レオパードゲッコー、またの名をヒョウモントカゲモドキ。ヒョウ柄の模様がオシャレで可愛いですよね。レオパと聞くとこのヒョウ柄をイメージする人が多いと思いますが、ヒョウ柄ではないレオパがいることをご存じでしょうか。これはたくさんの「モルフ」(品種)が存在する爬虫類であり、モルフによって色や模様が大きく異なります。モルフによるカラーバリエーションの豊富さもまたその魅力の一つなんです。この記事はそんなレオパの色について、モルフといっしょにご紹介します。是非お気に入りの色を探してみてください。記事の最後では鮮やかな色にするための飼育方法にも触れます。
色の種類
ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)は品種改良が進んでおり、様々なモルフが生み出されており、2021年現在その数は150種類を越えます。そのカラーバリエーションはモルフの多さによるものなのですね。モルフの中には「ジャングル」や「スーパージャングル」のように体の大きさが変わるものもあるのですが、この記事ではレオパの色や模様に注目してモルフの紹介を行います。
モルフって何?
同じ種の動物でも個体によって色や模様、目などの特徴が異なります。こうした特徴が表現型として確立している場合、つまり特徴が単一の個体だけに表れるのではなく遺伝が確認された場合はその表現型を指して「モルフ」と言います。エキゾチックアニマル業界では品種をモルフと呼ぶことが多いですが、特徴が表れたライン(血統)をモルフと呼ぶケースもあります。単一のモルフの特徴が表れている「ベーシックモルフ」と、複数のモルフの特徴があわさった「コンボモルフ」があり、掛け合わせ方によって実に様々な特徴を持った個体が生まれます。
体色に変化が表れるモルフ
ここからはレオパのモルフを「主に体色に変化が表れるもの」「主に模様に変化が表れるもの」「主に目に変化が表れるもの」の3つにわけて特徴をご紹介します。
ノーマルは黄色い体色に黒のまだら、ヒョウ柄が特徴的
全てのモルフの元になるのは「ノーマル」、つまりレオパの原種です。後述の「ハイイエロー」というモルフがノーマルと呼ばれたりノーマルをハイイエローと呼んだりすることもありますが、厳密に言えばノーマルとハイイエローは別です。薄い黄色の体色に黒いまだら模様が入っているのがノーマルの特徴。全身にはいった特徴的な模様は「ヒョウモントカゲモドキ」という和名の由来にもなっています。模様の色が濃く、数も多いのがノーマルの特徴です。ちなみにこのヒョウ柄模様はピグメント、とも言います。なお、ヒョウ柄模様が全身に表れるのは脱皮を繰り返し成長した後のこと。ベビーの時は黒い横じま模様が体に表れています。
ノーマルより黄色みが強いハイイエロー
ノーマルに最も近い特徴を持つのが「ハイイエロー」という品種。レオパのモルフの中で初めて生み出されたモルフがこのハイイエローで、ほとんどのモルフはハイイエローを基礎にして生み出されています。黄色い体に黒いまだら模様、というところはノーマルと同じですが、ハイイエローはノーマルに比べて黄色が濃かったり黄色部分の面積が大きかったりと、少し鮮やかです。
さらに黄色が鮮やかなハイパーザンティック
ハイイエローからさらに黄色みを強くしたのが「ハイパーザンティック」というモルフです。昔はハイイエローのことをハイパーザンティックと呼ぶこともあったようなのですが、今はハイイエローとはまたちがうモルフとして存在しています。より強い黄色みがまだら模様とのコントラストを生み出しており、ポップで綺麗なイメージがあるモルフです。
白色に黒のまだらのマックスノー
ノーマルやハイイエローの黄色みが少し減退したモルフが「マックスノー」です。白っぽい体に黒いまだら模様、という外見が特徴的です。地の色はベビーの時は白っぽく、成長するにつれ薄いクリーム色になっていきます。地の色が薄いため、まだら模様がよく目立つモルフです。
さらに白さが増したスーパーマックスノー。
