温和で大人しく、比較的飼育がしやすいことからヘビの入門種としても人気なコーンスネークです。体も丈夫な方ですが、工夫すればさらに長生きさせることが可能です。この記事ではコーンスネークの寿命を延ばす飼育方法をご紹介します。その飼育者の方はもちろん、ペットとして育てることを検討されている人にも是非読んでもらいたい内容です。
そもそもコーンスネークの寿命は何年?
そもそも、コーンスネークの平均寿命はどのくらいなのでしょう。コーンスネークは野生下で6年から10年ほどですが、飼育下の個体ではもっと長く、10年から15年です。適切に育てれば20年生きることもあります。飼育下では環境や食事のコントロールがしやすいため長生きしやすいです。
必見!長生きさせるためには
コーンスネークはアメリカ合衆国の南東部にある、サウスカロライナ州やテネシー州、ミシシッピ州、ルイジアナ州など温暖で湿潤な気候の場所で生息しています。また、森林や松林などの地面で生息していて、時々、木にも登ります。長生きさせるためには、そういった環境や生態を知る必要があります。
①長生きできそうなコーンスネークを見極めてお迎えする。
コーンスネークの状態にも個体差があります。飼育前の段階で個体の状態をよく観察した上で長生きできそうな個体をお迎えすることも、その子と長くいっしょにいられる秘訣の一つです。お店の人に言って様子を見せてもらったり、飼育時の話を聞いてみたりして判断しましょう。判断するためのポイントをいくつかご紹介します。
エサは食べるか。
おむかえを考えているコーンスネークがちゃんとエサを食べるか、事前にチェックするといいでしょう。病気やストレスなどの原因で拒食をおこしているコーンスネークはエサを食べず弱ってしまいます。コーンスネークは毎日食事を与えるような動物ではないため、お店で給餌の場面を見ることはできないかもしれませんが、飼育担当の人に給餌の際の様子を聞いてエサ食いを判断することはできます。
成長した個体である。
幼体、成体など、販売されているコーンスネークの成長具合は様々です。もしあなたが飼育初心者であり、ある程度体調が安定した個体をおむかえしたい場合は成体の個体を選んだ方がいいでしょう。これはコーンスネークに限らず爬虫類全般に言えることですが、幼体より成体の方が販売価格が高い場合が多いです。犬や猫の場合は成長するにつれ値段が安くなりますが、爬虫類の場合は逆なのです。これはなぜかと言うと、爬虫類のベビーは扱いが難しかったり、育てあげるのに手間やコストがかかったりするためです。
爬虫類専門店でお迎えする。
爬虫類専門店の個体をお迎えした方が無難です。爬虫類専門店のブリーダーの方がコーンスネークに関する知識に長けており、適切にお世話している可能性が高いからです。お店の人に飼育の相談もできますし、お店に出入りしている他のお客さんと仲良くなることができれば飼育に関する情報交換もしやすくなります。
②モルフは関係するのか。
コーンスネークはたくさんの「モルフ」(品種)が存在する爬虫類です。他の爬虫類や動物では「アルビノ」と呼ばれる、色素が薄くなる遺伝子を持つ品種は体が弱くなってしまう傾向がありますが、コーンスネークは元々体が丈夫な動物であるためアルビノ個体も他の動物ほど虚弱体質になるケースは少ないです。そのため、モルフを選ぶ際に神経質になりすぎる必要はないでしょう。どうしても心配な人はコーンスネークの原種に近い「ノーマル」や「レッド」と呼ばれるモルフを選ぶのがいいです。原種は品種改良による遺伝子疾患をおこす心配がないため、そういう意味では安心です。
③ストレスのかからない飼育環境。
ストレスは免疫力の低下や病気の発生原因になったりなど、生体へ様々な悪影響があるため、できるだけストレスがかからない飼育環境を用意してあげることも重要です。
飼育ケージは生体の4倍の広さ。
飼育用ケージには水入れやシェルターを入れることも考えると、ある程度の広さが必要です。せますぎるケージはストレスの原因になりかねません。具体的にはコーンスネークがとぐろを巻いた状態の 4 倍の広さがあれば大丈夫です。ベビーから飼う 場合はプラスチック製の虫カゴのような簡易的なケースも使えなくはないですが、生体の成長に合 わせて大きいものに変えてあげるようにしましょう。
