皆さん、こんな疑問をもったことはないでしょうか。「人間の次に高い知能を持った動物はなんだろう?」犬?猫?猿?カラス?。普段の生活の中やメディアから得られる情報などから、いろいろな動物が候補に挙がると思います。しかし、アドルフ・ポートマンという動物学者によると、人間に次いで知能指数が高いのは、イルカなんだとか。確かに、そう言われて水族館などで見られるショーを思い出してみると、納得できるような気がしますね。ちなみに、ポートマンによる知能指数ランキング第3位が象、第4位が猿です。つまり彼曰く、知能的に一番人間に近いのはイルカなんですね。しかし、実際どんな動物で、どれくらい寿命があって、どんな生態をしているのか?詳しく知っている人は少ないでしょう。そこで今回は、人間に一番近い頭脳を持つと言われているイルカの仲間の中で、最もよく知られているのはハンドウイルカ(英語ではBottlenose dolphin)です。その生態や特徴などを調査してみました。
生態は?

まず、今回ターゲットにしたハンドウイルカについて紹介します。ハンドウイルカ(Tursiops Truncatus)は、ハクジラ亜目マイルカ科ハンドウイルカ属に分類されます。同じ属には、「ミナミハンドウイルカ」と「ブンナンイルカ」がいます。まさに、代表!
生息地

バンドウイルカの体の色は、背中側が灰色、腹側が白くなっており、背ビレから腹側にいくにつれて徐々に色が薄くなっています。そのため、海面の上から見ると海の色と同化し、海中から見上げると、海面の太陽光の色と同化するため、他の生物から見つかりにくくなっています。これは、イワシやアジなどの青魚と呼ばれる魚と同じ仕組みですね。ほとんど世界中の海に生息していて、その認知度からイルカ代表と言っても過言ではないほど、その存在は広く知れ渡っています。ちなみに、生息していない海は、北極圏および南極の寒い海だけです。
大きさ

バンドウイルカの体長は2m~4m、体重は150㎏~650㎏と、生息地によってかなり差があるようです。
餌

食性は、主に小さな魚です。水族館のショーを見ていると、ご褒美に魚をもらっていますもんね!しかし、野生ではさらにイカやカニなども餌として食べるようで、なかなかグルメ好きなようです。
特徴は?

仲間とのコミュニケーションの際に音波を使うことは有名な話ですが、ハンドウイルカは餌を探す時にも音波(反響定位やエコーロケーションと呼ばれる)を使用します。
漁業などでよく用いられる魚群探知機と同じように音波を発生し、その音波が獲物となる魚に反射して、その反射音の間隔や大きさ、方向などを聞き分けることにより魚の位置や距離を知ることができるようです。ハンドウイルカは噴気孔の周囲に気嚢と呼ばれる器官を持ち、そこを用いていろいろな音声を発していて、識別可能な音がおよそ30種類ほどあり、それらを使って音声によるコミュニケーションをとります。さらに、それぞれの個体を表す音があり、それが人間でいう名前のような役割を果たして他の個体に自身を表現することができるのです。
寿命は?今後の生態調査に期待

バンドウイルカの寿命はどれほどなのか?というのは、いろいろ説があるのですが、実は正確なデータはとても少ないです。なぜなら、イルカの類の寿命を調査した研究機関がほとんどないからです。生息域がとても広く、広範囲の海洋を移動して暮らしているために追跡調査が非常に難しいです。また、電波による通信機などを取り付けたとしても、何十年も取り付けて追跡することはできません。過去にアメリカの研究者によってバンドウイルカの寿命が調査された事がありますが、現在の年齢を推定で割り出し、その後数年間追跡して全体の寿命を推測するという、大変アバウトな方法でした。また、野生の個体か、飼育されている個体かでその寿命も変わってくるでしょう。なので、現段階で寿命をはっきりと提示するのは無理があるようです。研究者たちの今後の活躍に期待しましょう。それでは、知能の高さについて!
知能はどれくらい?

ルドルフ・ポートマンによると、イルカは人間に次に知能指数が高いと言われていて、体重に占める脳の割合が人間に次いで大きいようです。イルカの仲間は全般的に知能が高いく、潜在的な可能性は以前から示唆されていて、世界中の研究者の研究対象になり、近年ではメディアに取り上げられることが多くなり、一般の人たちの興味の対象となっています。研究者によると、イルカの脳と体の構造をみると、脳は人間のように十分に活かされていないだろうという意見があります。脳は、使わなければそれに関連した脳の部位も衰えるそうで、その為、イルカの脳は人より優れた潜在的な可能性を秘めているにも関わらず、「宝の持ち腐れ」と化していると主張する研究者もいるとか。つまり、進化の過程で腕や脚、その先の指を退化させた分、イルカの脳は人より活用しなくなってしまった部位が多くあるということなのでしょう。だとしても、イルカの知能はやはり他の生物たちよりは有能で、さきほど紹介した音波を使ったコミュニケーションを使うことで、さまざまな情報をやりとりできるようです。そして、一頭のイルカに教えたゲーム内容を、別のイルカたちに伝えることができることが確認されています。つまり言語に相当する情報伝達手段を持っているのですね。
見ることのできる水族館

世界中の水族館でも飼育されていて、日本の水族館で言うと、新江ノ島水族館、横浜・八景島シーパラダイス、名古屋港水族館、伊豆・三津シーパラダイス、越前松島水族館、神戸市立須磨海浜水族園、しながわ水族館、鴨川シーワールド、沖縄美ら海水族館、青森県営浅虫水族館、天草いるかワールド、などなど…日本各地の水族館で飼育されています。また、南知多ビーチランドには、ハンドウイルカとハナゴンドウのハイブリッドである「プリン」がいます。
まとめ

それでは最後に、今回バンドウイルカの調査で分かったことをまとめてみると、
- 世界中の海に分布し、最も一般的に知られているイルカの類である
- 音波を使ったコミュニケーションを得意とする
- 非常に知能が高く、音波を言葉のように使って情報交換や獲物を探すこともできる。
- 寿命に関しての研究は現在乏しく、今後の生態調査の成果に期待
今回の調査で、今まで自分の中にあったイルカのイメージとかなり違う部分があって、正直かなり驚きました。今後、皆さんも水族館やテレビ番組でイルカを見るときに、今回の内容を是非思い出して、いろいろ考えてみましょう!