赤ちゃんを運んでくるという伝説のコウノトリがいます。これは、日本発祥の伝説だけではなく、ヨーロッパやドイツで古くから伝わる逸話が元になっています。名前も「幸の鳥」で幸せになれそうですね。その子宝の縁起にあやかりたいということで、置物や携帯ストラップなどの幸運グッズも人気です。その生態や野生絶滅してしまった原因を調べていきます。また、なぜ縁起が良く、幸運や子宝の象徴となったかの由来も調べていきます。見ることのできる動物園も!
生態は?
コウノトリ目に分類されています。英語ではJapanese-white-storkといい、漢字では鸛と書きます。松の木の上に巣を作ります。日本のコウノトリは嘴が黒いです。欧米の近縁種のシュバシコウは嘴が赤いです。タンチョウと似ていますが、ツル目ではありません。ハシビロコウは以前はコウノトリ目に分類されていましたが、現在はペリカン目に分類されています。
生息地は?
コウノトリは日本や中国などの東アジアや、ロシア南東部に生息しています。渡り鳥で、夏はロシアや中国の北東部で過ごし、冬は越冬するために暖かい日本などに飛来します。
大きさ
体長は110cm前後です。翼を広げた翼開長は2m弱となります。体重は4kg前後です。意外と大きい鳥で、イヌワシよりやや大きめで、ハシビロコウよりは小さいです。
また、コウノトリはタンチョウと似ていますが、大きさや体重はタンチョウより小さいです。
餌は?
池や河川で、魚類や両生類、爬虫類、甲殻類などの小型の水生生物を捕食します。小型のネズミなどの哺乳類を食べることもあります。
寿命は?
飼育下での寿命は長いものになると34年です。野生ではよくわかっていませんが、20年~30年です。「鶴は千年、亀は万年」と言われているタンチョウ鶴の寿命も20年~30年なので、同じくらいですね。
いったん野生絶滅した!その原因は?
明治時代以降、国内の工業化や森林伐採のため松林が減少しました。コウノトリは松の上に巣をつくるため、その営巣地が減少してしまいました。また、乱獲のあり、生息数がかなり減少しました。その後、生息地の田畑に農薬の使用したり、公害のため水銀濃度が増加した魚類を食べたことなどが原因、1961年、野生絶滅となりました。その後、渡り鳥で飛来したコウノトリを動物園などで飼育下繁殖したり、中国から譲り受けたりして、国内では200羽ほどとなっています。そのため、現在でも絶滅危惧種です。
幸運や子宝の縁起の由来は?
ある日、シュバシコウという鳥が夫婦の住む家の煙突に巣を作り、卵を産み子育てを始めました。その夫婦は、シュバシコウを案じて煙突に繋がる暖炉などを使わずに見守ったところ、子育てを終え無事に旅立つシュバシコウを見送った直後に念願の子供を授かったという話から由来しています。日本のコウノトリのクチバシは黒、ヨーロッパのコウノトリはのシュバシコウという鳥でクチバシは赤い色をしています。コウノトリが赤ちゃんを運んでくるというのは、全世界で言い伝えられている話だそうです。なんだかびっくりですね。
他にも、コウノトリが赤ちゃんを煙突の暖炉から運んでくるという説や、地域によっては、暖炉からカエルを投げ入れ、暖炉を通って家の中に入ってくると赤ちゃんになるなど、様々な説が各国で言い伝えられています。どの点に関しても、コウノトリが赤ちゃんを運んでくるという点は一致しています。昔は、コウノトリは家に住み着くと幸運が訪れる、クチバシで赤ちゃんが運ばれてくるという言い伝えがありました。そこから日本でも、赤ちゃんを運んでくると定着したそうで、元々は日本で言うツバメのような存在の鳥だったのです。ツバメが軒先に巣を作るとその家には幸運が訪れると日本では言われているように、コウノトリも元々は幸運の象徴、その家の繁栄の象徴、繁栄=子供で、そこから子宝に恵まれる、赤ちゃんを運んでくるとなりました。ではなぜ外国でいうシュバシコウ、日本で言うコウノトリが幸運を運んでくる鳥となったかというと、シュバシコウの巣は屋根の上に作られ、よく目につくところに作られていました。そして、シュバシコウは、オスメスがつがいとなり、共同で仲良くヒナを育てていきます。そういった姿から幸運を運んでくる鳥となりました。なんだかほのぼのとしますね。そして有名な童話作家のアンデルセンが「沼の王の娘」という本の中で、子供のいない夫婦にコウノトリが子供を届けるという内容があります。こういった本などからも定着して、今の幸運の象徴、子宝の象徴、赤ちゃんを運んでくるという話が定着して広く知れ渡っているのです。とても夫婦仲良しでヒナを育てる鳥です。日本での言い伝えの元になる鳥シュバシコウ、それが日本ではコウノトリに置き換わったというのが起源です。円満な夫婦にあやかろうというようなところから来たのですね。つがいで円満に子育てをする鳥です。例えを出すと、犬の出産が安産だから戌の日に帯を巻き祈願をする、そんな感じのジンクスです。新生児の後頭部にできるあざをコウノトリの咬み後と呼びます。空を飛んでくちばしで運んできてるという話は身近に感じられますね。日本には、コウノトリが舞い降りた伝説のある神社や、舞う地にある神社が子宝の神社としてあり、子宝に恵まれたい方が沢山訪れています。その伝説を聞くとより一層、実際のコウノトリ見たら本当に子宝に恵まれそうな気がしてきますね。
鳴き声は?
徳島県鳴門市にいる幼鳥です。嘴が黒いのがよくわかる動画です。「キューキュー」と甲高いですね。
途中、向かい合って嘴を鳴らしあっていますね。成長になると鳴かなくなり。嘴をたたき合わせて「クラッタリング」という挨拶や求愛などの行動のみとなります。あのハシビロコウのクラッタリングが有名です。小枝を集めて、電柱の上に巣をつくっています。
なつく?
栃木県小山市で巣を作って雛を育てているコウノトリのネット上の動画です。
野鳥なので、基本的に人には懐きません。特に子育ての時は神経質になりピリピリしています。テレビ局の取材している人たちは、コウノトリを驚かせないように、凄い望遠レンズの付いたカメラで撮影しています。
ペットにできる?
コウノトリは国の特別天然記念物や国内希少野生動植物に指定されており、また、絶滅危惧種でもあるため、個人でペットとすることはできません。もし自宅の庭の木の上にコウノトリの巣があったら、その家の周りにはバードウオッチャーたちが集まります。また、その家には幸運が訪れるでしょう。
見ることのできる動物園は?
以前から、飼育下繁殖に取り組んでいる、東京都多摩動物公園や、兵庫県立コウノトリの郷公園で飼育されていて、見ることができます。また、先ほどの動画の鳴門市や渡良瀬遊水地に飛来するので、運が良ければ、そこで野生のコウノトリをみることができます。
まとめ
コウノトリは渡り鳥で日本にも飛来しています。国の特別天然記念物です。しかし、生息数が減少し、国内では一旦、野生絶滅してしまいました。現在は各地の動物園で飼育下繁殖に取り組んでいます。また、コウノトリはその名の通り、幸運や子宝を運んでくる鳥でした。