猫は犬に比べて、愛情表現に乏しいな~と思われている方は少ないですよね。どちらかというとクールな表情が多い印象です。しかし、喉をゴロゴロと鳴らしたり、頭をスリスリとこすりつけてきたり…。いっしょに生活していると「これは甘えているんだな」という瞬間がいくつもあります。この記事では、
- どんな習性がある?
- 愛情表現として行っている5つのしぐさ。
- 尻尾にも感情が現れるって本当?
についてご紹介していきます。どんな気持ちでどんな行動をとっているのか、是非参考にしてみてください。
習性を知って、困った行動の理由を理解しよう

猫は犬とは違い、単独で生活する動物です。基本的に、単独行動をする猫はリーダー的存在を必要としていないため、飼い主への忠誠心もないと言われています。反対に言えば、誰に指示されることもなく、自分の気持ちひとつで行動を決めているというわけです。プライドが高く、マイペースで気分屋と言われる理由もこういう習性からきています。
夜行性なのはなぜ?

猫の睡眠時間は1日平均で12~16時間です。「日中たくさん寝ているから、夜に元気になるのかな?」と思われている飼い主も多いのではないでしょうか。実は、「夜行性」だと思われているのも習性によるものです。本来は「夜行性」ではありません。一番活発的になるのは夕方と明け方…つまり、多くの小動物が頻繁に活動する時間帯なんです。野生では、狩りをしてネズミや鳥などを捕獲していますよね。夕方と明け方は狩りをする時間帯に適しています。現代では、完全な室内飼育の猫と自由に外を出歩く飼育の猫、野良猫が存在していますが、完全室内飼育の場合は基本的に人間の生活ペースに合わせて活動します。

また、外を自由に行き来している飼い猫は、習性的に夕方に外に出て朝方に帰宅する…ということが多いですが、夜間ずっと活動しているわけではありません。飼い主が起きて扉を開けてくれる時間だと思っているから、朝に帰ってくるのです。野良猫が夜間に活動するのは、習性もありますが、夜中のほうが人や車の行き来が少なく安全だからです。家の中で快適に飼育したいですね。
愛情表現が現れるしぐさ。

長く飼育していると、愛猫がどんなことを求めているのか、どんな気持ちなのかは感じ取ることができますよね。しかし、新しい猫を迎えた時や、飼育しはじめたばかりの人にとっては、愛情を汲み取ることはかなり難しいことだと思います。長年多数の猫を飼育してきた筆者が、実際に猫を見てきて『愛情表現』とわかる行動をご紹介します。
毛布や服をふみふみ。

幼い猫に多く見られるのが「ふみふみ」する行動です。布団の中に入ってきてする子もいれば、1匹でいる時にする子もいます。この行為は、仔猫が母猫のミルクを飲む時にしています。この行為を成猫が飼い主の近くでしたり、飼い主の布団でしている場合は、仔猫のような気分で甘えたり、くつろいだりしている気持ちの証拠です。飼い主のことを母猫のように感じているのかもしれません。
足や体に顔をすりすり。
猫はなわばりをアピールする場所に対しても体をこすりつけますよね。飼い主に体をこすりつけている場合も「わたしのものよ!」とアピールしたい気持ちが強いと言えます。飼い主がくつろいでいる時に、猫が近くに来て体をすりすりします。また、飼い主がキッチンで作業している時なども、足元にすりすりすることがあります。「飼い主さん、大好き~」という愛情表現の行動の一つです。
手や耳を舐める。

猫といえば「毛づくろい」をしている姿を思い浮かべる方も多いですよね。飼育されていたり、道端でくつろいでいたり、短毛種であったり、長毛種であったり、どんな猫でもペロペロと毛づくろいをよくしています。自分の体をなめるのは、ニオイ消しのためと言われています。愛猫が飼い主の手や耳、髪の毛を舐めることはありませんか?また、飼い主の手や足をペロペロしてくる時がありますね。かまって欲しい時や寂しい時にもにもペロペロしてくることが多いです。飼い主に行う場合は愛情表現の行動の一つと言えます。猫は犬に比べて、飼い主に懐かない印象を持っている方も少なくないはず。しかし、ツンデレな一面を持ち合わせており、実はたくさん甘えたい動物です。スリスリと体をこすりつけてきたり、ゴロゴロとのどを鳴らしたり、愛情表現も様々で、ペロペロと舐める行為もまた愛情表現の一つと考えられています。そんなコミュニケーションのひとつ「舐める」という行為はどういうものなのか?について、ご紹介します。こちらもできるだけ、背中や首などをなでてあげて、こちらからの愛情表現も示してあげましょう。他には、飼い主が外出先から帰宅した後、飼い主の皮膚についている不快なニオイや好まないニオイを舐めて消しているという説も…。また、自分のニオイ付けや毛づくろいのつもりで行っている場合もあります。
手の場合。

