてくれなくなる原因となるので注意です。ハンドリングはもちろんのこと、じっと観察してしまうのもストレスになります。できるだけ関わらないようにしましょう。
環境になれるのはどのくらいの期間が経ってからか…個体差があるので一概には言えませんが、エサ食いを目安にするとわかりやすいでしょう。レオパは新しい環境のもとでは拒食し、エサを食べなくなることがあります。落ち着きを見せ、十分にエサを食べるようになれば環境になれてくれたと見ていいかと思います。
⑥正しい方法で定期的にハンドリングし触られることになれさせる。
動物を手に乗せたり、なでたりして直接触ることを「ハンドリング」と言います。爬虫類は人に触られることを好まないので、やりすぎるとストレスになってしまいます。人によってはこれはしない方がいい、と考える人もいます。しかし、飼育下で生きている以上、ペットと人が関わらない、なんてことはありません。日々のお世話やケージの手入れの時のため、日頃からハンドリングをしておくことをおすすめします。レオパを早く人になれさせたい、と思っているならなおさら必要です。飼い始めからある程度時間が経ち、レオパが落ち着いてきたらハンドリングに挑戦してみましょう。
下からさっとすくう。
ハンドリングする時のポイントは、上からつかまず、下からすくいあげるイメージで触ってあげるといいです。レオパをはじめ、爬虫類は野生下で鳥に上空から襲われる動物であるため、基本的に上から触られることを怖がるのです。下からすくったあとは、前足と後ろ足の間のおなかの部分を優しく持つようにします。この時、足が宙ぶらりんになっていると落ち着きません。4本の足を人の手や指に触れさせるように持ちましょう。また、すくいあげる際のスピードも大切。すくいあげることに手間取ってしまうとかえって恐怖感を与えてしまうことになるので、さっとすくってあげるようにしましょう。下からさっとすくう、これがレオパに優しいハンドリングの仕方です。
最初は短時間で済ます。
先に述べたように、ハンドリングはそもそも爬虫類にとってストレスになってしまう行為です。最初の頃は長時間は避け、少し触ったらすぐにおろしてあげるようにしましょう。特に幼体のレオパは成体よりも神経質なので、ケージの手入れの時に少し触る程度にとどめておいた方がいいでしょう。連続で長時間するのではなく、少しずつ回数を重ね次第になれせる、というイメージでハンドリングするといいです。適切な頻度についてはレオパのなれ具合も関係してきますが、週に数回程度を目安とするといいでしょう。
強くつかまない、特にしっぽは触らない。
ハンドリングの際には優しく触るようにしましょう。強くつかんでしまうとレオパが怖がってしまい、ストレスの原因になります。特に尻尾の扱いには注意。乱暴に触ってしまうと、レオパが自分からしっぽを切断してしまうことがあります。尻尾はさわらず、胴体の部分を手ですくうようにハンドリングするよう意識しましょう。
脱走注意。
ハンドリング中に脱走することもあるので、逃げてしまわないよう注意してください。レオパの動きは意外と素早く、部屋の隙間に入り込んでしまうので脱走して見失ってしまうと見つけるのに苦労します。ハンドリング中は絶対に目を離さないこと、また、手の中でもがいたり威嚇してきたりなど、嫌がるそぶりを見せた時はすぐケージにもどすことを念頭に置きましょう。
⑦給餌をセットで行うことで触られる行為がいいことだと覚えさせる。
条件付けによって触られることになれさせるという方法もあります。一番効果的なのは給餌の前にレオパに触れるようにし「触られるといいことがある」と覚えさせる方法です。例えば、エサをあげる前に1回触るようにする、手ですくって他のケージに移動させた後でエサをあげる、といったやり方が考えられます。このような方法でエサの時に毎回触る習慣をつけることで早くなれてくれるようになります。ある程度なれてくれた後は、人の手の上でエサを食べさせてみるのもアリ。レオパの様子を見ながら、少しずつハードルを上げていきましょう。そのうち、手のひらの上で、すごい勢いでエサを食べてくれて、その様子が可愛いです。