マックスノーとマックスノーを掛け合わせ、より特徴を強めたモルフが「スーパーマックスノー」です。マックスノーは地の色にまだ黄色が少し残っていますが、スーパーマックスノーのより黄色みが減退し、白さが増しています。ベビーの時の体色は薄い紫色ですが、成長するにしたがって白くなっていきます。地の色以外では、模様がより細かくなることや目が黒くなることもスーパーマックスノーの特徴です。
薄い色素のアルビノ
メラニン色素が減っており、体色が薄いモルフを「アルビノ」と言います。他の動物で言うアルビノは体色が白くなっているものが多いですが、レオパのアルビノの場合、完全にメラニン色素が失われているわけではないため色や模様は残っている個体が多いです。ハイイエローの色を全体的に薄くしたようなイメージです。レオパのアルビノは「トレンパーアルビノ」、「レインウォーターアルビノ」、「ベルアルビノ」の3種が有名です。トレンパーアルビノはレオパのアルビノの中でも代表的なモルフで、単に「アルビノ」と呼ばれる場合はトレンパーアルビノを指すことが多いです。黄色い体に薄い茶色がかったまだら模様が特徴。レインウォーターアルビノは他のアルビノより淡い色合いの体色をしており、目の色が黒いの特徴。ベルアルビノは地の色がクリーム色でまだら模様が褐色であることが特徴です。
クリーム色の薄い体色と赤く輝く目のラプター
アルビノを他のモルフにかけあわせることで様々な表現を生むことができます。「ラプター」はそんなアルビノの因子を持つモルフの一つです。トレンパーアルビノ以外に、赤い目をした「エクリプス」、オレンジ色の体を持つ「ハイポタンジェリン」、白化した「パターンレスストライプ」といった複数のモルフをかけあわせて生まれたコンボモルフです。アルビノのように薄いクリーム色の体色、褐色のまだら模様、光にあたると赤く輝く目の色が特徴的。美しさが魅力のモルフです。
赤みがかった体色のタンジェリン
地の色合いが濃く赤みがかっているのが「タンジェリン」というモルフ。鮮やかなオレンジ色のモルフです。タンジェリン同士をかけあわせ頭部と胴体の体のまだら模様をなくした「スーパーハイポタンジェリン」、より赤みが強い「ブラッドタンジェリン」などタンジェリンから派生したモルフも多数あります。赤系統の色が好きな人はタンジェリン系を気に入るかもしれませんね。
緑みを感じるエメラルド
緑色系統のモルフが「エメラルド」。背中がうっすら緑がかって見えるのが特徴です。エメラルドの中でも地の黄色みが強く、背中全体が緑がかって見えるレオパを「ライムエメラルド」とも呼びます。
エメラルドをタンジェリンとかけあわせたモルフは「エメリン」と呼び、エメラルドにオレンジ色が加わっていてより綺麗です。よりはっきり緑身を感じる「サイクスエメリン」というモルフもいます。
白い体色で模様がないブリザード
レオパの白化モルフの代表格がこのブリザードで、体にまだら模様はなく全身が薄い体色です。ブリザードの色は必ずしも真っ白というわけではなく、白いものからうっすら黄色が残ったもの、灰色がかったものまで個体差があります。ブリザードとアルビノを掛け合わせたモルフは「ブレイジングブリザード」と呼ばれ、さらに色が白く綺麗です。
黒く希少価値が高いブラックナイト
実は色が黒いレオパもいます。「ブラックナイト」というモルフで希少価値が高いため高額で販売されるモルフです。ブラックナイトは黒い部分の面積が大きいほど価値が高いのです。全身が真っ黒のブラックナイトは「フルブラック」と呼ばれます。大人っぽい、かっこよさがあるモルフと言えるのではないでしょうか。
白、オレンジ、薄紫などの色が全身に散らばるエニグマ
謎めいた、という意味の「エニグマ」。一般的なレオパに比べて黒い斑点の数は少なく、ところどころにポツポツ表れる程度。そのかわり、全身に白、オレンジ、薄紫といった色がランダムに散らばって表れます。このカラフルで不思議な模様は個体によって大きく異なります。また、しっぽの色が白く、頭にはまだら模様が残っていることが多いです。個性豊かで独特の模様はエニグマの魅力ですね。
