イリオモテヤマネコ

沖縄県の西表島に生息する、国の特別天然記念物として超有名なイリオモテヤマネコ(英語ではIriomote cat)。

小さな島で生存を続けているのは奇跡的なんだそうだ。

そして個体数減少の悲しい原因とは?

イリオモテヤマネコの生態

スクリーンショット 2016-08-29 16.35.07

発見されたのは結構最近

イリオモテヤマネコが発見されたのは1965年で、20世紀も半ばを過ぎてからである。

言わなくてもわかると思うけど、発見された場所は西表島!

それまでも地元では「ヤママヤー」(山ネコ)「ヤマピカリャー」(山で光るもの)などと呼ばれ、他の家猫や野良猫とは別の生き物として存在は知られていたんだそうだ。

ベンガルヤマネコの、西表島固有亜種であると考えられており、その祖先は人間が住み着くよりずっと前、約20万年前に大陸から渡ってきたとされている

因みにイエネコは、リビアヤマネコの亜種が家畜化したもの。

そういうわけで、イリオモテヤマネコは山に移り住んだ野良猫じゃありません。念のため。

イリオモテヤマネコの見た目はイエネコっぽい

大きさはイエネコくらい

耳の先が丸く、目の周りには白い隈取りがある。

尻尾は太くて長く、全身に斑点模様がある。

胴長で短足という、人だったら残念な特徴も、猫だとかわいいのだ。

イエネコと見分けがつきにくいが、ややワイルドな方がイリオモテヤマネコと覚えよう

世界最小の生息地の謎

西表島の面積は、290平方キロメートル。ヤマネコの生息域として世界最小であり、この様な狭い面積でネコ科の哺乳類が生息してきたのは、かなり珍しい。

本来ほぼ無理なレベル。

生態系には一定以上の生産者の生息面積が必要である。

しかし、島内の食物連鎖のピラミッドの頂点であるイリオモテヤマネコが生息するには、西表島は狭すぎるのである

その上西表島には、このサイズのネコ科が主食とするネズミやウサギもいない。

では、どの様にして生き延びてきたのか

イリオモテヤマネコの食生活

スクリーンショット 2016-08-29 16.32.23

イリオモテヤマネコは、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫類、甲殻類を幅広く満遍なく食べている。

この様に幅広く食べるネコ科は非常に珍しいのだ。

普通猫ってカエルとか食べないし、家猫だったら高いキャットフードも「こんなもん食べない!」とかわがままいって砂かけ行動するものなのだが。

因みに、鳥類の捕食の仕方は相当ワイルドである。

かなり大型の鳥をとらえることもあるそう。

猫なのに水が平気

そして更に驚きなのは、イリオモテヤマネコは河を泳いだり潜水して水鳥や魚、甲殻類などを捕らえることもあるのだ

「潜る猫」って。

尚、現在では哺乳類のクマネズミも主食の一つになっているが、これは人間と共にやってきた外来種である。

西表島の環境が多様な生物を生んだこと、それを好き嫌いせず食べたことが、イリオモテヤマネコ生存のコツだったのだ。

では、イリオモテヤマネコはいったいどのくらいいるのだろう?調べてみると「まさか!」言わざるをえなかった。

次は絶滅寸前のイリオモテヤマネコの生存数と、新たな外来種

イリオモテヤマネコの生息数

西表島の風景とイリオモテヤマネコの像

2008年の調査時点で生息数は100~109頭と考えられている。

少ない!全員の顔と名前覚えられるくらいの数。

調査のたびに減少傾向だそうだ。

西表島の面積からすると、そそもそも最大でもそこで暮らせるのは数百頭くらいが限界と考えられる。

近親交配で遺伝的多様性が失われることを考えると、この少数の集団で存続し続けたというのは極めて稀な例なのだという。

気候、地形、隔離された島などの条件が作り出す本当に絶妙なバランスの生態系で奇跡の様に生存するイリオモテヤマネコ。

それはつまり、その絶妙なバランスが崩れたら瞬く間に絶滅への道を進むともいえる。

イリオモテヤマネコは絶滅危惧種

スクリーンショット 2016-08-29 16.23.03
出典Wikipedia

現在イリオモテヤマネコは、環境省レッドリストの絶滅危惧IA類に分類されている。

イリオモテヤマネコを絶滅の危機に追いやっている大きな原因は、人間の土地開発による生息地の減少の他、道路状況である

島内の県道はイリオモテヤマネコの行動圏内を貫通しています。

その他近年では、野良猫の存在も大な問題だ。

野良猫と食べ物を奪い合う競合の他、交雑が懸念されている。

観光客が湿地林などに入り込むツアーとかも、生息環境の悪化に繋がる。

とにかく共通しているのは、全部人間が原因、ってとこだ。

イリオモテヤマネコの保護活動

で、もちろんこのまま放っておいたらあっという間に絶滅なので、行政も民間も、イリオモテヤマネコを守る活動をしている。

1995年にはイリオモテヤマネコの保護活動の拠点として「西表野生生物保護センター」が設置され、生息状況の調査研究、交通対策、外来生物対策などを行っている。

交通対策

西表島にある道路標識

動物用のトンネルやゼブラゾーン、道路標識の設置など。

西表島にはバラエティー豊富な「ヤマネコ注意」標識があっておもしろい。

非営利団体や地元の住民によるパトロールも行われている。

イリオモテヤマネコ

外来生物対策(イエネコ)

飼い主不明のイエネコの捕獲、新しい飼い主(主に県外)への譲渡。

猫の飼育者への適正飼育の指導。

また竹富町では、飼い猫の登録などを義務付けてる「竹富町ねこ飼養条例」を作った。

もう一つの外来生物対策

石垣島からのオオヒキガエル侵入の判明後は、更なる侵入を防ぐため、市民参加の地元調査員による定期的な監視調査や情報収集を行っている。

イリオモテヤマネコを見ることのできる動物園は?

現在、動物園では見ることができません。 西表野生生物保護センター には標本が展示してあります。

どうしても見たいというかたは、イリオモテヤマネコは夜行性のため、西表島でナイトツアーに参加するといいです。

最後に

人と野生動物が共存すのって、本当に難しい。

でも、一人一人が意識することですぐに減らすことができるはずだ。

イリオモテヤマネコを守るということは、西表島の豊かな自然と生態系を守るということなのだ。

西表島を訪れる際には、そのに住む多様な生物や絶滅の危機に瀕する動物のことにも思いを馳せたいものである。