タスマニアタイガーはオーストラリア、タスマニア島にのみ生息していました。独自の風貌と、目撃情報の多さから、絶滅してしまったといわれる現代でも人気のある動物です。その絶滅原因や目撃情報、生存可能性まで検証してみました。
生態は?

別名はフクロオオカミとしても知られていますが、意外にも、その生態は知られていません。それに迫ってみます。
トラ?オオカミ?
トラなのでしょうか?それともオオカミなのでしょうか?答えはオオカミです。呼び方もいろいろで、タスマニアタイガー、フクロオオカミなど、トラとオオカミどっちなの?と言いたいところですが、生態的にはオオカミに近いです。そもそもタスマニアタイガーと呼ばれたのは、トラに似た背部の縞模様のせい。本来はオオカミでした。
特徴。
基本的におとなしい性格とされています。特徴を見てみます。フクロオオカミとも言われるように、お腹にフクロを持っていました。これはカンガルーなどオーストラリアによく見られる有袋類の特徴です。そんなわけで、オオカミであるタスマニアタイガーは有袋類の一種にも含められる非常に珍しい種類の動物でした。この珍しい進化は収斂進化と呼ぶそうです。また、北半球の動物たちと体のつくり、生態などが似通っているにもかかわらず、オーストラリア以外の動物とは近親に当たる動物はいません。そんなタスマニアタイガーはオーストラリアで独自に進化した動物の一つです。同じく有袋類でオーストラリアに生息する、フクロネコもいます。
習性。
繁殖期はつがい、基本的に単独で行動していました。夜行性です。
大きさ

タスマニアタイガーの全長は100cm~130cmです。重さは約30kgです。普通の大きさ、と言いたいところですが、大きめの犬で知られる「ゴールデンレトリバー」より体がちょっと大きい程度。重さは同じくらい。大きな犬が細長くなった感じのオオカミです。
餌は?
見ての通り、肉食動物です。あまり走るスピードは速くなかったので、持久力がたのみでした。タスマニアタイガーは持久系アスリートというところですね。しかし、タスマニアタイガーは大きさの割には、小さめの動物を食べ物とし、オーストラリアに生息するワラビーなどをよく食べていたと考えられています。また、家畜として飼っていた羊なども食べ物としていました。
生息地
人間進出前はオーストラリア全土。人間進出後はタスマニア島。生息地の減少については絶滅の原因にもなったので、次の章で説明します。しかし、もともとオーストラリア全土に生息していたのは驚きですよね。
絶滅の原因

先ほども述べた生息地の減少は3万年前にさかのぼります。人間がオーストラリア大陸に進出してきました。そこで、人間に飼われていたディンゴ(オオカミや犬に似ている独自の種)との生存共存に負けて、人間が住み着くのが遅かったタスマニア島でなんとか生き延びていました。これは、ディンゴの群れでの狩りに対して、タスマニアタイガーは単独の狩りだったため生存競争に負けたと考えられています。タスマニア島で生き延びたまでは良かったのです。が、やはり人間の移住によって滅びる方向へ向かって行きました。
タスマニア島への人間の進出。

タスマニア島に人間が進出し、羊などを飼っていました。そこで、羊を襲うタスマニアタイガーが目の敵にされ始めたのです。そして19世紀後半からタスマニアタイガーに懸賞金がかけられました。そこで2000頭以上が天国へ行きました。(たぶん天国)。結果として、1930年に野生のタスマニアタイガーは絶滅したと考えらました。しかし、1933年に再度発見され動物園で保護されましたが、ついに1936年に死亡し、完全絶滅をしたと考えられています。タスマニア島で絶滅したフクロオオカミでした。日本ではニホンオオカミが絶滅しました。同じタスマニア島の絶滅危惧種であるタスマニアデビルもいます。しかし、例のごとく目撃情報が後を絶ちません。
生存可能性と目撃情報
2009年の動画がこれ!目撃情報が多いことは間違いなし。2003年にはニュースにも報道され、ごく最近では2009年にそれらしき動物の動画も撮られています。体格的にはほぼタスマニアタイガーですよね。しかし、真偽は謎のままです。
調査による結果は?まとめ

残念なことに、調査団などによる調査では、生きていると考えられる確実な証拠はないようです。さらに、とある海外の情報を見たところ、目撃情報の多くは嘘である可能性が高いと書いてありました。信じたくはないですが、おそらく絶滅しており、仮にいたとしてもごくごく少数の生息であると考えられますね。一つだけ良い情報を加えるとしたら、現在クローンでタスマニアタイガーを蘇らせる研究も進行中ということです。最近の研究では、遺伝子情報が抽出され、全ゲノムが解析されているそうです。成功の見込みは限りなく小さいとのことですが、科学技術にも期待したいところです。