先日、海岸で2歳の息子と貝拾いをしていました。巻貝の貝殻がたくさんあり、どれも小さく可愛らしいのばかりだったのですが、ふとなんという貝か気になったので、息子と帰って図鑑を見ることに。拾ったのは貝殻だったのですが、図鑑にはとても危険な貝が載っていました。その一つが「イモガイ」(英語ではCone shell)。こいつは結構つわものでして。出来れば出会いたくない危険生物です。さらに、似たような色や形をした仲間もたくさんいます。さて今日は、海に遊びに行かれる機会があるのならぜひ知ってほしい『イモガイ』についてご紹介しましょう。
どんな生き物?
貝殻は円錐形で和名のイモガイは殻の形がサトイモに似ているからと言われています。うーん、すこーーーしサトイモに似ている気がします。また個体や種類によって貝殻の模様が異なり、コレクションしている人もいるようです。海の近くのお土産屋さんにこういう貝殻が売っているのを見たことがあります。あれはイモガイの仲間だったのかな?下の写真はイモガイの一種である「タガヤサンミナシ」です。ほかの巻貝を獲物としています。海底にいると、擬態していて、周囲の岩礁と区別がつかなそう!
イモガイは世界中の温暖な海域に生息しています。浅瀬から深海まで幅広く生息しています。
大きさ
イモガイの大きさは10cmから20cm前後の、毒を持つ貝です。
意外と知らない貝の食性や餌について知ろう!
そして貝である彼らは、全種が肉食性で餌とする食べ物により3つに分けられます。
- 魚食性(小魚など)。
- 虫食性(ゴカイなど)。
- 貝食性(貝類)。
貝食性の中には他のイモガイを食べてしまう種類もいます。
魚食性について。
イモガイ類の移動速度はとても遅いという欠点はあるものの、自分より俊敏な獲物を狩るために獲物を突き刺す毒もり(矢舌)と、相手の動きを封じ込める毒などの物質をもっています。中でも魚食性のイモガイは、武器となる仕掛けを発達させてきました。歯舌から進化させた毒銛です。毒銛は吹き矢のように獲物めがけて発射します。毒銛が獲物に突き刺さると自動的に毒が注入され、獲物は瞬時に麻痺して動けなくなります。あとは「獲物をいただきます」と捕獲するだけというわけです。
毒ってどんな毒がある?
イモガイ類は危険な毒を持っています。この毒で獲物を動けなくして丸のみするのです。イモガイの中でも最強の毒を持つとされるアンボイナガイの場合はインドコブラの37倍、世界最強の毒蛇インランドタイパンの約2倍の毒を持っています。世界最強の毒蛇よりも毒を持っているなんて、恐ろしいですね!しかもこんな小さな貝が。知らなければ、普通の貝にしか見えません。
危険性は?
またさらに恐ろしいことに、イモガイに刺されるという事故も起きています。先にご紹介したアンボイナガイは体内に人間を30人死に至らしめる量の毒を保持していると言われています。たかが貝といっても侮ることなかれですね。まさかこんな見た目は結構普通の貝にそんな力があるとは誰も思わないでしょう。下の写真はイモガイの一種であるニシキミナシです。矢舌を出しそうですね。
刺されてしまったら?
イモガイは猛毒を持っているとご紹介したので、刺されたらさぞ痛いのだろうと想像すると思いますが、刺された直後はほとんど痛みがなく自覚もないことが多いようです。しかし、痛くないから大丈夫と思っているととんでもないことに…。刺されてしばらくすると激痛が生じます。危険な状態におちいることもあります。刺されたと思ったらすぐに海からあがりましょう。そしてすぐに周囲の人や、ライフセイバーの方などに助けを求めましょう。そして早急に病院にかかりましょう。
生息地は?まさか日本に!?
イモガイは世界中の暖かい、サンゴ礁などがある海に生息しています。日本では沖縄や鹿児島で多く見られます。種類はかなり多く、沖縄では110種類程確認されています。他にも、直接黒潮に接する千葉県や和歌山県、高知県などで多くの種類が見られています。そして近年では地球温暖化の影響で分布域を拡大しており、太平洋側では房総半島以南、日本海側では能登半島以南の沿岸でも見られます。結構広く日本でも生息していますね。意外と身近な猛毒貝。海遊びをする際には十分気を付けなければなりませんね。
種類
イモガイの仲間には、タガヤサンミナシやニシキミナシ、クロミナシ、アンボイナガイなど、かなりたくさんの種類の貝がいます。数えだしたらきりがありません。イモガイやタガヤサンミナシ、ニシキミナシの写真は紹介しました。
食用もあるとか…。
最後にほんのちょっとおまけ程度のお話ですがこのイモガイ、沖縄などでは食べられているそうです。茹でたり、バター焼きにしたり。美味しい種類もいて地元の方などはよく知っているそうです。もし食べるのであれば地元の方によく教わってから調理したいですね。ですが、私個人としては素人が強い毒を持っているかもしれないイモガイをわざわざ食そうとすることは、とてもリスクの高いことだと思います。もっとおいしい貝なんていくらでもありますしね。。。
水族館で見れる?
現在、イモガイを見ることのできる水族館はありません。サンシャイン水族館の「へんないきもの展」でイモガイを展示していたこともありました。貝殻であれば、鳥羽水族館で展示や販売をしています。
ペットにできる?
イモガイの毒銛はウエットスーツの厚さでも突き抜けます。そのため、厚い手袋をはめて取り扱うことも危険です。そのため、個人で水槽の中でペットとすることは危ないので、やめたほうがいいです。殻だけなら、インテリアとして飾って大丈夫です。
まとめ
私は冒頭でもあったように、息子とよく海へ遊びに行きます。そして調べたところ私の住んでいるところにもイモガイが生息していました。息子はまだ小さいので刺されてしまったらと思うとぞっとします。イモガイに刺された時のことを知っているか知らないかで、対応の方法が変わりますから、是非皆さんにも知っていて欲しいと思いました。そしてこの形状の貝を見たらむやみに触らないことですね。似たようなイモガイの種類はたくさんあります。イモガイは動きの遅い生物ですのでこちらから触るようなことをしない限り刺されません。海には意外とたくさんの危険生物が潜んでいます。知っていれば安心して遊べるので、学ぶことは大切ですね。