カブトエビ

カブトエビ(英語ではTadpole shrimp)といえば、飼ったことのある「生きた化石」ランキングではナンバーワンになるのではないだろうか。

そういえば、小さい頃に育てた記憶が…。

飼育キットが子ども向け科学雑誌の付録にもなり、「水に入れれば育つ」って、フリーズドライ食品のような謎の生物です。

改めて思うと、あれ、なんだったのか?気になって調べてみた。

カブトエビの生態

まず、最初に言っておく。

カブトエビはカブトガニではない。

よく「田んぼにカブトガニがいた!」と言っている人がいるが、田んぼにいるカブトガニっぽいやつは、100%カブトエビだ。

カブトガニについてはこの記事も。

そして大きさは全く違う。種類も違う。

カブトエビは全長2-3cmほど。大きい個体でも4cmくらい

カブトガニの10分の1もない小粒さんである。

118101983515216306133
カブトエビ<出典

カブトエビの特徴

カブトエビは甲殻類ではあるがエビ類ではなく、エビよりはミジンコに近い生物である。上面を背甲と呼ばれるカブトの様なものに覆われているが、甲羅の様に硬くない。

因みにカブトガニは甲殻類ですらなく、どちらかというとクモやサソリの仲間である。

背甲には、2つの複眼、1つの正中眼の3つの目がある。正中眼は光を感知するだけであり、原始的特徴である。

また、オーストラリアカブトガニを除き雌雄同体であり、単体で卵を産む

なんとも効率的。

カブトエビの生息地、分布。田んぼにもいた!

70400
出典:国立環境研究所

カブトエビは4種類に別れ、日本にはそのうち3種類が生息する。

外来種であり、農産物などの物資にまぎれたり、飼育キットの販売により分布したと考えられている。

日本にいるのは・アメリカカブトエビ、アジアカブトエビ、ヨーロッパカブトエビの3種で、オーストラリアカブトエビは生息が確認されていない。

もっとも多いのがアジアカブトエビで、6〜7月に西日本の水田などでよく見られる。

元々日本にはいない侵入生物ではあるが、日本の稲作において実害は出ていない。

それどころか、カブトエビが水田の除草に役立つとして「田んぼの草取り虫」として重宝がられていたりする。

水田に生息しているカブトエビ

カブトエビの食べもの

田んぼの草取り虫」というだけに草も食べるが、プランクトンや水生昆虫の死骸、ボウフラなんかも食べる雑食性の食いしん坊さんである。

「チビのくせに草なんて食べられるの?」と思ってしまうが、2-3センチの小さな体にも関わらず、強い顎と鋭い歯で田んぼの草を食いちぎってしまうのだ。

そしてその恐るべき食欲で、食べ物が不足すると共食いをすることもある。

水槽で飼育していると、「1匹減っていて、相方がやたらでかくなっていた…。」という恐怖体験をすることがままある。

では、カブトエビがどのくらい生きて、どうしたら長生きしてくれるか?気にならないだろうか?調べてみた。

カブトエビの寿命と成長

12ea1969
カブトエビ<出典

カブトエビの超多忙生活

カブトエビの寿命は非常に短い。

水田に水が張られると、2-3日で孵化。

産まれたら1ヶ月後くらいで産卵し、そして死亡する。

1〜2ヶ月という短い生涯のため、その間驚くべき速さで成長する。

カブトエビは脱皮をして成長をする生物だが、一生のうちに20回くらいの脱皮をおこなう。産まれてすぐは、毎日脱皮である。しかも構造が複雑なため、結構命がけの脱皮。

そしてその度に1.2倍くらいの大きさになっている。着ている服がすぐ小さくなっちゃう、ていう感じ。

生まれたては1ミリ程度だった幼生が、脱皮を繰り返し、1ヶ月後には2-3cmになるのである

なんだがもの凄く忙しいのであった。

2億年生きた秘密は卵にあった

緑色のカブトエビ

生きている間は日本の教員並みに多忙な毎日のカブトエビだが、その分卵時代が長い。

水田で生活していれば、次に水が張られるまでの卵生活なのだが、その卵は寒冷な気候や乾燥に強く、何年も卵のまま生き続けることもできる。

それが、氷河期を生き延びるコツ、そして「○年の科学」の付録に卵をつけられる理由なのであった。

カブトエビの飼育方法

2、3日で孵化して寿命は1〜2ヶ月。みるみる成長するは、その間に脱皮したり、単体で卵産んだりするは、しかも「生きた化石」だし、その上結構可愛い。

というわけで子どもの自由研究にももってこいのカブトエビの飼育方法について簡単にまとめておく。

カブトエビの飼育環境やアクアリウムについて

砂、カルキを抜いた水、水槽。

飼育キットの場合は、付属のもの。水田などから捕獲した場合は、そこの水や泥、水草など、そのままの環境を用意するとよい。

カブトエビの餌

金魚の餌など。与え過ぎに注意して、食べ残しは回収する。

水田などから捕獲した場合は、餌を与えるよりもそのままの環境を作る方が望ましい。そこに餌となる生物も含まれている。

孵化してすぐは水中の微生物を食べる。

水温

20〜25度。

産卵後

卵を産んで天寿を全うしたら、砂を乾燥させて、次の時に水を入れると砂についていた卵を孵化させることができる。

カブトエビを熱帯魚やメダカなどと混泳で飼育することもできます。

まとめ

あまり注目されることもない地味なカブトエビは、恐るべき速度で成長して子孫を残す、ナチュラルボーンフリーズドライ(っぽい)生物だった。

飼育キットを使えばちびっ子でも育てやすく、また短期間で成長の様子を観察できる興味深い存在でもある。夏休みの自由研究や宿題の作文にも、カブトエビは人気です。

寄り目の小さいかわいい子、と侮ってはいけない。

今度からはカブトエビ様、って呼ぶことにしようと思う。