「今も生きていたら・・・」と、最も思いたくなる巨大海獣です。ステラーカイギュウは大きな体を持ち、優しい性格の動物でした。今回は「あー!生きている姿を見たかったよーーー!!!」という気持ちを抑えながら、その生態や絶滅の経緯、そして生存の可能性などについて調べてまとめてみました。
生態
ご存知の通り、ステラーカイギュウはすでに絶滅したと考えられている動物です。どんな生態をしていたのでしょうか?英語ではSteller’s-sea-cowです。
生息地。発見当時は北太平洋ベーリング海コマンドル諸島周辺に生息していました。もともとステラーカイギュウは広く分布していて、10万年前には日本からカリフォルニアの沿岸まで生息していたとされています。その後、気候変動や、1万年ほど前からの人間の定住などにより徐々に生息域を減らしていきました。ただ、数を減らしたことに関しては、寒冷地に住む他のカイギュウ種が有史以前にすでに絶滅したことを考えると、気候変動の影響が強かったと考えられています。温かめの地域でも生き延びている同じカイギュウ種のジュゴン、マナティが生きているのはそういう理由もあるのかもしれませんね。
特徴。
- 冬:あたりは一面が流氷。あまり潜ることが上手ではないので、のんび〜りプカプカしていました。
- 夏:群れで行動していて、餌を食べる時は浅瀬に集まって昆布をもぐもぐ。ヒレ状になった前足で、海底をゆっくり歩いていたと考えられています。繁殖期も冬が終わった春に始まり、一年以上の妊娠を経て1匹ほど子を産んだそうです。
まとめると冬はプカプカ、夏場は浅瀬に集まって活発に行動ということでした。
大きさ
- 体長 7m以上
- 重さ 5~12t
とてつもない大きさですよね。一説によると体長9mにもなるステラーカイギュウも生存していたということです。ジュゴン目のことを日本では海牛目ということがあります。なので「ジュゴン」や「マナティ」は仲間です。大きさでいうと、マナティは4mほどなので倍も違います。さらにステラーカイギュウは胴回りも半端なかった様子。なんと、胴回り6m以上もあったんです。しかも皮下脂肪は10~20cmあったそう。人間だったら相当なデブですね。何度も言うけど「こんな動物見たかったなぁ・・・」
食生活や餌は?
昆布などの海藻を餌として食べて暮らしていました。噛んだりせず、そのまま飲み込むという食べ方でした。消化器系の機能がものすごくよかったので、噛まなくてもよかったということです。冬になると食生活は一変!海一面が流氷に覆われたため絶食状態になります。胴回り6メートル越えの体がこの時に活きて、夏場に蓄えた脂肪で冬を乗り越えていたんだとか。そんなことなので、最大6メートルもあった胴体も、しまいにはガリガリにやせ細りました。こんな食生活をする動物はあまりいませんよね。
寿命
ステラーカイギュウはジュゴン科です。ジュゴンは温暖な海域に生息していて野生での寿命は70年ほどです。比較的暖かい地域に生息するヒグマも寒冷な北極圏に住むホッキョクグマも野生での寿命が25年~30年と、ほとんど変わらないことから、寒冷な海域に生息するステラーカイギュウの寿命もジュゴンとそれほど変わらず70年ほどだったと考えられます。
性格
とってもやさしくていい奴なんですよ!仲間想いが強く、夫婦愛はめちゃくちゃ強かったようです。人間が乱獲を始めた時のことです。人間への警戒心は少なく、殺されかけている仲間を助けるために、仲間に近づき突き刺さっているモリを引き抜いたり、絡められたロープをほどいたりと、仲間想いでした。しかし、そんな優しさや人懐こしさが逆に絶滅するのを早めてしまいました。なんとも言い難いですね・・・悲しい。そんなわけで次は、ステラーカイギュウのあまりにひどい絶滅原因。そして生存の可能性について探っていきます。
絶滅
ステラーカイギュウは1768年に絶滅しました。
その経緯。
座礁した船が、コマンドル諸島に到着しました。多くのものが、飢え、病気で命を落としました。そこへ現れたのが、ステラーカイギュウでした。1741年のことです。こんな見たこともない食料にうってつけの獲物を見た船員たちは、早速ステラーカイギュウを食料とし始めます。肉、脂肪を手に入れました。その結果、船員たちはなんとか故郷へ帰還。そこでステラーカイギュウの噂が広まり乱獲が始まりました。元来、警戒心が薄く人懐っこいため、発見当初2000頭いたステラーカイギュウは、その後、わずか27年で絶滅してしましました。
激おこ!
座礁した乗組員たちはステラーカイギュウが居なければ、死んでいたんですよ!なんで、助けてくれたステラーカイギュウを感謝し、保護しようと思わなかったのでしょう!怒りが湧いてきます。時代背景の違いがあるのはなんとなく分かります。しかしそれにしても、「そのくらいできるだろ!おい!!!」と思った絶滅の経緯でした。しかし、本当に小さいながらもわずかな期待が残っていました!
目撃情報と生存の可能性。
目撃情報は、チラホラありました。しかし、それが本当にステラーカイギュウなのかは不明確です。写真証拠などはありませんが、捕獲されたという情報もあります。
一番最後の目撃情報。
そんななか、ステラーカイギュウらしき生物が最後に目撃されたのは1962年です。ベーリング海で科学者の目撃情報があります。状況はというと”見慣れない巨大生物6頭が群れになっていた”というのです。クジラや、シャチではないか?という声も上がっていますが、これは信じたいところ。ベーリング海での目撃、さらに群れになっていたということですからこの群れがステラーカイギュウである可能性は高いと思います。
最後が1962年ということで、それから現在まで50年以上。この間に目撃がないというのはちょっぴり悲しいところですが、生存可能性0ではないのではないでしょうか?少ない望みではありますが、生きていて欲しいと願うばかりです。
博物館での目撃情報。
福井県立恐竜博物館には復元骨格模型が保存されています。時々、日本各地で出張展示されています。機会があれば見に行きたいですね。また、2017年にはロシアで、体長7mほどのステラーカイギュウの化石が発見されています。
まとめ
骨格標本はいろいろなイベントで展示されているとのこと。どんな生き物だったか生で見たい人は1度訪れてみても良さそうですね。以上、絶滅して欲しくなかった動物トップ10には入るであろう「ステラーカイギュウ」の情報でした。また目撃情報があり次第、追記しようと思います。