あなたは、魚を食べるのは好きですか?周りを海に囲まれ、好条件な漁場がいくつもあり、魚を食するにはとても恵まれた場所に位置している日本。そして私たち日本人は昔からいろいろな魚たちを、さまざまな方法で調理して食べてきました。刺身はもちろん、塩焼、天ぷら、蒲焼き、唐揚げ、煮付け、塩蔵、干物、すり身加工など、そのバリエーションは本当に多種多様です!これまでさまざまな種類の魚料理を見て、食べてきました。さらに実感するのですが、日本では欧米諸国とは比べ物にならないほど多くの種類の魚が食べられているのです。しかし、そんな多くの魚を食べる機会がある日本だからこそ、注意しなければいけないこともあります。度々、新聞やニュースで報道される、毒を持つ魚の問題です。「毒魚」と聞くと、有名なフグや、毒ヒレを持つオコゼなどをイメージする方も多いと思うのですが、その他にも毒魚と呼ばれる魚はたくさんいます。そして、毒に当たることから関西では「てっぽう」と呼ばれるフグ、このフグさえも凌ぐ猛毒を持つ魚がいることは、一般の人にはあまり知られていないようです。そこで、今回はそんな隠れた毒魚の代表とも言える魚、ソウシハギについて紹介しましょう!
無名で有名な毒魚!

一昔前まで、この魚の名前「ソウシハギ」を知っている人はほとんどいなかったでしょう。英語ではScrawled fishです。実際僕も、大学の講義で危険性がある魚介類について学ぶまでは聞いたこともなかったです。それは、以前はこのソウシハギと言う魚は日本近海であまり見られなかったためです。というのも、もともと南方系の魚で、日本近海では南の方にしかいなかったのです。沖縄ではこの魚のことを、別名で、センスルーとも呼びます。しかし、地球温暖化の影響か、海流の変化かなのか、原因は分かりませんが、最近になってこのソウシハギが本州付近の沖合にまで北上してくるようになりました。そのため、徐々にこの魚が見かけられることが多くなってきて、釣り人が自分の釣果をSNSやブログで紹介する中にも、時々登場するようになりました。なので、フグ毒よりも強力な猛毒を持つ可能性があるにも関わらず、最近まであまり人目に触れなかったために無名なのです。
食べられるのか?

毒魚に分類され、フグより強力な猛毒を持つ可能性があるのですが、「食べられないの?」と問われると、「食べないで。」と答えます。広島県の食品生活衛生課や水産課も「ソウシハギは絶対に食べないで!」と注意喚起しています。神奈川県の生活衛生部生活衛生課も「ソウシハギ」は食べないで、と注意喚起しています。カワハギの仲間のウマヅラハギやウスバハギなど、似たような魚がいるので、釣った魚はよく注意して見ましょう。このことは、また後で述べます。
もつ毒性は?
先ほど結論付けたように、食べないように注意しないといけないです。ソウシハギが内臓に持つかもしれない毒素は、海に棲む藻類によって作られる海産性の毒素で、その毒性はフグ毒の数十倍もあります。自然界でもトップクラスの猛毒!はっきり言って、同じ海に棲む生物の毒と言っても、オコゼやエイ、クラゲの毒など目じゃありません。また、この毒素は煮たり焼いたりの加熱をしても分解や変性することはありません。つまり、どう調理しても毒があったらそのまま体の中に入るのです。繰り返しになりますが、僕は絶対に食べません。僕は、ソウシハギを食べるよりも、お金をかけて、プロが調理した美味しいフグ料理を食べることをお勧めします。
どんな魚?その生態は?
さてここまで、毒魚だとか、散々書いてきましたが、そのソウシハギがどういった魚なのかを紹介していこうと思います。大きく分類するとフグやカワハギの仲間です。体色は灰色っぽい体に青色の斑点がある、特徴的な色合いです。少し毒々しい色だと思いますね。カワハギの仲間だけあって、口が特徴的なオチョボ口・・・。かと思いきや、その小さな口には鋭い歯が並んでおり、正面から見ると実はかなり不細工で残念な魚です。なので、この魚を好きになりたい人は、常に真横もしくは斜め後ろから観察するのがいいでしょう。ソウシハギは他のカワハギの仲間と同様に、ちょうど目の上あたりに、アンテナのような長い1本の棘があり、それがあたかも某妖怪アニメの主人公のアレを思わせます。
生息地

