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ヌタウナギのサメも逃げる粘液とは?味は?別名は棒アナゴ!

知っている人にも初めて知った人にも、印象に残るヌタウナギです。ところが、これが結構注目を浴びている。いったいどこにそんな注目すべき点があるのか。調べてみました。

生態と特徴

出典:PIXTA

そもそもヌタウナギって何?というわけで生態などについてまとめてみた。

ウナギではない

沼津港深海水族館の水槽の中を泳いでいる

勿論、アナゴでもない。厳密にいうと魚類ですらないが、便宜上魚類(無顎類)の仲間に入れてもらっていることが多い。脊椎動物に分類されているが背中を通るのは脊椎ではなく、軟骨の脊索というもので、

「硬骨魚類より下等な軟骨魚類よりももっと下等な円口類に属し、脊椎動物の最下等に位置付けられる」

という、そこまで「下等」と繰り返さなくても、と軽く同情を覚えるくらいに下等な脊椎動物らしい。なので名誉のために付け加えておくと、3億年その姿を保っている「生きた化石」であります。また「染色体放出」という、生物学的な役割が不明な現象を示すことが分かった初めての脊椎動物でもあります。ヌタウナギは脊椎動物の起源や進化を考える上では重要な生物なのだ。

大きさ

八景島シーパラダイスで飼育しているヌタウナギ

長いヌタウナギになると1m近くになります。シングルベッドの横幅くらいの長さになります。

口など

ヌタウナギの口 出典:PIXTA

細長い体についているのは、ほぼ口だけという容貌。ヒレも尾ビレしか無く、口があっても顎がない上に目も皮下に埋もれている。極め付けに、ヌタと呼ばれるヌルヌルした粘液に覆われているという不気味な生き物。英語ではHagfish(醜い老婆、魔女の魚)と呼ばれている。目は、3億5千万年前の化石で見ると、もっとしっかりしたものがあたが、進化の過程で埋没したらしい。埋まっているが一応光には反応する。

基本腐肉食。大型魚類の死骸に群がり、吸着して内部を侵食する。食べ方すら気色悪い。ゴカイ、頭足類、甲殻類など生きた獲物を餌として捕食することもあるらしい。

生息地

ムラサキヌタウナギ

ヌタウナギは約60種に分かれ、主に南北両温帯海域の深海に生息する。

粘液はサメにも嫌われている

名前の由来になっているヌタという粘液は、繊維状の蛋白質で、体に一列に並ぶ70〜200個の放出孔から放出される。ヌタウナギは危険を感じるとこのヌタを分泌し、放出されると海水と反応し自分の体積の何十倍ものゲル状の物質になる。そのネバネバ感は半端無く、サメさえも捕食を諦める。食べようとしたら、口の中が粘液だらけになってしまうのだ。ある意味、ヌタウナギは最強なのであった。あと、ネバネバが網についたり、網にかかった魚を食べちゃったりするので人間の漁師にも嫌われている。

結構注目の粘液

サメもたじろぐネバネバだが、「これなんかの役に立つんじゃない?」と考えてしまうのがうのが人間。大量の水分を一瞬でゲル状に変えてしまうヌタウナギの粘液には微細な繊維が含まれている。その繊維は直径わずか1ミクロンで人間の髪の毛の100倍以上も細く、ナイロンの10倍もの強度があることが分かった。ヌタウナギの粘液は、新たなヒドロゲル開発や繊維製品への応用などの研究対象となっている。ヌタウナギのお陰で物凄く吸収力の良いポリマーや、軽くて破けにくい繊維製品などが開発されるかもしれない。

水族館で見れる?

アクアワールド茨城県大洗水族館や下田海中水族館、仙台うみの杜水族館、沖縄美ら海水族館、沼津港深海水族館でヌタウナギを見ることができます。旅行や観光などでお立ち寄りの際は、ぜひ見に行きましょう。

ペットにできる?

ヌタウナギは比較的浅い海の砂の中にいるため、普通に漁をして生きたまま港に水揚げされます。それを生きているうちに購入すれば、アクアリウムでペットにできます。ただ、水槽がすぐに粘液でネバネバになるため、掃除が大変でしょう。

棒アナゴだけじゃない。韓国では人気のヌタウナギ料理。

その味は?日本では秋田県でクロヌタウナギを干したものが「棒アナゴ」として食されている他、一部地域で食用にされているが、全国的にはほとんど流通していない。ところがお隣韓国では滋養食として昔から食用になっており、日本やアメリカからも輸出されているそうだ。料理の仕方は、炒め煮や唐揚げ、焼肉もあるらしい。東京大久保の韓国料理屋でヌタウナギを出している店もある。食感はプリプリで、味は淡白、とても美味しいとのことなので、この際見た目は忘れて、一度試してみてもいいかもしれない。私は試さないが。

まとめ
  1. ヌタウナギは見た目も生態もグロい生きた化石。
  2. 脊椎動物の起源や進化を知るために研究されている。
  3. 粘液が新素材の研究材料として注目されている。
  4. 韓国では昔から食べられていて味はおいしい。

と、愛情は決して湧かないが同情を覚える生き物だった。

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