隠れるためのシェルターを用意してあげる。
シェルターとは生体が中で休むための隠れ家のようなものです。ヘビは狭い場所に隠れることで落ち着く修正があるため、ストレスなく生活させてあげるためにシェルターが必要です。シェルターを設置してあげると、一日のうちほとんどの時間をシェルター内で過ごすような個体もいます。それだけ安心して過ごせるということでしょう。シェルターの設置により安心して過ごせるようになり、食欲も安定しやすくなります。
大きな水入れを用意してあげる。
水分補給、および水浴びのための水入れ。ヘビの水浴びには皮膚を乾燥から守り、脱皮の成功率を上げるという大きな意味もあります。コーンスネークが設置した水入れの中で、気持ちよさそうに水浴びをする姿もしばしば見かけます。コーンスネークがとぐろを巻いた状態で全身がつかるくらいの大きさのものを選び、水浴びできるようにしてあげましょう。 爬虫類用の水入れも売っていますが、プラスチック製のタッパーなどでも問題ありません。
照明はあてない。
シェルター内を好むコーンスネークは、明るい場所よりも暗い場所が好みです。ケージ全体に照明があたるようなレイアウトにしてしまうとストレスになってしまうのでこれも避けた方がいいです。飼育する際はむしろ専用の照明は必要ありません。ケージに照明があたってしまう場合でもシェルターをおいてあげれば生体の避難場所になりますが、ケージの側面を布で隠すなどの処置をとるとより暗く安心できる環境になると思います。
適正温度と適正湿度を意識して飼育する。
コーンスネークの健康維持のために重要なのが温度と湿度です。コーンスネークを飼う際の適正温度は28~30℃、適正湿度は 50〜60%です。低温は食欲不振に、湿度の低下は脱皮不全につながることもあります。長生きさせてあげたいのであれば細かな調整に気を遣ってあげた方がいいでしょう。温度調整のためにはエアコンや、暖突・パネルヒーターなどの爬虫類用の保温器具を使います。保温器具とサーモスタットを併用することでより正確な温度コントロールが可能です。湿度はケージ内のウェットシェルターに水を入れておいたり、霧吹きで保湿することで一定以上に保つことができます。これらの対応をした上で温度計と湿度計を保温器具から離れたケージの隅に置き、温度や湿度を確認します。サーモスタットを使用する際も保温器具から離れた場所で温度を計測します。気になるようであれば、他の箇所に温湿度計を設置し、高温の場所と低温の場所の両方の温度を確認してもいいですね。
④給餌は適切な頻度と量を心がける。
健康維持のための重要なポイントは食事、給餌です。実はコーンスネークはそこまで頻繁に食事をする動物ではなく、特に成体は体重を維持する程度の食事で問題ありません。食事の与えすぎが肥満につながり、健康を損ねる原因になってしまうため注意が必要です。コーンスネークは肉食。爬虫類専門店などで売っている冷凍のマウスを与えて育てるのが一般的。他のエサは特に必要なく、成長度合いに合わせた大きさのマウスを与えます。ピンクマウスの場合は S、M、L と、サイズがわかれますし、「ファジー」や「ホッパー」など、さらに大きいサイズのマウスも販売されています。生体の胴体の太さと同程度か、少 し太いくらいの大きさのマウスを 1 匹与えるのがいいでしょう。 こうしたマウスをジップロックなどに入れて湯煎で解凍したり、自然解凍したりして食べられる状態にもどしてから給餌します。エサやりの頻度は幼体の時で 2~3 日に 1 回が目安。成体になってからは生体やエサのサイズ によって様子を見て変えますが、基本的に週に1回程度でも問題ありません。また、フンをしたタイミングもエサやりのタイミングの参考になりま す。コーンスネークは消化に 2 日ほどの時間がかかるため食事の数日後にフンをしますが、その 翌日に次のエサをあげるようにするとエサの与えすぎを防ぐことができるというわけです。なお、マウス以外で冷凍ひよこや冷凍うずらもコーンスネークのエサになります。その他、鶏のササミやもも肉も食べますが、鶏肉はピンクマウスに比べると栄養バランスがよくありません。鶏肉はマウスが切れた時のつなぎとして与える程度にとどめておきましょう。
