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地獄の吸血イカ!恐ろしい名前の深海生物コウモリダコ!!本当はイカ?

深海生物にはたくさんの不思議生物がたくさんいます。名前も変わっている生物がたくさんいますね。今日はそんな深海のマスコット的存在の、「コウモリダコ」(英語ではVampire squid)をご紹介しましょう。

どんな生き物?生態は?

コウモリダコの生態などについて調べていきます。

大きさ

2.5cmの標本

コウモリダコの体長は最大で30cm程です。よく遭遇するものは15cm程度。

生息地

しんかい6500の模型

太平洋・大西洋・インド洋の深海に生息しています。

深海生物なのに目が発達!?

コウモリダコは身体のわりにはとても大きな目を持っています。動物界で最大のサイズの目は非常に複雑で、深海の暗黒の中で小さな発光も見逃さない素晴らしい目を持っています。だいたい私が知っている深海生物は目を退化させていったものが多いので、とても驚きました!しかし、みんなが見えないのに、見えることはとても素晴らしい強みですね。和名はコウモリダコ。これはマントを広げるとコウモリ傘のように見えることからつけられました。暗赤色の体、巨大な青い目、8本の腕の間にマントのような皮膚を持ち、伸びる腕の先には鉤(かぎ)のような突起物が備わっています。いかにも恐ろし気な形相から名づけられました。さぞ恐ろしい生物かと思いきや、見た目とは裏腹にそうではなかったのです。これは後程説明するとして、和名と英名、タコとイカ。なぜ違うのでしょうか。

発見時の脚の本数で、名前が変わった!?

deep turquoise sea water. top view. High quality photo. 出典:123rf

最初にコウモリダコが発見されたのが1903年、100年以上も前のことでした。当初発見時に脚が8本だったので、タコの一種と考えられました。そのあと、脚の脇には目立たない袋口があってそこに収まる2本の細い脚が発見され、脚が10本ある。ということでイカの仲間だということになりました。そのころには和名がつけられていたので、和名はそのままタコ。

タコとイカどっちだよ!

ですが、実際にはイカでもタコでもなく、それが種として分化する以前に存在していた祖形を継承している現生種であると考えられています。そのため、現在ではコウモリダコ目コウモリダコ属に分類されています。中生代ジュラ紀からの「生きた化石」です。タコとイカでは脚の数が違うよと小さい頃教わりました。それが、通用しない深海。さすがとでも言いましょうか。ちなみにこの2本の細い脚は触手であり、イカのような餌を捕らえるためのものではなく、知覚を持っていて餌を見つけるためのフィラメントと考えられています。イカやタコはどれも捕食動物なので、見た目も怖そうだし、コウモリダコも生きた獲物を探し回っていると考えられてきました。しかし、彼らが食べているものはプランクトン、糞、藻、泥、小型の甲殻類が脱いだ殻など、海中を降下する「マリンスノー」だったのです。これはとんだ勘違いですね。しかも、彼らはマリンスノーの粒子を毛が並んだ2本の長い触糸を使って集め、食べやすい大きさのボール状に粘液でまとめていると判明したのです。なんとまあ!これこそギャップですね。恐ろしいと思われていた彼らが、丁寧にマリンスノーの粒子をボールにしていたなんて。そしてとても器用ですね。さらに彼らは深海で生き残るためにとあるトリックを習得していました。

身を守るための斬新なトリック

コウモリダコは発光器を持っています。他の深海生物は捕食生物から自分の姿を見え難くするため、餌の生物を誘うため、繁殖相手を探すために発光器を使うのですが、コウモリダコは少し違います。彼らは捕食者から逃れるために使われているようです。そして、発光バクテリアによる発光ではなく、自らが発光しています。発光器は3タイプあることが最近の研究で明らかになりました。

コウモリダコが持つ3つの発光ディスプレイ

第1の発光器官は生物発光ディスプレイ。これはフラッシュのように明るく光り、2分以上も光っているそうです。その強烈な光ディスプレイは光り終わると強度、直径をだんだん弱め、小さくなっていきます。第2の光は8本の触手の先端に発光器官を持っています。この第1と第2の光は同時に光り、8本の触手の先の光は連続的に光っていて、これを意図的に動かしています。そして第3の発光器官は発光雲を発射することが出来ます。発光雲は、粘液の中に埋め込まれている1000個以上の光りの粒子がそう見せているのです。この光りの粒子はこれまでの観察結果から9分ほど光ることが報告されています。これはすごいですね!「やばい!」と思ったら、えいっ!っと8本の触手から一斉に発光雲を発射し、それが身体のサイズほどに形づけられるそうです。それを発射された捕食者が「え、何これ?なんか10分近く光ってるけど。」と、注意が逸れている間に、「逃げろー!」と最大のスピードでその場から逃げ出すのです。

他にも技があった!

またもう1つ奥の手が。8本の脚を被膜ごと裏返して、体を包み込んでしまうのです。脚にはトゲのような触毛がついていて、それが外側に並ぶと捕食者を追い払う役に立つとも考えられています。何も見えなくなってしまって怖くないのかなとも思いますが、きっとそこは経験から大丈夫と思っているのかな?また発光器を内側にかくすことによって、ほかの海中生物から見えにくくなり、コウモリダコは逃れることができます。

水族館で見ることができる?

Cloudy day on a tropical beach. Turquoise waves roll on wet sand. Yachts and boats are visible in the distance. The island is hidden in the fog. Seychelles. Mahe.. 出典:123rf

残念ながら現在見られる水族館はないようです。2006年に新江の島水族館にて展示されたのですが、傷を負った状態で採集されたため、4日限りの展示となったそうです。残念。生きている彼らを見られる日が来るといいですね。北海道むかわ町にある、穂別博物館ではコウモリダコの化石をみることができます。

深海での目撃情報

このネット上の動画は、ソコロ島(メキシコ)の東の海域で発見されたコウモリダコです。

海洋探査船ノーチラス号が発見しました。発見した人たちは大喜びです。

ペットにできる?

海洋探査船ノーチラス号でコウモリダコを発見するだけでも、乗組員たちにとっては貴重な体験です。採取までには至っていません。偶然に漁の網にかかっても、深海魚のため数日しか生き延びることができません。そのため、個人でペットとして飼うことは、ほぼ不可能です。

まとめ

コウモリダコは世界中の低酸素海域に生息すると考えられています。暗くて酸素の乏しい深海暮らしなので、捕食動物と遭遇する危険とは無縁で慌てて逃げる必要はありません。食欲旺盛な他のイカやタコに比べると質素な食事スタイルでスローな生活を送っていて、獲物を追いかけるような精力は使わず、海中の浮遊有機物を集めて食べています。発見当初の印象とはまるでかけ離れた生活をしていました。深海生物にはまだまだ生態がよく分かっていない生物がたくさんいます。そして、発見すらされてない生物もたくさんいることでしょう。新しい発見があることを楽しみにしていたいです。

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