猫が飼い主の手をペロペロとしてくるときは、愛情表現だと思っていいでしょう。「好きだよ」と溢れる愛情を伝えている可能性が高いです。というのも、猫は信頼している相手だけしか舐めません。猫にとって飼い主の手は、自分を撫でてくれるアイテムの一つでもあります。そんな飼い主の手を愛おしく感じているのかもしれません。
足の場合。

猫が飼い主の足を舐めてくるときは、愛情表現もしくは要求がある時と考えましょう。足の場合の状況を思い浮かべてみてください。飼い主がリラックスして横になっている時や、キッチンで何かに夢中になっている時ではありませんか?手や顔を舐めるときの状況とは少し違い、自分の思いを伝えたいけど、届きにくい時などに足をペロペロとしたり、甘噛みすることが多いように感じます。もちろん、「かまって」「撫でて」「遊んで」など、甘えたいという感情が根源にある場合がほとんどです。
顔の場合。

親子を見ていると、親猫はよく仔猫の顔をペロペロとしていますよね。愛おしくて愛おしくてしょうがない…といった様子です。飼っているのがメスで、飼い主が男性の場合は「お世話をしたい」という母性が隠れている可能性もあります。本来、野生では、オス同士では舐めあう習慣はほとんどありません。メスは子育てを行う為、他のネコを舐めることに抵抗がないといわれています。顔の場合は、最大限の愛情表現といっても大げさではないでしょう。
よく舐める動物?
猫は本当によく舐める動物で、一日に自分自身を3時間はしていると言われています。自分自身を舐める理由としては、
- カラダを清潔にするため
- 体温を調整するため
- リラックスするため
- ニオイを消すため
が、主な理由と考えられています。猫はとてもきれい好きな動物で、自分自身の体を常に清潔に保ちたいと思っています。

ペロペロと自分自身をするのは、人間でいうシャワーと同じ行為だといえます。また、驚いたり、強いストレスを感じている時も頻繁に自分自身を舐めます。自分自身を舐めて整えることで、気持ちをリセットさせてリラックスしているのです。

猫の毛づくろいを見ていると、規則性があることに気付きます。前足→頭や耳などの顔周り→お腹周り→背中側から腰→後ろ足という順番で行っているのです。ぜひ、一度、見てください。とても面白いですよ。
痛い!やめさせたいときは…。
舐める行為が愛情表現だとわかっていても…猫の舌はザラザラしていて、舐められたり甘噛みされると痛いですよね。しかも、愛情表現でしてくるときは結構長い時間したがります。アレルギーや肌荒れの原因にもなりかねないので、頻繁にする場合は辞めさせることも考えたほうが良いでしょう。舐める行為をやめさせたいときは、意識をほかの物に集中させることです。おもちゃで遊んであげたり、猫が好きな動く映像を見せたりすることで、舐めることをやめてくれます。「甘えたい」という意思が感じられる場合は、愛猫が撫でられるのが好きな場所をたくさん撫でてあげましょう!
理由は「大好き」だから。

