入門種エボシカメレオンの生態と飼育方法。なつく?ユニークな動きが魅力!

変わる体色、伸びる舌、くるくる回る目、独特な形の手足。爬虫類の中でも特にユニークな動物がいます。それは不思議な魅力を持つカメレオンですが、実は飼育が難しく初心者には向かないと言われています。しかし、不可能というわけではありません。気を付けるべきポイントを押さえてしっかり様子を見ていけば、初心者でも育てることはできます。

本文では最も飼育が容易であり、入門種とされているエボシカメレオンを取り上げ、生態や魅力などについてお伝えしていきたいと思います。

生態

生後4か月(お迎え直後)

エボシカメレオンは和名であり、和装の「烏帽子」に由来する呼び名です。後頭部のカスクと呼ばれる突起が大きく、烏帽子に似ているためそう名付けられました。英語ではveiled-chameleonです。

生息地

原産地はアラビア半島最南端のイエメン共和国。高地にある湿度が高い森林に住み、霧や露から水分を摂取します。

種類

生後7か月②

マダガスカル島に生息しているパンサーカメレオンやパーソンカメレオン、ケニアやタンザニアにいるジャクソンカメレオンやコノハカメレオンなど様々な種類がいます。

大きさ

生後7か月①

体長はオスで最大65cm、メスで最大45cm。いわゆる「大型種」であり、様々なバリエーションのエサ昆虫を与えることができるという点も飼いやすいカメレオンと言われる要因の一つです。

65cmというと生後五か月の赤ちゃんに身長ほどもあります。ぜひ抱っこしたいですね。

コオロギなど昆虫が主食ですが、草食性が高く植物を食べることもあります。

寿命

脱皮中

平均寿命は5~8年。オスは平均7年、メスは平均5年とも言われ、カメレオンの中ではそこそこ長寿です。温度や湿度、エサ、ストレスに気を付け適切な環境を整えることである程度は長生きさせることもできます。

準備やペットとしての飼育方法

赤外線ライトを照射

エボシカメレオンは入門種だとはいえ、環境に気を配らないとすぐに体調を崩してしまいます。以下では環境を整えるのにに必要な、ケージ、床材、枝や植物、紫外線ライト、バスキングライト、霧吹きについてご説明します。

ケージ

エボシカメレオンのケージを選ぶ際のポイントは通気性です。飼育の際には霧吹きなどで湿度を高める必要がありますが、この時にケージ内に湿気がこもってしまうとよくありません。通気性が高く、湿気が逃げるような構造のケージを選ばなければいけないのです。

レイアウトの例

また、ケージの高さも重要です。カメレオンは上から見られることを嫌うため、高さがあるケージを高い場所に置き、その上でケージ内を上下に移動できるようにしてあげなければストレスがたまります。

メッシュ―ケージやトリカゴ、園芸用の温室などがケージとして利用できます。ガラス製の爬虫類用ケージも天板が金網になっているなど通気性が確保されていればカメレオンに使えます。予算や場所など、飼い主の都合もあわせて考え、使いやすいものを選びましょう。

床材

ケージの底にひく床材にはこれといって決まりはありません。ペットシーツやキッチンペーパーは吸水性があり取り換えもしやすいです。この他、新聞紙や人工芝も利用可能。土を床材に使う方法もありますが、湿度管理が難しく、誤飲の危険性もあることから、やや扱いづらいでしょう。

床材は見栄えや使いやすさを考慮し、好みのものを使うのがいいかと思います。

枝や植物

エボシカメレオンは樹上性の動物です。木の枝をにぎって歩いたり、枝葉をシェルター代わりにする習性があります。そのため、木の枝やつる性の植物を入れ、カメレオンが住みやすい空間を作ってあげる必要があります。本物ではなく、人工のものでも問題はありません。イミテーションの枝や植物は枯れる必要もなく便利です。

枝や植物は爬虫類専門店や熱帯魚店の他、インターネット通販や100円均一ショップで購入することも可能です。

紫外線ライト

エボシカメレオンは昼行性の爬虫類です。昼間に太陽からの紫外線を浴びることでカルシウムを作り出します。そのため、紫外線ライトを設置しなければカルシウム不足となり、病気になってしまいます。

