海の中にはたくさんの危険生物がいます。海の危険生物と聞くと、サメ!という印象が強い方が多いかとは思いますが。(映画の影響なのかな?)。スキューバダイビングでサメよりも恐れている生物は『ゴマモンガラ』(モンガラカワハギの仲間も)です。魚なのですが、なぜサメよりも恐れているのか!今日はその生態などついてご紹介しましょう。
生態は?
ゴマモンガラはモンガラカワハギ科です。英語ではTitan triggerfishです。繁殖形態は卵生で、すり鉢状の巣を作って産卵し、卵を守ります。同じ仲間のモンガラカワハギは体長30センチ程度で、水玉模様が特徴的です。こちらの種は模様も可愛く、ゴマモンガラとは違いスキューバダイビングで人気です。特に幼魚は体全体に水玉模様が出ているので愛らしい姿から人気が出ています。
生息地
インド洋や西太平洋など温暖な海に生息しています。サンゴ礁域ではよく見られる魚です。
大きさ
モンガラカワハギの仲間の中では大きく、ゴマモンガラは体長が75cm程度にまで成長します。サンゴ礁の中で餌を食べて、こんなに大きく育つんですね。
餌は?
食性は甲殻類や貝類、ウニ、サンゴ等です。
産卵期に特に危険になる
ゴマモンガラは出会うと危険!と思われているダイバーも結構多いかと思いますが、実はおとなしい時期もあるのです。ピリピリする条件が2つあって、1つ目は産卵期。産卵前から産卵後に卵が孵化するまで卵を守っている時期がピリピリする時期です。普通に考えたら当たり前ですよね。わが子を守るために体張っているのです!!他の動物や生物も子育て中はピリピリしているもんです。そして2つ目は水温。なぜ水温が条件となってくるのかというと、ゴマモンガラは産卵後に発育状況を良くするために、水温が28度以上でないと産卵しないのだそうです。なので水温が25度以下だとまだ産卵時期ではないとおとなしくなり、水温が28度以上になると、産卵し子どもを守るためにピリピリします。水温を敏感にキャッチ出来るなんて凄いですね!!そして、それが子どもの発育状況を良くするためだなんて、よく出来た母親ではないか。(母親が産卵後も卵を守ります)。ちなみに他のモンガラカワハギの仲間も普段は臆病で人間を見るとすぐに逃げて行ってしまいますが、産卵期はピリピリします。ゴマモンガラもモンガラカワハギも変わらないのに、なぜモンガラカワハギだけが人気なのか不思議ですねー。大きさもだいぶ違うのもありますが、一番の違いはその見た目かなー。お世辞にも可愛いとは言い難い容姿をしていますものね…。人は見た目じゃないと良く言うけれど、他の生物にまで見た目を持ち込んでいるので、やはり見た目がとても重要なのですね。ってなんの話じゃい。
スキューバダイビング
ダイバーが一番注意している生物と言っても過言ではないかと思います。ですが、先にも述べたようにゴマモンガラは子どもを守っているのです。ダイバーは彼女らのテリトリーに入ってしまっていたのです。テリトリーに近づくとゴマモンガラは近づいてきます。この信号に気づかず入っていってしまうといけないですね。ではどうすればいいか。
海水浴やスキューバダイビングでは?
ゴマモンガラのテリトリーは産卵場所を中心にドーム型になっているそうです。時期によって異なり、産卵前は、産卵場所から半径15メートル。産卵後は、産卵場所かから半径2~3メートル。産卵後のほうが小さいのは卵をすぐ近くで守らなければいけないからでしょうね。子どもを置いて、その間に他にやられてしまってはいけないですからね。なので、彼女らが近づいてきたらとにかく一直線に逃げ、産卵場所のテリトリーから抜け出しましょう。どうすればいいかを知ると安心度が全然違いますね。そして、むやみやたらに近づいてくるわけではないということを知っているということも、大切です。せっかく海で出会った生き物ですから、一緒に泳いだりしたいです。
意外と食べられる?
その容姿からなんとなく食べられないような感じもしますが、お刺身にすると美味しいようです。赤身でコリコリと歯ごたえがあり弾力もあります。また塩ゆでも身がプリッとして美味しいそうです。ちょっと食べてみたいですね。しかし、カワハギ系は捌くのが難しく私はとても苦手なので捌かれたものが食べたいけど、売っているのはなかなか見たことがないですね。沖縄県では食べられてるようなので、沖縄では売っているのかな?
水族館で見れる?
以前は、沖縄美ら海水族館でもゴマモンガラを飼育していましたが、現在は展示していません。市立しものせき水族館「海響館」や名古屋港水族館でゴマモンガラを見ることができます。
ペットにできる?
ゴマモンガラはサンゴ礁のあるところに生息しています。そのため飼育にはサンゴ礁も入るような巨大な水槽が必要です。個人でその設備を整えるのは難しいです。また、気性が荒い魚でもあり、歯は貝を噛み砕くこともできるので、ペットにすることは困難です。
まとめ
海で遊んでいる時、生物が自らくることはほぼありません。誤って触ってしまったとか、こちらから触ろうとしたとか以外では近づいてきませんが、モンガラカワハギは向こうから近づいてきます。よく、「何もしていないのに近づいてくるのはモンガラカワハギ系だけ」と言われますが、それは違いますね。産卵期のテリトリーに入ってしまっているので、何もしていない、は間違いです。彼女らは必死に可愛いわが子を守っているのです。ちょっと感動しちゃいました。私も母ですから気持ちはよく分かります。彼女らを悪者にしないためにも、海に入る際には水温を確認し、気にしなければならない時期なのかを前もって知ることが大切ですね。サンゴ礁が広がる綺麗な25度以下の海で、彼女らと一緒に泳ぎたいなと思いました。