⑤過度なハンドリングは控える。
手で触れてスキンシップをとることハンドリングと呼びます。飼い主にある程度慣れさせ、スムーズに飼育を行うためにハンドリングは必要とする人もいます。しかし、コーンスネークに限らず爬虫類は基本的にハンドリングを嫌がる傾向にあるもの。過度なハンドリングはストレスの原因となり、かえって悪影響なので気を付けた方がいいでしょう。特にまだベビーで成長していない生体、脱皮前のナーバスな生体、給餌後の生体はハンドリングは避けるべきです。ストレスから吐いてしまったり拒食してしまったりし、最悪の場合死んでしまうこともあると言います。ハンドリングをしたい場合は様子を見てなるべくストレスをかけないように行いましょう。コーンスネークをハンドリングするコツは、とぐろを巻かせるように持ってあげること。体を丸めて持ってあげることで安心できるようです。
⑥冬眠をさせるのはいいのか悪いのか。
生息域にもよりますが、野生下のコーンスネークは冬になり気温が下がると冬眠します。飼育下でも一定期間絶食させ、保温器具の電源を切って徐々に温度を下げていくことで冬眠に誘導することは可能です。冬眠をさせることで冬の間に使うエネルギーを温存させ、寿命を延ばすことができるという説もあります。特に毎年冬眠をしている生体はその分寿命も伸びます。ただ、冬眠に失敗した生体はそのまま死んでしまう場合もあります。特に栄養状態が悪い生体や、成体になる前の生体は失敗の可能性が上がります。知識が必要で実行が難しく、失敗した時のリスクが大きいのが飼育下の冬眠なのです。冬眠させるかどうかは生体の健康チェックをまめに行い、よく考えて判断してください。
⑦病気に注意。
生き物を長生きさせる上で注意しなければいけないのは病気の予防やケアです。コーンスネークがかかりやすい病気や不調をご紹介します。
脱皮不全。
コーンスネークは月に1回程度脱皮をするのですが、この脱皮が上手くいかないことを脱皮不全と言います。脱皮不全により皮が残ったまま放置してしまうとその部分が壊死してしまったり、最悪の場合死んでしまうこともあるので要注意です。脱皮不全の主な原因は乾燥です。湿度が足りないと綺麗に皮が脱げず脱皮不全となってしまいますので、日頃から湿度を保ったり、水浴び用のスペースを用意したりという対策が必要です。万が一皮が残ってしまった場合はぬるま湯で皮をふやかして取り除いてあげましょう。また、単なる湿度不足が原因ではなく、何らかの体調不良が脱皮不全をひきおこすこともあります。湿度が十分にも関わらず脱皮不全をおこしてしまう場合は獣医に相談し、体調面のケアを行うようにしましょう。
餌を食べない。
コーンスネークは温度の低下、ストレス、その他の病気など様々な原因でエサを食べなくなることがあります。コーンスネークは元々頻繁に食事をとる動物ではありませんが、目の前にマウスをおいても反応せず、食事をしない期間が長くなり、体重が著しく減少した場合は獣医に相談し原因を探った方がいいでしょう。
マウスロット。
口内炎のことです。温度の低下や口内や周辺の傷、不衛生な飼育環境が原因がマウスロットの原因になります。マウスロットになると口の中に膿が生じ、拒食や栄養失調になり、呼吸困難を生じることがあるので要注意です。早めに対処しましょう。
まとめ
結局のところ、寿命を伸ばすコツをまとめると、
- 長生きできそうなコーンスネークを見極めてお迎えする。
- 爬虫類専門店でお迎えする。
- 原種に近い「ノーマル」や「レッド」と呼ばれるモルフを選ぶ。
- ストレスのかからない飼育環境。
- 照明はあてない。
- 適正温度と適正湿度を意識する。
- 給餌は適切な頻度と量を心がける。
- 過度なハンドリングは控える。
- 冬眠をさせるかは、良く考える。
などが重要でした。できるだけ長生きして、楽しい時間を過ごしたいですね。