モモイロサルパ

最近、やたらと海の生物を調べたりしているのですが、不思議な生物がわんさか。

今日はその中でも見た目ももちろん変わっているのですが、とても面白い生態の持ち主「サルパ」(英語ではSalpa)をご紹介しましょう。

サルパってどんな生き物?

サルパとは外見だけ見ると、クラゲに似ているような透明なゼラチン質に包まれた体をしています。ですがクラゲではなく、分類するとクラゲは刺胞動物でイソギンチャクやサンゴの仲間。

サルパは尾索動物の仲間でホヤなどに近いです。尾索動物とは、中枢神経系は発達せず、脳は持たない、そして海中に住み、プランクトンを濾過して食べる動物のことをいいます。

深海生物って初めて見たときはとても可愛いと思えない姿をしていて、見ていくうちにどんどん可愛く見えてきて虜になっていくものが多いのですが、サルパは名前も姿もとても可愛いとは思えなかったです。。。不思議すぎて。

この姿で発見した人はよく生物だと分かったなと思いました。

サルパと同じ尾索動物の仲間のホヤ

サルパの面白い生態とは

サルパの面白い生態の一つは食べながら移動することです。「うん、食べ歩きって楽しいもんね。。。っていう私のそれとは違うか。」

先端に開いている口のような部分で海水を吸い込み、プランクトンを一緒に食べ、さらにその力を利用して移動してしまう凄い奴なのです。私の楽しい食べ歩きとは全然違いましたね。

増え方が独特!

1drxhwt
スキューバダイビングで見た連鎖しているサルパ

そしてサルパの増え方にもとても面白い特徴があります。

サルパのライフサイクルには、出芽という方法で無性生殖する時期があります。1匹のサルパが雌雄同体のクローンを多数作るのです。クローンはしばらくずっとつながったままで、15メートルもの連鎖をつくる種もいます。

なかには車輪状や二重らせん状になるものがあるそうです。

やがて、サルパの連鎖はばらばらになります。

自由になった単独個体はまず、卵を1つ持つメスになり、この卵を前の世代のオスたちが受精させて、メスの体内で胚に育つ。

クローン誕生!

次に、「母親」になったメスの体内で精巣が形成され、これが「前の世代のオス」として、近くにいるほかのサルパの卵を受精させるのですが、その間も体内では胚が成長を続けています。

ついには母親の体内から赤ちゃんサルパが飛び出し、新たにクローンの連鎖を作るべく成長するのです。クローンを作ってしまうなんて凄いですね。

そして神様はなぜこのような繁殖の仕方を彼らに与えたのでしょうか。やはり、深海は神秘です。

繁殖するために重要なのは、エサとなる植物性プランクトンが大量に発生するとそれに付随してサルパも大量発生するようです。

そんなサルパですが地球人類の救世主となっているらしいです。

同じ尾索動物でホヤの仲間のナガヒカリボヤについてはこちらも。

thetys_vagina-gd141_image600
サルパ

サルパの大きさや生息地は?

サルパは世界中で見られます。そして、かなり多くの種類が存在しているので、浅いところから深海まで、様々なサルパがいます。

適した環境下にいるときには爆発的に増えることもあるそうです。南極の方で見つかることが多いのですが、実は環境的には暖かい方が適していると言われています。

個体のサルパは10センチ程度。クローン化し連なる時には先ほども述べましたが数メートルにもなるそうです。海の中で数メートルもの透明な不思議生物と出会ったらさぞ驚くでしょうね!私なら海の中で「わー!」って声出しちゃいそう。

またサルパは世界で一番成長が早い多細胞生物です。彼らの一部の種は1時間で全長の10パーセントも大きくなることがあるそうです。

たった1時間で10パーセントってすごいですね。私の身長が160センチなので1時間で16センチ?それはもはや別人ですね。

サルパは温暖化など地球の環境問題対策の切り札となる生物!?

salp-2s
サルパが連なっている

近年、世界中の海で、藻類ブルームと呼ばれる植物プランクトンの大発生が問題になっていますが、サルパにとって藻はごちそうです。サルパは藻をさかんに食べてサルパの連鎖を産み出します。

そしてサルパの糞が気候変動や温暖化など環境問題対策の切り札になります。サルパが食べる藻は、大気中の二酸化炭素を取り込んで育ちます。そして、サルパはその炭素を含む藻を食べる。

したがって、排泄する糞に含まれる炭素は、大気中に戻ることなく海底に沈んでしまうので、事実上、地球の炭素循環から除去されるということです。

これはとてもすごいことですよね。まさか、私たちが排出した二酸化炭素を、住む世界の全く異なる海洋の生物が除去してくれているなんて。

最後に・・・サルパに感謝!

私たち人間が排出した大量の二酸化炭素を、この透明で不思議な生物が処理してくれている。こんなことを思うと、私たちに何が出来るかと考えてしまいます。まずは二酸化炭素を出来る範囲で出さないよう、心がけることですね。

サルパは二酸化炭素排出量の増加や温暖化など、地球の環境問題にとって、大切な生物となっています。

初めて見た時は、なんて変な生き物なんだろうと思いましたが、知っていくうちにやはり好きになりました。人も生物も見た目で判断してはいけませんね。