選ぶライトによって紫外線の照射量が異なりますが、森林棲爬虫類用の中程度の照射量のライトを選ぶといいでしょう。

バスキングライト

これは日光浴のことです。爬虫類は変温動物であるため、体温をあげるためにバスキングを行います。そのため、ケージ内の一部分にバスキングライトを照射してホットスポットを設けなければいけません。

バスキング中

ホットスポットで体温調整を行うことでカメレオンは自らの体調を維持しているのです。バスキングライト照射の際には温度を高める箇所をあくまでも一部分にとどめるように気を付け、飼育環境に温度勾配を作るようにしましょう。エボシカメレオンの適温については諸説ありますが、ホットスポット周辺の温度は30℃前後、その他の場所は昼間およそ20℃~30℃、夜間15℃~20℃程度を目安にすればいいかと思います。

体温を上げるために赤外線ライトを照射

また、昼夜兼用の赤外線ランプも保温に適しています。赤外線はカメレオンには見えないため生体の目に優しく、24時間点灯したままでも生活リズムを崩す心配がありません。

霧吹き

カメレオンに水を与えたり、ケージ内の湿度を高めるために必要なものです。1日2回はケージ内に霧吹きで水をかけなければいけません。水を与える方法については後ほど詳しく述べます。

上記にあげたものの他、温湿度計や爬虫類用の噴霧器、温度管理のためのサーモスタットなどもあるといいです。生体の様子を観察しつつ、適宜必要なものをそろえましょう。

エサの与え方

カメレオンは生きた昆虫を主に食べます。なれてきたら冷凍コオロギや葉野菜なども食べるようになりますが、活き餌をエサ入れに入れたり、ピンセットで生体の近くに持っていったりして食べさせるのが基本です。

療養中に強制給餌(コオロギ)

カメレオンのエサとしてメジャーなものはフタホシコオロギやヨーロッパイエコオロギなどのコオロギ類やミルワームです。これらの虫に野菜や穀物、コオロギ用フードを与えて栄養価を高め、カルシウム剤などのサプリメントをかけて生体に与えます。この他、水分や栄養が豊富なシルクワームや趣向性が高いハニーワームもカメレオンのエサとしてオススメ。エサの虫は爬虫類専門店や爬虫類イベントの会場で購入する他、バッタやセミといった虫を森や公園などで捕まえて与えても大丈夫です。

同じエサや給餌方法で与え続けた場合、カメレオンがあきてしまいエサを食べなくなる場合があるため、与え方や虫の種類を工夫する必要があります。また、エサを与えすぎても食欲不振につながるため給餌の頻度にも気を配る必要があります。成体の場合は2日に一度程度の給餌にとどめましょう。

強制給餌の時の顎の開け方

体調不良などでエサを食べなくなってしまった場合はあごあたりを指で押さえたりピンセットなどでこじ開けたりして口を開き、中にエサをいれて強制的に給餌する方法もあります。もしもの時は強制給餌も視野に入れてください。

水の与え方

生後8か月

カメレオンは基本的に水入れから水を飲みません。なぜかというと水入れにたまっている水は水として認識できないためです。滴り落ちる水滴や植物についた露が光る様子を見て水だと認識し飲んだり、湿度が高い霧の中で口を開け水分補給したりします。飼育下でカメレオンに水を与える方法としては、霧吹きでケージ内に露を作る方法やドリップ式の給水タンクから水滴を落とす方法、エアーポンプで水入れの水面に動きを与え認識させる方法、噴霧器でケージ内に霧を作り出す方法などがありますが、いずれにせよ生体がちゃんと水を認識し飲んでいるか確認する必要があります。

この他、給餌による水分補給も有効です。エサの虫に水気がある野菜や果物を食べさせてからカメレオンに与えると水分をとることができます。先ほど紹介したシルクワームは元々水分が多い虫なのでそのまま与えてもカメレオンの脱水症状予防に役立ちます。カメレオン自身が植物を食べるようになれば、そこからも水分補給は可能です。