猫が自分自身ではない相手を舐める行為をアログルーミングと言います。このアログルーミングは信頼している相手にしか行いません。信頼している相手だからこそ、自分の愛情を直接の行為で伝えていると考えていいでしょう。「大好きだよ」「幸せだよ」という気持ちがこもっていると思うと、なおさら猫のペロペロ行為が可愛く思えますよね。猫はよく舐める動物ですし、そうすることで愛情表現をしますが…もちろんしない猫もいます。「もしかして嫌われているのかな?」と不安になる飼い主さんもいるかもしれませんが、愛情表現もさまざまあるので、愛猫の普段の様子を見ながら、信頼関係を築いていけているかを確認してみてくださいね!
結構痛い…甘噛み。
仔猫によく見られるのが「甘噛み」です。甘噛みは、母猫からおっぱいを吸う吸い付き行動の名残です。しかし、突然甘噛みをしてくる場合などは「かまってほしい」「甘えたい」という気持ちを伝える愛情表現でもあります。猫の歯は結構鋭く、痛いので、あまり強く噛む場合は「痛い」ことを伝えましょう。また、水を入れた霧吹きなどをシュッとするのも効果的です。しつけにはクリッカーも効果的です。
飼い主が夢中になっていると邪魔したくなる。
飼い主が読書をしている時やパソコンでの作業中、猫が上に乗ってきたり、手を出して邪魔をしてくる行動があります。猫が飼い主の邪魔をするのは、好奇心や自分を見てほしい気持ち…という意図があります。飼い主が視線をやっている場所でアピールすれば、かまってもらえるかもしれない…と猫は期待しているんですね。邪魔をしてアピールしてくるときは、おもちゃで遊んであげたり、体をなでてあげたり、かまってあげるようにしましょう。
尻尾でも感情を表現している?

実は、猫の体の中でも一番気持ちが表れやすいのが「尻尾」です。しっぽの立ち具合や振り方でも、気持ちを読み取ることができます。
垂直にぴーんと上を向いている。

猫の尻尾がピーンと上を向いている時は、好意的な感情の表れです。「嬉しい」「甘えたい」といった感情があるときに、尻尾が上にすっと伸びています。飼い主さんに向かって歩いてくるときに、「大好き」といった愛情表現の行動の一部とも考えられます。甘えたそうだな…と感じる時に、尻尾を見てみてください。
ブンブン早く動かしている。
大きな物音が聞こえたり、怒られた後などに大きく尻尾を振る行動をすることはありませんか?猫が尻尾を激しく大きく振っている時は「興奮気味」な時です。「近づかないで」「早くして」「ちょうだい」など、高まる気持ちをアピールしています。
足の間に巻き込んでいる。

猫が尻尾を足の間に巻き込んでいる時は、恐怖を感じていたり、不安な気持ちになっているサインです。神経質になる要因がないか、あたりを見回してみてください。長時間の来客や、長時間かまわれていない…ということがあると、テンションが落ち、不安になる子も少なくありません。そんな状態になっている時は、そっと優しく話しかけてあげてください。
真っ直ぐ下に降ろしている。

猫が尻尾を真っ直ぐと降ろしている時は、攻撃的な気持ちになっているサインかもしれません。近くに獲物がいたり、知らない猫が近づいてきたりすると、緊張のために尻尾が下がることがあります。もし、尻尾を下げている時はあまり近づかないようにしましょう。
巻きつけてくる。
飼い主の腕や足に尻尾を巻きつけてくることもあります。これは、猫同士の間では「友好」を意味します。飼い主への愛情表現の行動の一つといえます。
まとめ。愛情表現に気付ける飼い主になろう!
愛情表現が乏しいと感じる方が少なくありませんが、そんなことありませんよね。きっと最後まで読んで頂いた方は、「あるある~」「そういう意味だったのか」と思う仕草も多いのではないでしょうか。猫の愛情が現れる仕草や行動として、
- ふみふみ
- すりすり
- 舐める
- 甘噛み
- 邪魔をしてくる
という行動をご紹介しました。自宅で飼育している猫の多くに現れる仕草なので、是非よく観察してみてください。そして、感情や気持ちが最も現れる尻尾は、
- ピーンと上を向いている
- ブンブン早く動かしている
- 巻き込んでいる
- 下に降ろしている
- 巻きつけてくる
という動きをご紹介しました。ただゆらゆらと動かしているだけだと思っていた方には意外なアピール方法だったかもしれませんね。犬と違い、激しい愛情表現がないように感じがちですが、しっかりと飼い主に愛情表現をしていることがわかると、一層可愛く思えますよね。感情の動きや愛情表現を少しでも知っておけば、コミュニケーションもスムーズにとることができます。是非、気持ちを汲み取れる飼い主になってくださいね。