かつて日本各地に生息していたトキですが、1981年に日本では野生では絶滅したとされていました。学名はNipponia-nipponです。赤い顔に黒いくちばし、ピンクがかった羽が美しい鳥です。2019年1月に「野生絶滅」が見直されたことでも一時話題になりましたね。この記事では、
- 生態
- 絶滅危惧種になった理由
- 現状
- 国内で見ることのできる場所
などについてご紹介します。
生態

ペリカン目トキ科です。英語ではIbisで、漢字では朱鷺と書きます。かつて国境など関係なく、東アジアの空を飛んでいました。くちばしは黒く、先端が赤いです。全身は白っぽいですが、春から夏にかけて翼の下側は朱色がかったピンク色になり、脚も頭と同様に朱色です。非常に珍しい羽色変化をおこなう鳥としても有名なトキです。普段は白色で、繁殖期にはいると灰色に変化、繁殖期が終わるとまた白色に戻ります。オスとメスで性格の違いが大きく、オスは食欲旺盛で攻撃的、メスは食欲が少なくおとなしいと言われています。
生息地。

日本では、北海道、本州と周辺島嶼(伊豆諸島・佐渡島・隠岐諸島)、四国、九州、琉球諸島といった日本各地に分布していました。日本国外では、朝鮮半島、台湾、中国、極東ロシアなどの東アジアの広い範囲にわたって、トキは生息しており、1800年代には日本だけでも100万羽以上いたと言われています。
大きさ

トキの全長は70-80cmで、翼開長は約130cmにもなります。オスの体重は1.9kg前後、メスの体重は1.5kg前後です。鳥類に例えると、オオタカと同じくらいの大きさです。
餌。

トキは、くちばしの触覚が発達しており、湿地や田園などの泥中に差し込んで捕食します。主に、
- ドジョウ
- サワガニ
- カエル
- 昆虫
を餌として食べています。
鳴き声
冬の森林の中を飛んでいます。
カラスによく似ており、「ターア」「グァー」「カッカッ」と濁った鳴き声です。

コウノトリやツルのように、首を伸ばしたまま飛び、羽ばたき方はサギよりもやや小刻みで真っ直ぐに飛ぶのが特徴です。
寿命

トキの寿命は野生下で10~15年程度と推定され、飼育下では20年前後と言われています。最後の日本産のトキである「キン」は、推定36歳。野生下での推定寿命を考えると、キンは凄く長生きですよね。
繁殖。
通常は、トキは数羽から十数羽程度の群れで行動しますが、繁殖期は、つがいや単独で行動します。マツやコナラ、クヌギやバビショウなどの木に、直径60cmほどの巣を作ります。春(3月下旬~4月上旬)に3~4個の産卵。抱卵はオスメス交代制で1ヶ月程。孵化後、1ヶ月~1か月半で巣立ちます。
種類
トキ(Nipponia nippon)を始めとしてシロトキやクロトキなど色々な種類がいます。その一部を紹介します。
ショウジョウトキ
南アメリカ大陸北部やカリブ海沿岸に生息しています。

羽を広げようとしています。
オーストラリアクロトキ

オーストラリア大陸に生息しています。英語ではAustralian White Ibisですが、日本ではクロトキと呼んでいます。
シロトキ

北アメリカ大陸南部から南アメリカ大陸北部に生息しています。

小枝をくわえて、巣を作っています。
絶滅した理由!人間のせい?

トキがたくさんいた頃は、時は田んぼや畑を荒らす害鳥として認識されており、盛んに駆除が行われていました。稲作の苗を踏んづけてダメにしたり、苗に有益な虫を食べてしまい、人間にとっては邪魔な鳥だったのです。そのため、乱獲の対象になり、一気に数を減らします。人間のしわざで絶滅に向かいます。また、工業化のため、水質汚染が進行し、餌となる小魚や昆虫類を介して、有機水銀などがトキに蓄積したことも、生息数が減少した理由です。これも人間のせいです。そのため、1981年、日本ではトキは野生絶滅となりました。人間のせいで絶滅となりました。2010年時点では、中国に約600羽、日本に112羽、韓国に2羽生存が確認されています。(人工繁殖・飼育にて)
現状は?国内の動物園で見ることはできる?

日本の野生のトキは完全に絶滅しましたが、中国から一部を貰い受け、繁殖に成功しています。2008年から佐渡への放鳥が行われており、再び日本の空にトキが舞ったと話題になりましたよね。放鳥後に数羽(特にメス)が佐渡島から離れ、新潟県の本州側や、長野、富山、石川、福井、山形、秋田、宮城、福島の各県にも飛来も確認されています。その後野生でも繁殖が確認され、2019年時点で野生下の個体数は430羽と推定されています。そのため、現在は絶滅ではなく絶滅危惧種となっています。
<現在トキが飼育されている日本の施設>
- 佐渡トキ保護センター(新潟県佐渡市、104羽)
- 佐渡トキ野生復帰ステーション(新潟県佐渡市、33羽)
- 佐渡市トキふれあい施設(新潟県佐渡市、6羽)
- 長岡市トキ分散飼育センター(新潟県長岡市、8羽)
- 多摩動物公園(東京都日野市、18羽)
- いしかわ動物園(石川県能美市、14羽)
- 出雲市トキ分散飼育センター(島根県出雲市、6羽)
野生のトキを観るには佐渡島に行くことをおすすめします。一番見やすい時期は稲刈り後のトキの羽色が白の状態である10~12月ぐらいみたいです!トキの森公園周辺の田んぼでよく見かけられているようです。携帯では撮影できませんので、望遠の効くカメラを持っていくことをおすすめします。是非、絶滅危惧と言われたトキの姿を一度は見て頂きたいですね^^
まとめ

ここまで、トキの生態や種類、野生絶滅した理由などを調べてきました。やはり、絶滅したのは「人間のしわざ」でした。Nipponia-nippon以外にも世界中には色々な種類のトキがいました。現在は佐渡以外でも日本各地でトキが飼育されていて安心しました。