短めの耳がなんとも可愛いアマミノクロウサギです。これは日本本土にいるニホンノウサギとはだいぶ違った印象を受けます。また、特別天然記念物となっています!その生息域や生息数などについて調べてみました。
生態
奄美大島は島だったため、アマミノクロウサギは古くから野ウサギと接触することもなく、固有の種として生きてきました。
英語ではAmami-Rabbitで、漢字では奄美野黒兎と書きます。現在生きているウサギの中では最も原始的な姿をしており、生きた化石と呼ばれる種の1つです。
生息地。
奄美大島と徳之島。徳之島という島にもいるんですね。
大きさ
アマミノクロウサギの体長は40cm〜51cmで、重さは1.3kg〜2.7kgです。ちっちゃい!
耳も短めです。一般的なカイウサギの耳は長いです。
特徴。
普通のウサギと違って、後ろ足はぴょんぴょんしづらい体型です。その分、前足は巣穴を掘るのに適した爪を持っています。クロウサギには失礼ですが、ゴツくなったネズミ?に思えてきます。笑。基本的には単独行動です。鳴き声や、後ろ足で地面を叩いたりしてコミュニケーションはとっています。
寿命
動物園での飼育下では、アマミノクロウサギが15年生きたという記録もあります。
特別天然記念物で絶滅危惧種。
アマミノクロウサギは、1921年に、天然記念物に登録。1963年に特別天然記念物に登録されました。絶滅危惧種の仲間です。1975年に開催された沖縄海洋博(EXPO75)を記念して、マダガスカルで発行された切手です。国際親善にも役立っています。奄美大島や徳之島と同じように、マダガスカル島にも、たくさんの固有種がいて、絶滅危惧種もいます。
生息数が減少。
一番新しい2004年頃の生態調査の結果では、アマミノクロウサギは奄美大島では2000〜4800匹、徳之島では100〜200匹、ということでした。しかし、10年前には2500〜6000匹はいたとされており、明らかに減少していることがわかりますね。原因と、現在の経過は後述します。
天敵は?
アマミノクロウサギには天敵がいっぱい。以前の天敵はハブだけでしたが、近年の海外貿易、人間の生活でいろいろと増えてきているようです。
天敵・ハブ。
昔からいる天敵がハブです。他には鳥とかも天敵に入るのかなと思いましたが、ハブの方が被害が大きいんだとか。巣穴に入り込んでいきます。
天敵・マングース。
もともとの天敵は沖縄在住のハブでした。しかし、ご存知の通りハブ対策として持ち込まれ、野生化したマングースがいます。
驚くべきことにマングースはクロウサギの巣穴に入ることもあります。実は、マングースはハブを狩ることはあまりないらしいです。完全に人間の判断ミスですね。マングースが1万頭にも達したときもあるみたいです。でも、画像を見るとマングースもなんかかわいい。
天敵・犬。
クロウサギの天敵はハブやマングースだけではありません。野生化した犬も含まれます。
天敵・猫。
猫も犬と同様に、野猫となります。よくある話ですが、飼いきれなくなった猫、子猫を野生に話した結果だと思います。安易に、野生に放すのはダメです。昔から奄美で生き延びてきたクロウサギですが、大きな天敵がいなかったからこそ生き延びてこれました。そんな時に人間の手によって持ち込まれたマングースや犬、猫たちが、アマミノクロウサギが絶滅危惧種となる原因となりました。少しずつ対策をして、絶滅なんてことがないようにしてもらいたいと思います。アマミノクロウサギを救った、ある訴訟とは?!
森林伐採〜アマミノクロウサギ訴訟〜
天敵は動物だけではありませんでした。自分の利益を追求する、森林の伐採者たちでもあったのです。そのことが大きく取り上げられることになったのは、「アマミノクロウサギ訴訟」というものでした。これはどういったものなのか?ざっくりと説明すると以下の通りになります。
- ゴルフ場開発に、業者が森林伐採の許可を市に求めた。
- 市が、なぜかOKを出す。
- 以前から活動していた環境団体が、猛反発。市に抗議。
- しかし、環境団体は直接に関係がないため、抗議はもみ消される。(条例では、直接的な関係がない限り許可を撤廃することはできない。)
- 苦肉の策として、アマミノクロウサギなどを原告として設定し、議会に提出。
- 議会は、原告が適切でないと却下。
- ところが、ここまでの一連の流れがマスコミに報道され、企業は開発を中止。
この7つにまとめると簡単なような気がしますが、実際はもっと大変なことがあったのだろうと思います。森林伐採をせずに済んだのは、環境団体の方々の活躍のおかげですね。めでたし。アマミノクロウサギたちも喜んでいます。森林開発などにより絶滅危惧種となる動物はたくさんいます。
生息数が回復の兆し。
2004年からいろいろな計画が実施されており、少しづつではありますが減少傾向は緩やかになっているようです。今後も気になるところではありますが、もともといたくらいの生息数に戻ってもらいたいものですね。
動物園で繁殖成功
鹿児島県の鹿児島市平川動物公園で、アマミノクロウサギの繁殖に成功しました。日本、(おそらく世界でも)では初めてのことです。クロウサギのためにこれからも頑張ってください!北海道にはやはり生息域が減少しているエゾナキウサギがいます。アマミノクロウサギと同じように、ナキウサギも生きた化石です。
現在、日本の動物園で見れる?
先ほど述べた通り、過去には鹿児島市平川動物公園で飼育し公開していましたが、現在は公開していません。そのため、国内の動物園で見ることはできません。次に説明するように、奄美大島に旅行して、アマミノクロウサギツアーに参加して見るしか方法はありません。
ペットにできる?
国の特別天然記念物のため、アマミノクロウサギを個人でペットにすることはできません。また、鹿児島市平川動物公園で飼育はしてはいますが、体調管理などが動物園でも難しいです。そのため、個人でペットにすることは、そもそも無理でしょう。家の庭にアマミノクロウサギがいたら、調査団がやってきてしまいます。
ツアーも!
徐々に回復し始めたおかげで、クロウサギツアーというものが開催されています。貴重なアマミノクロウサギを見たいという方は是非参加してみてはいかがでしょうか?
まとめ
絶滅危惧種のアマミノクロウサギくんは、一時はかなり生息数が減少してしまいました。しかし、様々な行動によりちょっと回復傾向にあります。今後も貴重な天然記念物として生き延びて行って欲しいです。