インド洋や太平洋、大西洋といった世界中の海の熱帯海域に生息しています。以前の日本近海では主に九州地方や沖縄などの南方に棲んでいた。しかし現在では徐々に生息範囲が北上し、日本海側の能登半島付近や北海道の沖合でも発見が報告されているようです。
大きさ

ソウシハギは成体になると、大きいもので全長が1m近くにもなるようですが、基本的には70㎝前後。形は、平らで体高が低く、細長くシュッとしていますが、尾びれが大きく全長の1/4から1/3程もあります。忍者の投げるクサビ型の手裏剣(クナイと言うらしい)に似ている気がするので、上手く投げたら地面に突き刺さりそう。
餌

食性は雑食性で、動物性の甲殻類や刺胞動物から、植物性の藻類まで幅広くいろいろなものを餌として食べます。そして、その中には毒素を持つスナギンチャクも含まれ、こいつを食べることによってソウシハギの内臓に毒が蓄積するようです。
泳ぎ方

また、泳ぎ方も他の魚たちとは少し異なります。尾ビレを動かして泳ぐことは少なく、体の後方にある背ビレと腹ビレを上手くはためかせて前進したり、後退したり、方向転換します。そんな可愛い泳ぎがこちらのネット動画で見ることができます。
本当に、正面からさえ見なければ、なかなか愛くるしい姿です。日本のいくつかの水族館には、このソウシハギを飼育していくところがあるので、実際に生で見たい人は、どこの水族館にいるのか調べて行ってみましょう!魚釣りでは、注意が必要!
釣り人は特に注意!!よく似た魚たち
私たちが魚屋やスーパーでよく見る魚とはかなり違う魚のソウシハギ。普通の人ならば、他の魚と間違えて食べちゃった~なんて事にはならないと思います。しかし、もしあなたが海釣りをするなら気を付けて!無毒でとても美味しいと評判で、釣りの対象魚にもなる魚たち「ウマヅラハギ」や「ウスバハギ」と、猛毒魚であるソウシハギはよく似ているのです。ちなみにカワハギもちょっと似ています。ウマヅラハギですが、ソウシハギとよく似ているのが分かると思います。特にこの形!上手く投げたら地面に突き刺さりそうなところがそっくりです!!海に釣りへ出かけて、釣った魚がもしソウシハギだったら…あなたはちゃんと見分けられますか?上述したように、最近では本州の沖合や瀬戸内海でも釣れることが多くなってきた為、各自治体や水産研究所が、釣ったソウシハギを他の魚と間違えて食べてしまわないように注意を呼びかけています。みんなで気を付けましょう!!ところが、釣れたその魚がソウシハギだと知っていても、無名であったがゆえにその危険性を軽視して、
- 「釣れたので食べてみた~」
- 「これが噂の毒魚、そんなに美味しくない~」
などと、食べた感想をネットやSNSに書き込みしている人たちがいます。絶対に食べないようにしましょう。
水族館で見れる?

新江ノ島水族館や美ら海水族館、新潟市水族館マリンピア日本海などでソウシハギを見ることができます。
ペットにできる?

海水を入れた水槽でアクアリウムを作って、ソウシハギをペットにできます。滅多にいませんが飼っている方も世の中にはいます。ソウシハギは各都道府県が注意喚起しているように、販売することはできないので、ペットショップで入手することはできません。
まとめ
今一度、今回のまとめとしても言いますが、
- ソウシハギは猛毒魚です
- その毒素は加熱しても無くならないです
なので釣り人の皆さん、もしソウシハギが釣れても、絶対に食べないようにしましょう!三度目になりますが、僕も絶対に食べません!大変余計な話ですが、カワハギやウマヅラハギを釣り上げるのは難しいですね~。あの可愛らしい口で、何度エサだけ持っていかれたか…。僕も釣ったことはあるけれど、小鯵を狙ったサビキ釣りで偶然かかっただけなので、いつかちゃんと釣り上げたいと思っています!そして、釣った魚がソウシハギでないかどうか、よくよく確認してみるようにしましょう。釣った魚を安易に食べないようにしましょう。