⑧手を近くに置いてみる。
シェルターをケージの中から取り除き、自分の手をレオパの近くにもっていくというやり方をすすめる人もいます。ハンドリングするのではなく、ケージの中に手を置くのです。あくまで近くに置くだけ。手をじっと置いておく。数分経ってからシェルターをケージに戻して終了。これを毎日、1週間ほど繰り返しているとある程度人になれてくる、というわけです。
メジャーな方法ではありませんが、ハンドリングとあわせてやってみるといいでしょう。「それまでは全然なれていなかったけどこの方法を試したら効果があった」と話すかたもいます。
⑨シェルターを透明なものに変えてみる。
シェルターはテラコッタ製の不透明のものが一般的です。しかし、人になれさせるためにあえて透明なシェルターに変えてみるのも一つの手段ではあります。外が見える透明なシェルターですごす方が目につきやすく、人目になれる訓練になるというわけです。
透明なシェルターはタッパーを加工すれば自作することができます。100均などで購入したタッパーに、カッターや半田ゴテで穴をあけレオパの出入り口を作り、それをよく水洗いした後、中に水苔やスポンジをひけば立派なシェルターになります。タッパーのシェルターは作り方が簡単かつ低コストであり、テラコッタ製のシェルターに比べてカビが生えにくいというメリットもあります。人になれさせる目的以外でも利用できる便利なシェルターです。透明のシェルターはお迎え後時間が経ち、ある程度落ち着いて過ごせるようになったあとで様子を見ながら導入してみてください。
⑩あえてシェルターを撤去する。
かなり強引ではありますが、人に早くなれさせるために、シェルターを撤去してしまう方法もあります。隠れる場所をなくしてしまうわけです。この方法を試すのは飼い始めてから時間が経ってからにしてください。ただし、エサを食べなくなってしまうなど、レオパに異変が生じた時はシェルターをケージの中に戻してあげること。シェルターを取り除くことはストレスの原因になってしまうので、よく様子を見てあげて適切な対処をしましょう。また、脱皮期間中にもシェルターはケージの中にもどしてあげてください。レオパはシェルターの壁や湿度を利用して脱皮をする習慣があるので、シェルターがないと脱皮不全をおこしてしまう危険性があります。体が白く変色したら脱皮が近いサインです。
なれたら手のひらに乗って手や腕を愛情表現として舐めてくれる
なれてくれたかどうか、それはレオパの行動を見ればわかってきます。ケージの近くに人がいてもシェルターの中に逃げなくなったり、ハンドリングの時に逃げたり威嚇したりしなくなればなれてくれた証拠。もっとなれてくれると人を見つけた時にシェルターから出てきてくれます。さらに、ハンドリングの時に自分から手の上に乗ってくれるようにもなり、愛情表現としてペロペロと手のひらや腕を舐めてくれます。口の周りの乾燥を防ぐため、あるいは湿度や環境を確認するために舐めていることが多いですが、手の上に乗ってきて舐めてくると嬉しいですよね。こちらからも、その気持ちに答えてあげましょう。
まとめ
まとめると、
- ケージ内にシェルターや布など、人目から隠せるアイテムを置こう。
- 保温器具もしっかり準備しよう。
- お迎え前にレイアウトを整え、お迎え後の無暗なレイアウト変更は避ける。
- 性格を考慮しよう。
- 飼い始めはそっとしておこう。
- 正しい方法で定期的にハンドリングし触られることになれさせる。
- 給餌をセットで行うことで触られる行為がいいことだと覚えさせる。
- 手を近くに置いてみる。
- シェルターを透明なものに変えてみる。
- あえてシェルターを撤去する。
です。これまで、レオパになれさせるための方法をいくつかご紹介しました。