みなさん、海の熱帯魚といったらどんなのを思い浮かべますか?青い魚?黄色い魚?しましまの魚?色々な熱帯魚がいますが、同じような模様だけど、種類の違う魚がいます。それは「ツノダシ」と「ハタタテダイ」。何も知らないで見ると同じ魚だと思ってしまうものも、学ぶと違いが分かりとても面白いです。今日はそんな魚たちについてご紹介しましょう。
ツノダシの生態は?
ツノダシはツノダシ科に分類される魚です。英語ではMoorish idolです。ツノダシ科に分類される唯一の種です。”科”とか言われてもピンとこないと思いますが、ネコ科を考えると分かりやすいかと思います。ライオンやトラも家猫もネコ科です。結構幅広い分類ですが、ツノダシは1種しかいません。彼ら独自の進化を遂げています。
生息地
インド洋や西・中部太平洋などに分布する海水魚で、国内では千葉辺りより南に分布しています。サンゴ礁や岩礁など固い地盤のあるところに住んでいて、深さ数mほどの浅い海から180cm以上の深い海にも分布しています。
ツノダシの大きさ
彼らは大人になると大きなもので23cmくらいの大きさまでに育ちますが、子どもでいる期間が非常に長く、その間に海流に乗り、広域に移動すると考えられています。背びれの第三棘が長く伸びているのが特徴です。
餌は?
彼らは主にカイメンという岩肌に付着したスポンジ状の生き物を食べて暮らしているのですが、時にはサンゴ藻と呼ばれる海藻や小型の無脊椎動物などを餌として食べることもあります。彼らは特徴的な細く長い形をした口を持っていますが、これを使って岩やサンゴの割れ目に隠れている獲物を吸い出して捕らえます。またこの口の中には細かい毛のような歯がびっしりと生えています。特徴的な口は鳥のくちばしのような役割をもっているのですね。吸い出すってすごいですね。魚が吸うってあまり想像出来ませんが、結構な力で吸わないと隠れている獲物は捕らえられないですよね。どんなんか見てみたい。
スキューバダイビングで見れる?
海で泳いでいる時にこの背びれがひらひら舞っているのがとても綺麗です。ツノダシは通常1匹、もしくは2~3匹の小集団でいることがほとんどですが、まれに大きな群れを作るところが目撃されています。この群れというのがまたとても綺麗なのです。彼らは同じ方向を向きながら泳ぎ、方向転換も同じタイミングでマスゲームを見ているかのように綺麗に揃っているのです。どうやったら綺麗に揃うのかとても不思議ですが、彼らのルールがあるのかしら。ダイバーの中にはこの群れを見るために、場所や時期を調べて海へ潜る人もいるそうですよ。
ハタタテダイの生態は?
ハタタテダイはチョウチョウウオ科です。英語ではPennant coralfishです。ちなみにツノダシも昔はこのチョウチョウウオ科に属していたそうです。似ていますもんね。そして、ツノダシの特徴に似ている部分で、背びれの第4棘が長く伸びています。これが白い旗をなびかせているように見えることからハタタテダイと名付けられました。ツノダシも同じようなものを持っているのに、名前が全然違うのが面白いですね。でもわかりやすくていいです。また単独かペアで行動していて、群れはほとんど作りません。作ったとしてもツノダシのように揃った動きはしないようです。またもう一種、似ているのがいてそれは”ムレハタタテダイ”。彼らもチョウチョウウオ科でハタタテダイとの違いはその名の通り群れること。その他ハタタテダイとの細かい違いはありますが、海で見分けるのは難しいかなー。
生息地
太平洋やインド洋の熱帯サンゴ礁域などに生息し、日本近海でも見ることが出来ます。寒さにも強く、青森県までにも分布すると言われています。こんな、ザ・熱帯魚!と言った容姿をしていて青森にまでいるなんて驚きですね。見た目とのギャップがすごい。
ハタタテダイの大きさ
成長すると体長が20cm程度になります。Sサイズのピザと同じくらいの幅です。
餌は?
主にサンゴのポリプなどを餌として食べます。
ツノダシとハタタテダイの違いや、見分け方
全体のフォルムが少し違います。ハタタテダイの方が丸っこいかな。ツノダシはシャープ!これは素人の私が思った違いですが、生物学的なことを言うと、ツノダシの方が口が長く、尾びれが黒いです。また目の位置がツノダシの方が上についています。あと個人的に好きなのが、ツノダシの口にある模様。鼻に絆創膏貼ったみたいでかっこいいのです。慣れればすぐに見分けられるようになると思います。
水族館で見れる?
沖縄美ら海水族館や新潟市水族館マリンピア日本海、海遊館、DMMかりゆし水族館、串本海中公園など全国の水族館でツノダシやハタタテダイを見ることができます。ツノダシやハタタテダイを飼育していない水族館はないといってもいいほどです。
ペットにできる?
ツノダシもハタタテダイも海水のアクアリウムでペットにするのが人気です。熱帯魚専門店でどちらも3000円前後で販売されています。サンゴと一緒に水槽の中で観賞魚として飼育するとかわいいですね。
まとめ
私はダイビングをするのですが、ハタタテダイを見たことがあります。始めたばっかりの頃によく潜っていた伊豆の海では、潜るたびにいて、いかにも熱帯魚という姿なのと、少し大きめの魚で観察しやすかったので、大好きでした。ファインディングニモの”ギル”というキャラクターのモデルがツノダシなのです。最初、それをハタタテダイだと思い、「あの時見た魚!」と喜んでいたのですが、「あれ?あんなところにあんな傷みたいな模様あったっけ?(口にある模様)」と思い、調べてみたところツノダシだと知りました。そして、また新たな魚に出会うことが出来ました。思い出のハタタテダイともまた会いたいですが、似ているようで少し違うツノダシにも会ってみたいと思いました。出来れば群れで会いたいな。どちらもしましま模様で可愛いですよね。海の中で見るとこのしましまがより映えてとても綺麗です。2種とも浅瀬にも生息しているのでシュノーケリングでも観察することが出来ると思います。もし見ることが出来た際には尻尾を見るとどっちなのか分かりやすいですね。