このように、水の与え方には色々な方法があります。生体に適した方法を模索しましょう。

匂い

ペットを飼育するとなると、臭いの問題を気にする人も多いと思います。ですがご安心ください。エボシカメレオン自体は特に臭いません。ほとんど無臭です。フンや尿酸の塊は排泄した直後、乾燥する前は少し臭いますが、排泄物のサイズもあまり大きくないので部屋の中で飼っていてすごく気になる、というレベルの臭いにはならないと思います。排泄する度に掃除をすれば臭いもひどくなりません。

エボシカメレオンのエサのコオロギやデビュアは少々臭います。1匹2匹程度なら臭いはわかりにくいです。しかし、10匹、20匹ストックしていると、コオロギやデビュアの飼育ケージは少しくさくなります。家で繁殖させて大量に飼っている場合は臭いはもっときつくなるでしょう。耐えられないほどの刺激臭、というわけではないのですが、においが気になる人は不快感を覚えるかもしれません。

エサ用の昆虫のにおいがきつくなってしまう原因は大きく二つ考えられます。一つ目は水気によるカビや腐敗臭、二つ目は動物性たんぱく質を含むエサを食べさせることです。昆虫がとる水分や食事はカメレオンの栄養にもなるので、水分や動物性たんぱく質をまったく与えない、というわけにもいかないのが難しいところ。水をふくませたティッシュをペットボトルのフタにつめ、それを水入れの代わりにするとケージ内の湿気がおさえられ水気による腐敗臭はなくなってくるのでオススメです。また、野菜や果物をエサにしている場合は食べ残しをすぐに回収するようにしましょう。また、コオロギやデビュアのケージは室外においていても大丈夫です。ケージの外に逃げないように対策をした上で部屋の外に置くのもありだと思います。

また、爬虫類用の除菌・消臭グッズも臭い対策に有効です。昆虫の臭いをおさえることにも役立ちますし、エボシカメレオンのケージ内の清掃や、ものによっては生体に直接かけて病気の予防に使えるものもあります。以下でご紹介しますので参考になさってください。

①爬虫類用消臭スプレー

清掃時にも便利なのが消臭スプレー。アルコール類が入っているものは生体によくないのでアルコール未使用のものを選んで使いましょう。

爬虫類用の消臭スプレーは体に優しく、便利ですが、中でも「エキゾジア」という商品は生体の体にかかっても安心の除菌・消臭スプレーとしてオススメです。除菌後すぐに水に戻るため生体に悪い影響がないどころか、消毒効果もあり、皮膚病の対策にも使えます。特にカメレオンは菌に弱く、病気にかかりやすい動物ですのでエキゾジアは重宝するかと思います。

爬虫類専門店のwebサイトで通販ができたり、イベントで販売されていたりしますので気になれば購入してみてください。

②置き型消臭剤

匂いの元となる糞や尿を掃除するのが一番の臭いに対する解決法ですが、置き型消臭剤を使う場合は、エボシカメレオンが舐めたりしないよう、ケージから少し離れたところに置きましょう。

色の変化で状態を知る

カメレオンはまわりの環境に応じ色を変化させ外敵に見つからないようにする、ということで有名ですが実は気分や体調など、自身の状態によっても色は変化します。

ネットの色に合わせて体色変化

エボシカメレオンの本来の色は淡い緑色です。幼体の場合は全身が綺麗なグリーンの体色をしており、成長にしたがいオスは黄色い帯状の模様が、メスは青や黄色のまだら模様が表れます。

生後7か月のメスが寝ている

本来の色よりも体色が黒ずんでいる時は温度が低かったり、体調不良に陥っている場合もあるので注意が必要です。

また、何かに警戒していたり、威嚇している時は全身に黒い斑点が表れます。

興奮や緊張のときの体色変化

斑点が黒くハッキリしているほど緊張の度合いは高く、落ち着いてきた場合はだんだん斑点が薄くなり本来の色に戻ります。

この他にも成体のオスがメスを発見した時に派手で鮮やかな体色になったり、妊娠したメスの体色が黒っぽくなり黄色い帯状の模様が入ったりと、状況に応じて体色は様々に変化します。日頃から生体の体色をよく観察し、変化を見逃さないようにしましょう。