カラフルなレインボー
エメラルドやタンジェリン、ラベンダー、ブラックなど、様々な色が体に表れるモルフを「レインボー」と呼びます。中にはブリーダーの名前を冠した「サイクスレインボー」というモルフもあります。体色がグラデーションのようになっていたり、しっぽにストライプが表れたりと、レインボーの表現には個体差が出るようです。綺麗で希少価値があるモルフです。
模様に変化が表れるモルフ
カラーバリエーション、という本題とは少しそれますが、ここで模様に変化が表れるモルフもご紹介しましょう。
ジャングル
体のまだら模様が途切れたり、引っ付いたりと、乱れて不規則になっているのが「ジャングル」です。個体によって模様が大きく違います。
ストライプ
背中に黒い縦線模様が2本表れるモルフが「ストライプ」です。通常のストライプは背中の中央には模様がなく、その両側に縦線の模様が入っています。通常と違い背中の中央に太い縦線模様が入るモルフを「リバースストライプ」と呼びます。
パターンレス
模様が消えてしまっているのが特徴の「パターンレス」というモルフ。「白化」、という意味の「リューシスティック」と呼ばれることもあります。色が白いブリザードとちがい、黄色みは残っています。
目に変化が表れるモルフ
モルフによっては目の色も変化します。
目が黒一色のエクリプス
通常、レオパは瞳の中心部に瞳孔が見えますが、「エクリプス」というモルフは眼全体が黒一色に見える、という特徴を持っています。ちなみに、アルビノがあわさって色素が薄くなったエクリプスは眼全体が赤くなるそうです。
スネークアイ
目の半分が単色になるのが「スネークアイ」というモルフです。スネークアイはエクリプスの中から生まれるモルフで、個体がスネークアイになるかエクリプスになるかは場合によります。
鮮やかな色にするための飼育法!高温にしたほうが良い
モルフによってレオパの色は大きく変わりますが、レオパの体色を決定する要素は実はモルフだけではありません。飼育時の温度によっても体色は変化します。レオパを飼育する際の適正温度は適正温度は20~30℃です。低温でも活動することは可能なのですが、発色をよくしたいのならできるだけ高温で飼育しましょう。理想は25~30℃です。ホットスポット(ケージ内で一番温度が高い場所)で30℃、保温器具から遠く温度が低い場所は25℃くらいに設定するのがいいでしょう。ケージ内の場所全てを30℃以上にしてしまうと脱水症状を起こしてしまう危険があるので要注意です。高温で飼育するとレオパの体色はより鮮やかに、コントラストがはっきりした綺麗な色になります。逆に低温で飼育した場合、だんだんと体色が汚れたような、黒ずんだ色になってしまいます。特にアルビノのような色が薄いモルフは体色の黒ずみがわかりやすいです。なお、高温での飼育は体色だけでなく消化や代謝の促進にもつながります。いいことだらけなので、ケージ内はあたたかくして飼育しましょう。
床材の色を明るくした方が鮮やかな色になる。
レオパの体色は飼育環境の色にも影響されます。レオパの周囲の色が暗い場合は体色も暗く、周囲の色が明るい場合は体色も明るくなってくるのです。そのため、より綺麗な色にしたいのであれば床材は白っぽい、明るい色のものを選ぶのがいいでしょう。床材による退職の変化は微妙なものかもしれませんが、ケージ内の色を明るくすることで全体的な雰囲気も明るくなり、よりレオパが綺麗に見えることでしょう。
まとめ
セキセイインコのカラーは主に、ノーマル、ハイイエロー、ハイパーザンティック、マックスノー、スーパーマックスノー、アルビノ、ラプター、タンジェリン、エメラルド、ブリザード、ブラックナイト、エニグマ、レインボーです。ペットショップや爬虫類専門店等のヒョウモントカゲモドキを見る機会があったら、たくさんのカラーバリエーションを楽しみながら観察してみると、もしかしたら新種やレアものを発見できるかもしれませんね!