みなさん、カツオノエボシ(英語ではPhysalia physalis)という生物を知っていますか?別名は電気クラゲです。名前からは想像つかないと思いますが、見た目が綺麗です。でも猛毒を持つ生物なのです。今日はそんなカツオノエボシをご紹介しましょう。
電気クラゲと呼ばれる由来は?

カツオノエボシの名前だけ聞くと、「カツオと付いているので魚かな?」と思いますが、ヒドロ虫の群体です。その姿と刺された際の痛みが電気の衝撃に例えられたことから、別名で電気クラゲと呼ばれています。自ら発電する生物というわけではないです。そして、この一風変わったカツオノエボシという名の由来は、カツオが到来する時期に海流に乗ってくるからです。また、見た目が烏帽子に似ているということから、三浦半島や伊豆半島で「カツオノエボシ」と呼ばれるようになりました。生態でも見た目からでもなく、カツオの時期に来るからという由来で他の生物の名前が付くのは面白いですね。
刺された時はどうなる?
先ほども述べたように、刺されるとかなり強めのビリビリがきます。すぐには刺された跡ははっきり見えず、10分ほどしたら腫れあがり、痛みは長時間続きます。ですが、その見た目は青くとても美しい。砂浜に打ち上げられてたらうっかり、「まぁ、綺麗!これは何かしら?」という具合で触りに行ってしまいそう。しかし、このうっかりはとても危険です!カツオノエボシの刺胞は接触の刺激で発射されるので、砂浜に打ち上げられていても関係ないのです。その触手に触ってしまうと刺されてしまいます。また、刺された際、その触手をとる時も素手で取ろうとすると刺されてしまいますので、注意が必要です。カツオノエボシ側から見ると、自分の意志とは関係なく接触の刺激だけで刺すことが出来ることはとても効率的な生態です。
刺された後はどうする?

もし海で刺されてしまったら、まずは慌てずゆっくり海岸へ戻りましょう。このときに顔を水面に近づけて見ようとすると、顔までも刺されてしまうかもしれないので要注意です。そして、砂浜などで刺されてしまった場合は回りにも触手が打ち上げられている可能性があるので、よく見てその場から離れてください。触手が付いている場合、海中で刺激をしないように触手を取ります。このときゴシゴシしてしまうと、また刺されてしまうので、慎重に切れないように取ってください。とにかく刺激しないようにが大切です。そして50℃から60℃程度の熱めのお湯に5分ほど浸すか、氷で冷やします。でもでも、実は絶対にやってはいけないこともあるのをご存知でしたか?カツオノエボシの毒はどんなものなのかも含め、次でご紹介しましょう!
刺されて、やってはいけないこととは?
- 砂をかけてもむようにして刺胞を取る。
これは刺胞を肌にすり込んでしまいます。喉に刺さった魚の骨をごはんで流し込もうとするあれと同じですね。
- お酢をかける。
これは他のクラゲで有効とされている方法なので、まず自分が刺されたクラゲがなんなのか、見分ける必要があります。周りをよく見てカツオノエボシはいないかなど確認してください。
- 真水で洗う。
これは一番やってしまいそうですが、そうすることによって刺胞の毒が体内に流れ込みやすくなります。これらはやらないように気をつけましょう!同じクラゲの仲間で、海水浴では気を付けたい、ハブクラゲがいます。
生態

さて見た目がクラゲに似ているカツオノエボシ。冒頭でもお伝えしましたがこれはヒドロ虫というものの集まりでクラゲとは異なります。ヒドロ虫とは何?聞きなれずピンと来ないと思いますが、要は小さな生物がたくさん集まっているということです。そしてここからが面白いのですが、その小さな生物たちはそれぞれ違う役割を持っていて、触手になるものもいれば、刺胞嚢になるものもいます。彼らはどうやってその役割分担をしているのか、とても不思議です。
生息地
見られる時期は多少異なりますが、カツオノエボシは日本全国に分布します。
大きさ

カツオノエボシは大きさ役10cm程の透き通った青い浮袋を持ち、これで海面を浮かびます。これには三角形の帆があり、風を受けて移動することが出来ます。自身には泳ぐ力はほとんどありません。そしてこの浮袋の下には触手が伸びており、平均10cm程度で、長いものだと約50cmにも達します。50cmもの触手を持つクラゲには出会いたくないですね。
水族館で見れる?

新江ノ島水族館では江ノ島の砂浜にカツオノエボシが打ち上げられているのを発見するたびに展示してあるので、見ることができます。また飼育方法も研究しており、通年展示も目指しています。
ペットにできる?

カツオノエボシが海岸に打ち上げられているのを見つけて入手すれば、海水のアクアリウムでペットにすることはできます。素手では触らないようにしましょう。触手も長いので注意が必要です。
まとめ

日本全国の海に生息していました。カツオノエボシは毒を持ちます。これを知らず海で誤って触ってしまったり、刺されて間違ったことをしてしまったら大変なことですね。海水浴をする際には事前に危険生物はいないか、確認してからお出かけしたほうが良いでしょう。