体調不良の際の対応

これまで、エボシカメレオンを飼育する際の注意点方法を述べましたが、頭でわかっているつもりで飼育していても上手く体調管理ができない場合もあります。カメレオンは飼育の際、他の爬虫類よりもさらに細かな配慮が必要であり、体調も崩しやすいため、体調不良のサインを見抜き素早く適切にケアしなければいけません。

療養中

エボシカメレオンの体調の悪化は体色の黒ずみ、食欲不振、動きなど色々な面に表れますが、一番わかりやすいのは目です。栄養不足や温度管理の問題で体調を崩した時、紫外線ライトが近すぎたり照射時間が長すぎたりして目を傷めてしまった場合は眼球がくぼんだり目が開かなくなったりします。

体調不良で目が開かない①

目が開かない状態では自分で捕食することができず、放っておくとどんどん弱ってしまうので早めに対処する必要があります。

一番は動物病院にかかり、獣医師による診療を受けることです。病院で皮下点滴や眼球洗浄、投薬や点眼を実施することで状態が回復に向かいますし、診察で飼育のアドバイスを聞くこともできます。カメレオンは犬や猫などに比べ診てもらえる病院の数が少ないため、事前に受診可能な動物病院を調べ、生体が体調を崩した時にはすぐに通院しましょう。

なつく?慣れる?

体調不良で目が開かない②

カメレオンは大きな範疇でいうとトカゲの仲間です。そのため、人には懐きづらいです。その中でもエボシカメレオンは初心者向けで扱いやすいです。

適切な扱いを続けていると人になれてき、自分から人の手に乗ってくるようにもなります。手乗りエボシカメレオンになってくれるほど、人懐っこくなります。

性格

生後7か月③

エボシカメレオンは他のカメレオンよりも厳しい環境の中で生きてきたため丈夫で環境適応能力が高めではありますが、性格はやや繊細で神経質です。警戒心が強い個体が多く、ふれあいには向かない観賞用の爬虫類だと言われています。

飼育の際はこうしたエボシカメレオンの性格をよく理解して環境を整え、根気強くお世話していきましょう。

魅力

最後にエボシカメレオンの魅力についてお伝えします。デリケートで手間がかかる動物ですが、その分他の動物にはない魅力をたくさん持っています。

ユニークな動き

カメレオンの動きはとてもユニークで見ていて楽しいです。360度あらゆる方向にくりくりと目を動かし周りを観察する様子、手足の爪を使い枝や葉やメッシュの網目など色々なところを移動する様子、枝にくるくるとしっぽを巻きつける様子など、他の動物には真似できない動きをたくさん見せてくれます。

ネットを登っている

ちなみに筆者はエサを補色する時の舌の動きが特に気に入っています。虫をじっと観察して、素早く舌をのばし捕獲する様子は野性味にあふれていて非常にかっこいいです。エボシカメレオンをお迎えして初めてコオロギを食べる様子を見た時にはすごく感動しました。

綺麗かつ様々に変化する体色
脱皮中2

体色の話は先ほど詳しく説明しましたが、色もまたエボシカメレオンの魅力の一つです。エボシカメレオンのグリーンはパステル調を思わせるような鮮やかさがありとても綺麗。明るくさわやかかつ落ち着いた、とてもいい色だと思っています。体に表れる模様もまた面白いですよね。

不思議で可愛らしい造形
顎の部分をさわりすぎてウロコがとれた

大きな目やくるくるのしっぽ、特徴的なカスクや背中にある棘状のうろこ、二股に分かれた手足の爪など、エボシカメレオンは不思議な体のつくりをしています。キュートかつワイルドな造形をしており、なんとも魅力的です。

動物園で見れる?

札幌市円山動物園や、いしかわ動物園、富山市ファミリーパーク、体感型動物園 iZooなどでエボシカメレオンを見ることができます。

いしかわ動物園では繁殖もしています。

まとめ

エボシカメレオンはアラビア半島出身の動物でした。意外な大きさでした。水分の補給方法や目の動き、体の色の変化などがユニークでした。日光浴や体温調整をして環境を整え、日々の体調の観察も重要でした。慣れてくると、手にも乗ってくれました。

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