私は高校生のときに修学旅行で北海道に行きました。その時、いろんな生物と出会ったのですが、中でも印象的だったのが「ナキウサギ」(英語ではPika)。ガイドさんの説明によると、なんでも「生きた化石」だとか。ウサギが生きた化石?そしてそのネーミングに興味を惹かれた私。帰ってから調べてみたことをとても良く覚えています。今日はそんな「ナキウサギ」をご紹介しましょう。
ナキウサギの生態は?

ナキウサギは250万年前の氷河期に誕生した哺乳類です。この時代に生息していた代表的な動物にマンモスがいます。現代に生きたマンモスはいませんが、ナキウサギは世界中の山地に今も氷河期時代の姿を保って生息しているのです。特徴は?私は小さいころ図鑑を見て、よく動物スケッチをしていました。ナキウサギも描いたことがあったのですが、最初はネズミの仲間と思いながら描いていたくらい、ネズミに似ています。なぜなら耳が丸くて小さい形をしていて、脚も短い。そして、尻尾がないように見えるのです。
ウサギの仲間
発見した人が、なぜウサギの仲間と分かったかというと、 歯がウサギの特徴と同じだったからです 。ナキウサギの歯はウサギの歯と同じ本数で、ウサギの特徴である上の歯が2重になっているのです。またウサギのようにピョンピョン跳ねながら移動します。これらのことからナキウサギはネズミの仲間ではなく、ウサギの仲間だと分かったのだと言います。こういった謎解きのようなことを出来る人がうらやましいです。ウサギの仲間だと分かったときのスッキリ感といったら気持ちのいいものだったでしょう。
大きさ

ナキウサギの尻尾は5mmほどしかなく、体毛に埋まっています。そして、身体は小さく15cmから18cmほどで、手のひらサイズ。生きた化石なんて言われると、シーラカンスのようなものを思い浮かべますが、手のひらサイズの可愛い生きた化石もいるんですね。
餌
ナキウサギは草食動物ですが、高山植物の葉や茎、花やコケなどなんでも餌として食べます。夏場は、生えている草を食べています。冬が近づいてくると「貯食」といって、雪が積もるまえに巣穴の近くに集めて、近くの岩場の隙間や木の根の下などに食料を溜め込みます。また自分で干し草を作ることもします。その食料を冬の間に少しずつ食べながら冬を越します。自分で干し草を作るなんて賢いですよね。生きていくためにどんな生き物も色々な工夫をしていて、それを知ることはとても面白いですね。
鳴き声
また、名前の通り、甲高い声でよく鳴きます。彼らがよく鳴くのは夏の間のことです。冬は雪の中で暮らすため、周りとあまりコミュニケーションを取っていないのではと考えられています。一人で岩の上に座って、岩原を見渡しています。
寿命

ナキウサギの寿命は短く、5~6年程度と言われています。エゾナキウサギは、他のナキウサギよりも寿命が短く4~5年です。日本で見られるエゾナキウサギはもともとヨーロッパの生き物でした。氷河期で陸地が繋がっているころ、北海道から渡ってきたのがエゾナキウサギの祖先だと言われています。冬眠するの?ナキウサギは冬になっても冬眠をしません。雪が30cmくらいなら外に出て、動き回ります。それ以上雪が積もったら、巣穴のトンネルの中を移動して生活しています。夏に溜めた餌を食べながら冬を越すのです。つまり、氷河期から生き残っているため寒さに強いのですね。雪が30cmも積もっていたら、家の中でぬくぬくしていたいものです。
賢い暮らし方。生息地は?
ナキウサギは、アジア・北アメリカおよび東ヨーロッパの一部の、寒冷な気候の土地に分布します。日本ではエゾナキウサギが、北海道に生息しています。暑いところが苦手で涼しいところでないと生きていくことが出来ません。そのため多くのナキウサギは標高1500m以上の岩場に生息しています。
縄張り

縄張りがあり、縄張りに別のナキウサギが侵入すると戦います。ナキウサギは、オスとメスのつがいで同じ縄張りを共有しています。ねずみは寿命は短いことは有名ですが、ウサギの仲間のナキウサギは寿命はどのくらいなのでしょうか?少し気になりますよね。気になったので調べてみました。また、ナキウサギをペットとして飼育することができるのか?についても検証していこうと思います。
ペットとして飼える?

誰もが思うのが「こんなかわいいナキウサギを飼いたい!」という気持ち。しかし、残念なことにナキウサギはペットとして飼うことができません。というのもナキウサギは北海道のように寒い地方に生息している動物で、ペットとして飼うとなると温度管理がとても大変になるからです。なので、温度管理ができずに死んでしまうことが多いようです。また、販売しているペットショップのほぼ無いようで、入手するのも非常に難しい状況だとされています。
動物園で見られるの?

ナキウサギは動物園での飼育はされていないようです。理由としては、飼育することが難しいこと。標高の高い寒冷地で生息しているため、人の手で環境を整えて飼育する方法が確立されていません。また生態が明らかになっていないことも大きな要因とされています。
見るにはどうする?

私は高校の修学旅行で北海道へ行き、星空観測をしました。山を少し登ったところでしたのですが、ガイドさんから耳を澄ましてみてと言われ。しばらく静かに耳を澄ましていると聞こえてきたのがナキウサギの「キュンッ」という可愛い鳴き声。姿を見ることは出来ませんでしたが、こういった触れ合い方もいいかなと個人的には思います。暗闇で月明りと星が綺麗に瞬く中、動物の鳴き声に耳を澄ませることは頭を空っぽに出来て、とても素敵な体験でした。動物園で見るのもいいですが、見られない生物を野生の状態で感じることもまた楽しみの一つだと思います。北海道へご旅行の際は、ナキウサギを探してみるのも良いかもしれませんね。
まとめ
氷河期に誕生したので「生きた化石」ともいわれているナキウサギについてまとめました。小さいけれども、ウサギの仲間でした。その甲高い鳴き声も可愛いです。動物園では飼育しておらず、またペットとして飼うこともできないので、北海道に旅行に行って見るしかないです。岩場の上にちょこんと座っている姿が可愛いです。