私は小さい頃から動物園が大好きで、よく行っていました。子どものころはライオン、ゾウ、キリンなど誰でも知っている動物を見るのが好きでしたが、人気動物はいつも混雑でした。そこで、他の動物にも注目してみることに。これが結構面白い動物はたくさんいて、その中から今回は珍獣「シフゾウ」(英語ではPere David’s deer)をご紹介。
どんな動物?生態について
一見するとウシかトナカイのようですが、シカ科の仲間です。体の大きさはニホンジカより少し大きめです。シフゾウは中国北部から中央部の湿地帯に生息していたと考えられてますが、野生種はかなり前に絶滅していました。普段はオス、メス別々の群れでの生活をしていますが、繁殖期になるとオスはハーレムを形成します。妊娠期間は9か月前後。一度に生まれてくる子どもは、1頭から2頭です。性成熟にはメスは2年から3年。オスは3年から4年かかります。
絶滅しかけていた!?
フランス人宣教師のダヴィット神父が1865年に北京郊外にある清朝皇帝の南苑とういう場所にのみ飼育されている、珍しい動物を知り、やっとの思いで手に入れ、それら十数頭をヨーロッパへと持ち帰りました。その後、1895年の永定川の氾濫によって南苑は水没してしまい、脱走したシフゾウのほとんどは市民によって食べられてしまい、生き残った少数のシフゾウも1900年の義和団の乱の混乱で兵士に食べられてしまい中国では絶滅してしまいました。しかし、イギリスの大地主ベッドフォード卿が個人で飼育していたものが生き残っており、今ではその子孫が各地の動物園に送られており、その個体を増やすということが試みられ、1985年には元の生息地である南苑に戻されたことにより、ついに野生状態で繁殖もするようになりました。その後、江蘇省に設けられた保護区にも放されています。ベッドフォード卿ナイスです!!!(誰かは知りませんが。笑)
大きさ
成長すると体長は2m、尾長は30cmほどになります。オスの体重は200kgほどになり、メスの体重は150kgほどになります。
普通の馬より小さいです。
餌
湿原なので生息し、草、木の葉、水性植物などを餌として好んで食べます。その不思議さに迫っていきます!
特徴
シフゾウの特徴はなんといっても名前の由来ともなっている不思議な外見。
- 鹿のような角だが鹿ではない。
- 牛のような蹄だが牛ではない。
- 馬のような顔だが馬ではない。
- ロバのような尾だがロバではない。
これら4つの動物の姿のどれにも似ていないので「四不像」シフゾウという名前がついたとされています。さらに4つの動物には諸説あり、他には、
- 体はロバ。
- 首はラクダ。
- 蹄は牛。
- 角は鹿。
などなど。そんなシフゾウが動いている姿がこちら!
うーん、確かに素人目から見ても少し変わっている。パッと見は鹿ですがね。でも鹿ではないような。またこの大きな角は2㎏程度あり、シカは年に一回、角が生え変わるのですが、シフゾウは年に二回も生え変わります。
もののけ姫に出てくるシシ神様に似てる?
初めてシフゾウを見た時私は、なんて神々しいだ!と思いました。そして、あれ?シシ神様に似ている気がする。と。実際シシ神様のモデルを調べてみても明確な答えは出てきませんでしたが、私と同じように似ていると思った方はたくさんおりました。やはり、人を魅了するパワーやオーラがあるんだな。
鳴き声
安佐動物公園で飼育しているシフゾウの鳴き声のネット動画です。
座ったまま、「グアグア」と歯ぎしりのような鳴き声を出しています。こちらは、多摩動物公園にある彫像です。
精巧に作られています。
寿命
シフゾウの寿命は約20年。普通くらいの寿命かな?
動物園で見られる?
絶滅を免れた経緯や、その不思議な容姿。是非自分の目で見たいですよね。実は、見られるのです。しかも、日本の動物園でも見られるのです。
- 多摩動物公園(東京都)
- 広島市安佐動物公園(広島県)
- 熊本市動植物園(熊本県)
これらの動物園で飼育されています。先ほどのネット上の動画も多摩動物公園のシフゾウたちです。
ペットにできる?
シフゾウは特定外来生物に指定されているため、許可がないと飼育できません。また、野生絶滅しているので、入手もできません。もし、自宅の庭にシフゾウがいたら、トナカイと間違われて、クリスマスには「あの家にサンタクロースが来た」と噂になるでしょう。
まとめ
人間の都合で減らされたり増やされたり。そんな生物たちが私たちは知らないだけで地球上にはたくさんいます。シフゾウもそのたくさんの中の一種ではないでしょうか。私たちに出来ることは本当に少ないかもしれません。ですが、まずはその事実を知ることが大切だと思います。その事実を知ることから始まると思います。そこから何が出来るか。私はシフゾウ達を野生に還すことは出来ません。ですが、地球環境のことを考えて生活したりしましょう。自分の知識を広める。そんな些細なことでもいいと思うので実行していけば少しずつ野生生物の世界も変わるきっかけになるのではないでしょうか。