ネット上で今話題になっていることがありました。それは「マンボウ最弱伝説」です。見てみたら本当に色んな死因が出てきて。これを機に少し調べてみました。ということで、今日は「マンボウ」(英語ではSunfish)についてご紹介します。
都市伝説が話題に
何がどうしてこんなことになったか分かりませんが、本当にたくさんの都市伝説が噂されています。
- ほぼ直進でしか泳げない。
- 海水に潜水すると、寒すぎる。
- 朝の太陽光を浴びると強すぎる。
- 近くにいた仲間が天国へいくと悲しむ。
- 小魚の骨がのどに詰まる。
- 水中の泡が目に入ったらストレスとなる。
- 皮膚が弱すぎて触っただけで痕がついてしまう。
- 寄生虫を取るためにジャンプし、着水に失敗してしまう。
「こんなに多くの都市伝説があったらどんだけ弱いんだよ!」と思ってしまうのも当然です。しかしこれらの情報は本当に正しいのでしょうか?
これらは本当?
結論から言うと、これらは全て誤りです。朝日新聞の方が名古屋港水族館のマンボウ担当の方に確認しており、誤りだと証明しています。これ、すべて本当だったら、今頃マンボウは厳しい自然界で生きていけず絶滅しています。また、水族館での飼育もとても難しく、展示されることなんてないです。しかし、絶滅もしていないし、水族館で展示もされていますね。ではなぜこんな噂が広まってしまったのか。それは生態がまだよくわかっていないことや、ストレスに弱い魚であることが挙げられます。たったこれだけの理由ですごい誤解が生じましたね。というか、途中から面白がってこんなんもありえるんじゃないかって感じで考えた人もいるでしょうね。
生態
フグ目マンボウ科のマンボウです。実はフグの仲間なんですね。こちらのほうが都市伝説のような気がします。円盤のような体形と大きなヒレが特徴です。普通の魚にあるような腹ビレと尾ビレはありません。
大きさ
マンボウは最大で体長3メートル超、体重2トン超になる大型の魚です。硬骨魚類の中で最も重い魚です。人間一人を60kgとすると、2トンは人間34人分くらいの重さです。また、3メートルとは迫力があります。
餌は?
マンボウはクラゲや動物プランクトンを餌として食べます。
生息地
マンボウは全世界の熱帯・温帯の海に広く生息しています。
驚きの卵の数と変わった姿をした稚魚
マンボウのメスが一度に産む卵の数は3憶個に達するので、最も多く卵を産む脊椎動物です。卵は親に保護されることもなく海中を浮遊しながら発生するため、ほとんどが他の動物に食べられてしまい、成長出来るのはごくわずかです。3億個ってすさまじい数ですね。しかし、それだけ産まないとただ浮遊しているだけなので子孫を残すことが出来ないのですね。
稚魚の姿と群れ?
孵化した稚魚は全身にとげがあり、金平糖のような姿をしています。一時的にとげが長くなりますが、成長するにつれてとげは短くなり、マンボウ独特の姿に変わっていきます。これも、数少ない孵化したものたちの生き残る方法なのでしょう。せっかく孵化したのにマンボウ特有の丸っこい姿をしていたら他の動物に簡単に食べられてしまいますものね。また、全長40cm程度の若いマンボウが群れを作ることも報告されています。40cmと言っても群れになれば結構迫力ありそうですよね。彼らはどうやって集まることが出来たのか。そこが少し不思議に思いますけど。群れはなかなかお目にかかれないでしょうから、是非見てみたいものです。
実は速く泳げます!
これは大阪海遊館の研究室での動画です。飼育員さんが餌やりをしています。マンボウはかなり素早く、また機敏に泳いでいます。
研究している大学は?新種発見?
広島大学の澤井悦郎博士が研究では有名です。同じマンボウ属のウシマンボウとカクレマンボウの名付け親です。2017年、オーストラリアやニュージーランドの近海で、オーストラリアや日本の研究チームが新種のマンボウを発見しました。それを澤井悦郎博士がカクレマンボウと名付けました。
食べられるの?
マンボウの体は95%が水分なので、時間が経つと水分が抜けてしぼんでしまい、鮮度が落ちるので早めに食べるようにしなければいけませんが、食べることは出来ます。味は淡泊でイカと鶏胸肉の中間のような味です。から揚げにしたり、ムニエルにしたり、調理方法は色々あり好みで好き嫌い別れるようです。宮城、千葉、三重、静岡、高知などで食されています。マンボウを食べるという発想はありませんでしたが、食べている地域はあります。
見ることのできる水族館
私は八景島シーパラダイスでマンボウを見たのですが、とても悠々と泳いでいてかっこよかったです。他にも下記の水族館で展示がされています。
- アクアワールド茨城県大洗水族館
- サンシャイン水族館(東京)
- 東海大学三保水族館(静岡)
- 名古屋港水族館
- 志摩マリンランド(三重)
- 海遊館(大阪)
- しものせき水族館海響館(山口)
- マリンワールド海の中道(福岡)
- 水族館うみたまご(大分) 等々
お出かけされる際には電話で確認してからをオススメします。
スキューバダイビングもおすすめ!
また、水族館ではありませんが、私がよく潜っていた海では(ダイビング)マンボウがよく目撃されていました。それは静岡県の大瀬崎。ゴールデンウィークあたりがマンボウのシーズンのようですが、今年は当たり年だったようで、3月頃から出始めて3月後半からは目撃情報が多かったようです。必ず見られるわけではないし、どちらかというと珍しい魚ですがダイビングをされる方、これからしたい方は運試しに行ってみるのもいいかと思います。ちなみに私はこの時期に大瀬崎に潜ったことがないので、残念ながら出会ったことはありません。しかし、大瀬崎は色んな魚が集まりマンボウに会えなくても楽しい海ですよ。
ペットにできる?
マンボウは大きくなると、長さが3mほど、重さが2トンほどにもなる世界最大の硬骨魚類なので、観賞魚とするには超巨大な水槽が必要です。これほど大きな水槽を整備するのは大変で費用もかかるので、個人でペットとして飼うのは、かなり困難です。
まとめ
マンボウ最弱説という変な噂を流されてしまっているのですが、実はとても頭のいいお魚です。速く泳ぐこともできました。水族館では餌やりにダイバーが水槽に入ると近寄ってきてダイバーの周りを泳ぎ出すほど人に懐きます。マンボウに興味を持った人もいるのでは?新種が発見されたりと、大学での研究も進んでいます。人に懐くとてもかわいい魚です。